株式投資の背景と方針 (2022年12月)

自分の中でぶれる事も多かったけれども、色々試してそろそろ落ち着いてきたかと思う。そうなった時に、明文化する事で自分なりにスジが通った投資になり、方針が安定する事でリターンの安定につながるのではないかと思い、自分が何のためにどう投資をするのか、まとめておく。

また、都度改善は行うので、この内容自体を都度テーラリングしていく。

方針まとめ

結局、以下を重視する投資となる。

  • 株価が安定して成長する銘柄を選ぶ

  • 選んだ銘柄についてなぜ株価が上がっているか調べてから資金投入する

  • 連続増配実績は高く評価する

  • 直近のトレンドに流されすぎない

  • すでに終わったと思われる産業には乗らない

  • 一時的な下落は買いのチャンスと見る

  • 事業の堀が深そうな会社を選ぶ

  • 資産の保全を考え分散させる

  • 現金比率は低くする

  • 資金投入先は、複数の数値を鑑みて決断する

逆にやめた投資方針は以下。

  • 資産形成を重視し、なるべく集中的に投資する。

  • 流行りの投資に乗る(高配当株、仮想通貨、米国グロース株など)

  • 今伸びていてここ数年伸びそうな国に投資する(中国)

併用していくがバランス的に重きを置かない方針としては以下。

  • インデックス投資

上記の方針となった背景について記載した後、個々の項目について理由を記載していく。

投資の背景と目的

元々、投資なんてうさんくさいものは自分がやるものではないと思っていたし、何なら大学卒業するまでは投資で儲けている人は怪しい人という先入観があり(逮捕者が出ていた事があったのも理由だと思うが)、若干蔑視するくらいの気持ちでいたし、全く調べた事もなかった。会社に入ってからも自社株は買わず運用はせず妻が勧めようが何しようが投資は一切していなかった。ただ貯金はしていっていた。

それがガラッと変わったのは会社を体調不良で2ヶ月ほど休職した事及びその前後で検討した子供の将来の養育費だった。シングルエンジン(私一人で稼いで妻は専業主婦)で私学に通う子供を2人養っている上に住宅ローンも高額な習い事もあり、やや悲観目に試算した際に将来必要な年間費用の方が稼いでいる額よりも高かった事、および勤務先の都合で給与の業績連動比率が高く安定して稼げると考えていなかった事が投資のきっかけとなった。これが背景。とにかくその時は焦ったが、フローが入ってくる投資として高配当株や不動産を探していて、悲観的に考えた年収と副収入を足してなんとか乗り切れるか考え、またその投資先を選定して投資していた。同時並行して支出の改善にも取り組んだ。

ただし、上記状況は様々な努力と対応により変わり、記事の初稿を書いている2022年12月現在は子供の養育費についてはある程度見通しが立ったためそこまで切迫しておらず、また資産も築けている状態になっており、目的が変わってきている。

現状考えている目的としては、いわゆる経済的自由。なぜ経済的自由を追いかけるかと言うと自分の人生の選択肢を広げるため。人生の選択肢を広げて何をするのかはこれはこれで深く継続して考えていきたいテーマではあるが、少なくとも今のとにかく養うためには働くしか選択肢がない日々から建設的に考えられる日々にはしたい。勤務先の人とはその後の関係は良好なのですぐに辞めたいという思いは今はないが、地元の両親・義理の両親の老後を考えてもずっとこの生活が続けられる自信はなく、選択肢の幅を広げたい思いがある。

何をもって経済的自由と言うかは諸説あると思うし、一番万全なのは減配リスクが少ない企業へ投資している状況下での配当金が生活資金を上回る事だと思うが、それだとかなり時間がかかってしまう事もあり、ゴールとしては

(トリニティスタディに基づき)4%成長利回りを仮定して、生活費を切り崩しても100歳時点で資金が枯渇しない事

を自分なりの経済的自由のラインと設定している。配当金・不動産家賃収入で賄ってももちろん構わない。

なお売却時は初期費用考慮せず一律20%の税金がかかると計算する。将来の税金の増額については妥当な予見ができないが、ある程度タネ銭があることから、こう計算しておく事でかなりの安全マージンが織り込まれると考えている。

投資内容の詳細

上記投資目的を達成するために方針まとめに記載した方針をとっていくが、その個々の内容について以下に記載する。

株価が安定して成長する銘柄を選ぶ

母集団としてS&P500やダウ工業株価指数に載っているような会社および見聞きした会社をリストに挙げ、その会社群に対し、まずは長期的に安定して株価が上がっているかどうかを見る。

