しぃのアトリエ歴史探訪〜ギコルチェス・トーアという男〜

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しぃのアトリエという世界がスレ発起人のワンマン連載状態を終え参加型シェアワールドとして解放された以上、この魅力的な世界が新たな参加者の手による「新キャラ」に湧くことになるのは必然だった。"ここまで"からおよそ半月後、奇しくも同日に2名の住民がスレに新たにその名を刻む事となる。

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一人目は、しぃのアトリエに少しでも触れたことがあれば必ず目にする機会があったであろう押しも押されもせぬ大人気キャラ、ギコムント・ホーン。しぃのアトリエのギコ種、冒険者といえばまず誰もが彼のことを思い浮かべる、神々に愛され素晴らしい物語とネタに生涯を彩られた、スレの歴史上最も成功した参加キャラクターである。

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もう一人は、新聞記者ギコルチェス・トーア。「他参加者の作品をネタにする」という模範的な立ち回りに、新聞記者というそれ単体では動かし易いキャラ設定。しかし……

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無闇に積み上がる「重厚な」設定のタワーは、他参加者からの食指を跳ね除ける要塞と化して余りあった。あたかも作中世界の高難度ダンジョン「モナフォルクの塔」のように。

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スレ主により新キャララッシュに対する警鐘が鳴らされたのはちょうどこの日。象徴的な出来事である。

参加型スレにおいて、新キャラが世界に受け入れられ、一人の登場人物として帆に風を受けて走り出す為には他参加者からの承認と受容が必要だ。その最もわかりやすい形は他作者の手による作品だろう。魅力ある使いやすいキャラは引く手数多に、そうでないキャラはやがて陽の目を見なくなっていく。

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登場させた作者からの投稿はそれきり途絶え、ギコルチェスはやたら重い過去と設定を背負わされるだけ背負わされた上、長らく放置に任される事となる。

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万感込めた剣作りの依頼はシーナさんにすげなく断られてしまう。

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年が明ける頃にはいわゆる「DATキャラ」の代表として名が上がるように。


その後、いくつかの転機があった。

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『誰よりも純粋な君の始まり』シリーズでの一幕。「新聞記者」という役割の動かしやすさがよく分かる。奇人変人に付き纏われるコミカルさは、宿命を背負いし高レベル冒険者の重々しい面影を払拭するかのよう。

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参加者が増え世界が広がれば、鍛治仕事の得意な錬金術師だって登場する。初期の人気キャラ「モラーレン・バート」による一年越しのサルベージである。惜しむらくは、剣の完成まで連載が保たなかった事だろうか。

しぃのアトリエ世界の懐の深さと参加型スレとしての勢い、スレ参加者の使えるネタを放置に任せぬハゲタカのような貪婪さは、船出につまづいたキャラに対しても思いがけない未来を与える。同期のキャラのように跳ねなくとも良い。新聞記者ギコルチェス・トーアは、当初背負わされた重荷にかかわらず、スレの日常の中で独自の立ち位置を得ようとしていた。

しかし……真に思いがけない未来はその先にあった。時は2008年7月、2年目のアトリエスレが100スレの大台を数える、その矢先のことである。

【続く】

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