しぃのアトリエ歴史探訪〜今昔アトリエE(厨)〜 前編

厨房とは、中坊(中学生坊や)を原型とするインターネット・スラングであり、過度に幼稚な振る舞いをする者に対して用いられる「中学生のガキは回線切ってママのおっぱいでも吸ってな」程度の文意を持つれっきとした罵倒語である。

ネット素人創作コミュニティであるAA長編界隈とは切っても切り離せない概念であり、当然しぃのアトリエスレに於いても馴染みの深いこのワードは、『日常モナーブルグ』という連作作品の中で以下のように定義されている。

「他に足付かぬ魔法」、「起臥の夢」、「ヒトリヨガリ」。読み手を楽しませる嘘はいくらついても良いが、度を越せば白けさせてしまう。何事もバランスが大切であるという、スレ発起人からのありがたい教えだ。

また、「厨」概念に関しては近年最新の研究論文が発表され話題を呼んでいる。すなわち、「厨=空気と熱量のディスクレパンシー(不一致)である」と。

それを踏まえ、以下をご覧頂きたい。

見事なまでの不一致である。

時は【recipe 3】導入部ラストを飾る『○○のアトリエ?』が終了し、しぃのアトリエが参加型スレとして始動を開始してから一夜空け切らぬ深夜のこと。スレの趣旨、ギャラリーの期待と求めるところ、書き手本人が表現したかったであろうカッコ良さとAA表現技術の悲しいまでの落差……何もかもが噛み合っていない。意気揚々と長編AA板の大海に漕ぎ出したスレは早速【荒れの素】採取に湧いた。

コテハン「グッドーケーン」氏はその後もしばらく活動を継続し、単なるAA初心者に留まらぬ空気の読めない言動を繰り返すことで「厨」の称号をほしいままにしてスレを去った。しかし、彼の遺した爪痕は消える事はない。立っているものは親のネタでも使う錬金術師(=AA描き)達が、早速降って湧いたこの極上のネタを消えるに任せる事は……無かったのである。

鏑矢を放ったのはやっぱりスレ主。

高レベル冒険者ギルド【カリオン】所属。この設定は以降200スレに渡ってついぞ有効活用されることが無かった。

ニャラギに爪とぎとして咥えられ、アトリエCで錬金素材にされてしまう。全てはこのネタから始まった。

【練炭剣】で騙された復讐の為、度々シーナに挑んではまた騙される日々。

ついにはなんか大層な設定によりギャグパートの被虐キャラとして存在を固定されてしまう。なんてひどいんだ。

※スレ公認の扱いです。ごあんしんください。


……かくして、しぃのアトリエスレの「厨」代名詞となった剣士・ギルガメシユーは、ハゲタカのようなスレ参加者達に格好の素材として骨の髄までしゃぶり尽くされた上、不死身被虐キャラとしてスレのギャグパートに彩りを与え続けることとなったのでした。めでたし、めでたし。


……ところで、めでたしの後も続いてしまうのが参加型リレースレの側面を持つしぃのアトリエ。固定された筈の「厨」存在はしかし、不変のものには留まらなかったのである……。

【続く】


余談

キャラや出自はともかく、シンプルでちんまりとした造形のマスコット的な魅力は当時から重宝されており、やられ役として活躍しないまでも、なにかと背景の隅に潜まされたりする事が多かった。その極端な例を以下に紹介する。

超絶技巧AA描きアトリエGの人が手掛けたこのAAは、完成度の高さから風景背景AA素材として複数のサイトで保管の対象となり、しばしばやる夫系AA作品内のシリアスなシーンで脈絡もなくギルガメシユーの顔面が登場してしまうという悲劇を引き起こした。我々はこのテロリズムの歴史を決して忘れてはならない。許してはならないのである。

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