本来は逆で、永続的に成長する企業の株価がいずれは上がる、というのが考え方としては正しい認識。

ではなぜ自分がこのように選ぶかと言うと、上記の永続的に成長すると多くの人が考えているであろう事が、株価に現れている・織り込まれていると思うから。

安定して成長する、というのは期間的には10年ではやや短く、15年〜できれば30年くらいのスパンでのCAGRを、それぞれ5年単位で区切って見て、その数字が安定していたら、というのを目安にするのが良いと考えている。リーマンショックを生き延びている場合はその数字についても評価する。

もちろん下記の条件を考えていくとまだそんなに歴史がない会社もあり、その会社の場合は直近数年間の出来具合から悲観的に考える。とはいえ、2022年12月時点では割と悲観的な数字に自然と株価がなっているので、トレンドのうわべだけの銘柄は自然と淘汰されていると思っているが。

また、この方針をとって良いのは下記で裏を取っているからでもある。この方針のみを抜き出して実行するのは危険と考えておくべき。

選んだ銘柄についてなぜ株価が上がっているか調べてから資金投入する

まず数字的に最重要なのはEPSが年々増えている事。配当も連続増配しているとなお良い。10-Kの数字を遡れるだけ遡って見て、どういう時にEPSが下がっているかを確認する。

利益がマイナスな企業は、そのマイナスの程度が改善されてきているとしても、対象リストから外す。経営的にしっかりハンドリングされての結果であり利益以外は素晴らしい企業もあると思うが、自分にそれを見分けられる選球眼がないのと、あえてそのような企業を選ばなくても他にも素晴らしい企業はあるため。利益がプラスになり、安定的に成長すると自分的に考えられた時にリストに入れる。

また利益だけでなく売り上げの増加についても確認する。特に売り上げ減少してEPSが向上している場合、業態を大きく変化させない限りはそう遠くない未来に株価の上昇は停止すると考えられ減配に傾くと考えられるため、投資対象から外す方向で考える。

営業キャッシュフローと営業利益の関係についても確認する。不自然な営業利益の作り方をしている企業はこれでかなり弾けるという認識。

他にもフリーキャッシュフローやROIC、バランスシートの確認など色々あるが、個々には記載しない。

また10-Kを読み、ビジネスとして何が特別なのか、競合と比べた時に何が良い所なのかは、自分なりに一言は言える状態になっておくべき。その分野の専門家ではないのでここはいくら調べても絶対大丈夫!と自信がある状態には出来ないし、数字だけ良い会社だけれども代替しやすい会社については数年で化けの皮が剥がれるとは思い上記選別では残りにくくはなるが、やはりこれがあるのとないのとでは株価下落時の自分のホールドの強さにも影響するため。

連続増配実績は高く評価する

上記EPSの伸びにもつながるが、しっかり毎年配当を出している事及び、その配当自体が年々増加している場合、配当貴族という単語もある事からその企業の経営陣はその継続年数自体をおそらく重く考えているだろうと考えられる。今後もEPS増加を心がけた経営をしてくれる及び、そのような産業に属している、Moatを持っていると考え、高く評価する。

とはいえ、単独では評価せず、上記数字面や下記内容踏まえて母集団に残すかどうかは考える。

直近のトレンドに流されすぎない

投資を始めてからすでに多くのトレンドがあった。例を挙げると以下。

  • DX、クラウド、IoT関連

  • ESG、環境エネルギー

  • EV、リチウム電池

  • 中国

  • メタバース

シーゲル教授の本にもあったが、皆が儲かるだろうと思う業界には高い値が付くため投資のリターンとしてはあまり大きくならない。利益が出るのは意外と既存業界の地味な会社で、見た目そうではあるが他に替えがきかない所だと考えているので、流行りすたりに流されない事。

すでに終わったと思われる産業には乗らない

上記地味な既存業界の会社で言えば色々あると思うが、さすがにこの業界はトレンド的には減退していくであろうという業界にはなるべく投資しない。具体的には以下。

  • タバコ

  • 石油

  • 従来の自動車

  • 銀行

一時的な下落は買いのチャンスと見る

コロナショックでも味わったが、業界やそもそもの資産全体で一律で下がっている時は一時的な下落と考え、基本的には買い目線で検討する。

ポイントは下げている理由により長期的に見て会社の価値が毀損されているのか、という所にあると思う。

一方でその会社単体での下げであり何か会社の本質価値が失われていると感じた時には、傷を負っていようが頑張って売る。特に不祥事が続いている等企業文化的に怪しい時はなるべく早く遠ざかる。

