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ペダル踏み間違いによる事故について

久しぶりの記事になります。
これまで車のメカニズム、それを活用した安全運転について書いてきました。その中でも少しばかり触れてきた"ペダル踏み間違え"による事故について、私なりの考えを書いていきますのでご参考いただければ幸いです。

最近のニュースでよく耳にする”ペダル踏み間違え”による事故。ペダル踏み間違えは今に始まった事ではないと思いますが、近年増加傾向にあるのは間違いないようです。

何故増加傾向にあるのか?

主な原因として挙げられているのがドライバーの高齢化です。高齢者は反射神経が鈍るだけでなく咄嗟の判断力も鈍る為、事故を起こすリスクは高まりますが、増加の原因すべてを高齢化のせいにするのは危険です。

それは事故発生にまで至ってはないが、若者によるペダル踏み間違えの数の方が、むしろ多いという調査結果もあるからです。これは個人的な考えですが、車の高性能化(安全装備含む)が運転する楽しみを奪い、結果的に運転への関心を薄れさせて技術力低下に繋がり、さらに若者の車離れ現象から、免許を持っている者にとって運転が非日常的になっていることを挙げて良いかと思います。

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参考・財団法人「国際交通安全学会」平成22年度研究調査報告

他にも原因は沢山ありますが、ここでは以下の3つを取り上げてまいります。

高齢者ドライバーの増加(運動能力、判断力低下)

高齢者ドライバーの増加は高齢化社会に伴い当然の結果と言えます。そしてここでは高齢者が運転することを否定するつもりはございません。高齢者の方でも日常の運転において何も問題なく運転されている方も多くいるからです。しかし、何の問題もなくというのは端から見た状態であり、おそらく運動能力の低下等を十分に自覚されながら運転されている方も多くいるはずです。

高齢者ドライバーの事故を減らすのは、そのような”自覚”が必要なのです。
「自分は以前に比べ反射神経が鈍り、おまけに視野も狭くなった気がする。だから慎重に運転しよう」
この自覚があれば、事故は格段に減るはずです。
また本人が気づかなければ、まわりが気づかせてあげることも必要です。

最終的には免許返納という選択もあるのですが、そのようなお歳になるまで運転されているのは、それになりに必要とされる理由をお持ちの方も多くいらっしゃることでしょう。
そのような状況においてもハンドルを握ることを選ばれている方に対しては、先ずはドライバー自身が自らを客観視していただくことから始め、その上で体力、判断力等に合わせた新たなドライビングスタイルの提供を行って行きたく思います。

運転への関心が薄い(運転技術の低下)

自動車メーカーはどこも自動運転の開発に力を注ぎ、ドライバーの技術に頼ることなく安全に走る車をアピールしています。
そして横滑り防止装置、自動ブレーキ等、便利な安全装備は無くてはならないものとなりました。しかしこれらは運転する楽しみを奪っていることも事実です。昔の車を運転すると独特の癖があり、それを乗りこなすことに喜びを感じていた方も多くいるはずです。しかし今の車は極端な言い方をすれば誰が乗っても同じようにしか運転出来ません。特別なテクニックが無くても、危険回避においてはブレーキをしっかり踏み続け、ハンドルは進みたい方向に切るだけなのです。

私は、けしてこの素晴らしい技術を否定しているのではありません。

その反作用として、運転への関心が薄れていることを強調したいのです。

運転技術向上への関心が薄れるだけならまだ良いのですが(車の安全デバイスを有効に活用すれば良いのだから)、安全管理に対する関心が薄れていることが問題なのです。

 ドライビングポジション、ハンドルの切り方、
 アクセル、ブレーキの踏み方etc.
 どうすればスムーズかつ安全に運転出来るのだろう・・・?

 そう考えるドライバーは少なくなったに違いありません。

・運転することの楽しさ
・安全デバイスの正しい使い方(機械に依存しない正しい心構え)


これらを伝えることが、ペダル踏み間違えを含む、運転の誤操作防止に繋がることと思います。

運転の非日常化

近年の傾向として若者の車離れがあります。これは公共の交通機関の利用だけで十分に生活できることや、出費を控えたい、環境問題・・・etc.
どれも時代の流れを表しておりますが、車好きの私からすると少し寂しい気もします。

時代の流れとともに生活スタイルも変わるのだから仕方ないのですが、
”車は滅多に運転しないが免許だけ持っている”という人が、たまに運転をした時にヒヤッとすることが多くあるのではないでしょうか?

すべてとは言いませんが、車の運転技術は経験に比例するものがあります。日常的に運転をするドライバーと週末しか運転しない、いわゆるサンデードライバーを比較すると、その差は歴然としており日常的に運転されるドライバーの方が力むことなく正確な操作をされております。(ここでは、あくまでも技術レベルの話で、心構えや感情面は別です)

ペーパードライバーあるいはそれに近いドライバーの比率が増加している、つまり運転が非日常化していることが、ペダル踏み間違えを含む事故の原因として挙げられるでしょう。

これは前項の「運転への関心が薄い」にも共通することですが、ハンドルを握る以上は自分の運転技術レベルを確認することが大切です。
その時に、「免許取得後あまり運転してないから不安だけど、何とかなるだろう」ではダメなんです!
ろくな経験もないのに自信過剰なのはもっと悪いですが、
不安な時は、何に対して不安なのか?
”スピードが怖い” ”車両感覚” ”焦ると頭が真っ白になる”
色々要素はあると思うので、それを一つ一つ取り除くことからスタートするのが大切ですね。

それを一人で行うのが自信なければ、我々のようなプロを利用すると良いのです。経験豊富なドライバーのようにはなりませんが、車を安全に動かす基本的な心構えと技術をお伝えすることが出来ます。


表題から少し話がそれた箇所もありますが、現代の車社会が抱えている問題に対する個人的な気づきを書かせて頂きました。
今後、自動運転の車が日常的に走る時代もやって来ます。
しかし、自動運転も100%安全ではありません。危ない時、今度はドライバーが自動運転に介入しなくてはなりません。

それは、これまでの運転には無い知識と技術が必要となるでしょう。

いつの時代になっても、車を動かす主導権(責任)は人にあるのです。


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