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【アーティストの嘘】観客を疑えば、真実を観失う

器用なアーティストはつい結果を求める余りに、事実を歪ませる。このトピックでは、「感情を悪用しないクリエイティヴ」を、知ることができる。気がつけば自身の想いにまで嘘をつきなれているアーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 求められているのは、正直さ 』

エンターテインメントの意義が娯楽だと理解するならば、それを楽しめる心が必須となる。一方で世界が一時停止した以降の現代において人々は、娯楽を楽しむ心を起動できずにいる。その結果数字が、“ノンフィクション化傾向”を示し始めた。顕著に。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:拡大を続けるノンフィクションの世界に注目

ストリーミングやデジタル制作により、あらゆる形態のノンフィクションが作られ、消費される量が急激に増加している。そして、ノンフィクション映画制作への需要が高まるにつれ、若くて拡大しつつある芸術形式としての魂の戦いも激化している。

現実を記録するという性質に縛られることなく、より大きな感情的真実を掘り起こすことを追求するサウンドデザイナーや、これまでに見たことのない映像を撮影した先駆的なネイチャーシネマトグラファーもいる。稀に見るリアリティとイタズラのコメディ シリーズの制作者にも注目したい。

彼らは参加者の人間性を悪用するのではなく、見つけ出す、真に共感できる視点を持っている。また、ノンフィクションの芸術性を守るために戦っているプロデューサーやアドボケイト(擁護者)たちもいる。

彼らは、最も革新的なアーティストたちに不可欠なサポートを提供するだけでなく、その創造的なビジョンによって、彼らが知らなかった扉を開いてくれる。そしてノンフィクション ストーリーテリングのパレットを広げる。
それこそがノンフィクションの芸術だ。- OCTOBER 014, 2021 IndieWire -

『 ニュースのよみかた: 』

ノンフィクション映画のブームはつまり、大量消費を発生させている。しかし真の制作者たちは、偽りない表現と芸術性の追求を怠らない、という記事。

ノンフィクションのムーヴメントは不景気の恒例傾向と化していたが実に、今回の状況はまったく異なる。人々は映画や芸術に、正しい意図を求めはじめている。アーティスト本人がいかに偽りなく、表現と対峙しているかどうかである。

『 探求と芸術のバランス 』

時代が求める価値とは装飾ではなく、本質にある。そこに疑いは無い。また一方で、“芸術性”という曖昧を理解するためにはどうも、他者の想いを尊重する必要があるようにも想える。

このいっけん矛盾する二つのバランスには、正解がある。
それは、“装飾ばかりの作品は芸術ではない”というルールに基づく。すると矛盾の糸は解ける。

時代が求めるのは本質でありまた、芸術に求められるのはまた、本質である。アーティストは迷うことなく、“事実”を追求できるというシンプルな時代を迎えているのだ。

『 作品のために観客を悪用しない 』

アーティストが真に観客を信用しているなら、技を仕掛ける必要は無い。真正面から堂々とメッセージを込め、技工に溺れない作品を打ち出せるはずだ。

恥ずかしい。想像しただけで胸がつまり、不安に動悸がする。

アーティストは観客の為にどれだけ真剣に、作品に正直になれるのだろうか。求められているのは、その覚悟。その仮定が導く、正しい苦悩である。アーティストは恐れず慌てず迷わず、事実だけを突きつければ良い。

器用な技工で観客の感情を“悪用”することが、赦される時代では無いのだから。

『 編集後記:』

アーティスト支援の個展初日が開幕した。
ギャラリーというマーケットに不慣れなわたしは優秀な仲間に判断を託し、事実を見つめることに集中している。具体的に言うなら、“観客に押しつけない”というあるまじき行動である。

徹底と検証の果てに洗練を導く地上波テレビCM業界出身のわたしにしてみれば、まるで手抜きともいうべき放任主義しかしそこに、人が集う。

前代未聞の展示物、真新しいメッセージに込めた想いはまるでパズルピースを持ち合う仲間のように、コミュニティを形成していく。そこに集まるのは、笑顔。

驚きだ世界はこんなにも、正直になっているんだ。

明確な解を押しつけず流れを求める、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記