事業の堀が深そうな会社を選ぶ

色んな角度からその会社の事業の堀について調べたり考えたりして、自分なりの仮説を作る。調べ方の方法としては、例えば以下がある。

  • 会社の10-Kを読む

  • ググる

  • Twitterで検索

  • 労働側から見た評価を見る

  • その会社が扱っている商品を売っている会社の10-Kを見る

  • 使っている人の情報を調べる

  • 競合の10-Kを見る

資産の保全を考え分散させる

2022年に新たに入れた視点。今まではマネーの公理の視点からなるべく早くゴールに届くために集中的に資金を入れて伸びを重視していたが、その結果としてFEDの金融引き締め観点では強くないポートフォリオになっており、NASDAQ 100よりはマシな成績だがS&P500同等もしくはやや低いくらいの結果になってしまった時期があった。

投資方針に合致する株式を多く入れたポートフォリオにしていくと長期(約20~30年)目線でのCAGRはあまり変わらないと推定されつつも、今回のような市場が軟調な際にも下落幅を大きくしないポートフォリオにはできそうなので、なるべく分散する事を心がける。

なお分散させる株式数としては、マルキール先生の本にも記載のある通り、50銘柄は超えるようにする。

現金比率は低くする

仮想通貨・コロナショック・コロナ後の融和バブルで感じた事だが、自分はバブルの山から逃れるすべは持っていないし、下落し始めた時に握ったままになってしまう傾向がある。そう考えた時に、値段が高くなったから売ろうという発想がなかなかできない。損失を確定させるにも勇気が要る。

これは逆も然りであり、ここまで下がったから買おうという事も自分には難しい。値段が戻ってきたなーと思って買うという傾向にある。そしてPERで考えるとこれだいぶ安くなったなと思っても、実はトラップに引っかかっており、買った後から悪材料が市場に情報として出てきて実は市場はそれを織り込んでいたというパターンもあった。

株式の適切価格を見極めていくアプローチ(将来のフリーキャッシュフロー予測を出してそこから予想株価を割り出す)についてもトライしてみたが、ベータの数字一つで大きく変わったり、設定によってマイナスになったりと自分はまだそこまで扱いきれない。

予測できる努力については継続する価値はあるが、それが実を結ぶまでは、長く成長すると考えられる企業について一定方針で分散投資していくアプローチを継続していく。

なので、現金保有比率を高める・緩める等の戦略は現時点では取らない。

資金投入先は、複数の数値を鑑みて決断する

上記のように選んできた銘柄群について、じゃあ実際に資金投入する時にどこから投入しようかというとまた悩んでえいっと決めていたのだが、下記のようにルール付けして購入していくトライをしている。ここは目下トライ中なので変化するかもしれない。

ルール

まず上記で複数候補に挙げた銘柄について、GoogleFinanceでNASDAQ100の数字が取れる最も昔の時期(約27年前)までについて、株価の5年毎のCAGRを出す。そのCAGRを見て、銘柄単体での長期的なCAGR予測を出す。数字をそのまま使っても良いし、直近の状態を踏まえてもう少し悲観的に、もしくは逆に楽観的に出しても良い。また配当を出している会社については、上記数字に配当利回りを加算した数字を出す。これをその会社から長期的に見たリターンとみなす。昔の数字をしっかり持って来ればくるほど、直近の株価には大きく影響されなくなるのがポイント。

次にそのリターンの割合に応じて、それぞれの株の理想配分を計算して、目標投資の目安額を設定する。例えば、A社のリターンを10%、B社のリターンを15%、C社のリターンを5%と見ているとして、目標が5,000万円であったとすると、A社は5000 × 0.1 / (0.1+0.15+0.5) = 1667万、B社は5000 × 0.15 / (0.1+0.15+0.5) = 2500万、C社は 5000 × 0.05 / (0.1+0.15+0.5) = 833万、となる。運用込みでだが、各銘柄に対してはこの額になるよう投資していく事になる。

これで目標額が出たので、下記についてそれぞれランキングを出した後、その銘柄におけるランキングの総和のランキングを取り、その数字が小さい銘柄から購入していく。

  1. 騰落率の大きい順。

  2. 連続非減配年数の大きい順。

  3. 保有額目安との差(厳密にやるなら将来の目標額から割り引いて今の価値に直した時の額と、現状保有額との差。これをやるなら何年後に達成するという時期の目標が要る)

これが現時点でのマイルール。

その他気をつける事

適宜書いて行く。

  • CEOや主要メンバが交代した会社については、そのCEOが軌道に乗せるまでは新規購入を控える。例えばAmazonがそれ。Googleはピチャイ氏の経営面での手腕はまだ未知数。AppleやMicrosoftはすでに結果が出ていると見ている。

  • 数字が良くても実際に自分がイマイチ信じられない会社には投資しない。実例で言えばMeta。Facebookによるキャッシュフローは素晴らしいが、その後の成長が自分の中ではイメージできない。容易に離脱しうる割には時価総額が高い。

やめた投資方針の理由

資産形成を重視し、なるべく集中的に投資する

マネーの公理に、資産を増やしたいなら集中投資とあった通りそれでしばらくは伸ばしていたが、ある程度増えた事と2022年になってからS&P500以上にマイナスを食らってしまったこともあり、長い目では同程度のリターン、直近のような時でも過去数字を使っての計算上はダウ以上のリターンを得られるような分散型のポートフォリオに変更。

とはいえ、現代ポートフォリオ理論までは行っていない。現代ポートフォリオ理論の目から考えると、そもそも株式ほぼ100%なので標準偏差が大きすぎるポートフォリオになっているはず。今はそれを許容している状態だが、実際にリタイア生活すると仮になった場合はもう少し違った形について検討するかもしれない。

流行りの投資に乗る(高配当株)

コロナショックの少し手前までは高配当株についてかなり調べたり購入したりしており、調べた銘柄で言えばARCC等BDC銘柄や、当時は利回りが高かったBTI、RDS、Mなどを保有しようとしたり、保有したりしていた。ただ、あまりに持っていて株価の上下が不安な毎日かつ、これで経済的自由を成し遂げられるイメージが持てなかったのでこれは何かが違うのだろうと思い手放した。

たまたまキャピタルゲインも取れ、さらに売ったタイミングがコロナショックより前だったのは本当に奇跡に等しい。

今の投資方針の場合、長期で持って入ればまあそのうち上がるだろうという開き直りができるのは保有していて本当にストレスがない。ボーナス以上に上下動する日があると少し驚く事もあるが、そもそも毎日株価を見なくて良いし、そう心配しないように組むのがポイントだと思う。

流行りの投資に乗る(仮想通貨)

投資の入り口としては、米国株と仮想通貨がほぼ同時だった。仮想通貨は会社の先輩がやっており得た資金で早期リタイアするほど稼いでいた事もありかなり頑張ってやろうとしたが、急激なバブルの崩壊に売りが追いつかずあっという間に含み益が消し飛び、最後は少しマイナスくらいで終わった。

個人的には仮想通貨をやって感じたのは以下だった。今は低迷期でおそらく今仕入れれば5年後にはかなり上がっているのかもしれないが、自分の中での投資はそういうものではなくなっているように思う。

  • 株式のEPSのような価値がある程度わかる指標がないので何にこの資金を出しているのがわかりにくい

  • 上下動がすさまじくかつ、価値がなんなのかわからないものに投資しているので、日々の心配がすごい

  • 利益確定時に雑所得になり税務上のうまみがない

  • こうだから将来的に大丈夫だよ、と妻に説明できない

流行りの投資に乗る(米国グロース株)

米国株の中でも利益がまだ出ていない株式に対し、かなりの速度で上昇するのでそれに乗ろうと考えた事もあったが、上記方針を立案中だった事もあり乗らなかった。

2022年の結果を見ると、結局この方針により助かった所は大きい。投資はとにかく土俵に残り続ける事が大事というのを感じた年だった。

今伸びていてここ数年伸びそうな国に投資する(中国)

世界の製造業を一手に引き受ける中国は、今の勤務先の会社でも投資対象に考えることが多くかつ、実際に中国に行くとその商売っ気の強さと変化のスピード感から日本では敵わないなと思い投資先に考えていた事もあったが、人口ピラミッドの図を見て本当に長期で見たときは中国ではなさそうと考えたのと、あまりに国の方針が激しく変わりかつその結果により企業活動も劇的に制約がかかるため、投資対象の国としては外す事にしている。

おそらくこれで失われるリターンも大きい事もあると思うが、自分の納得感の問題なので、これで上がったとしても個人的には後悔しないと思う。

バランス的に重きを置かない方針の理由

インデックス投資

全くやっていない訳ではなくやっており継続にはなるが、インデックスの中に含まれる銘柄を見た時になぜこの会社が?という会社群も多く含まれるので、そういう会社に対して実際に積極的に投資して行くのかというと自分的には疑問に思ったため重きは置かない運用で考えている。

ただ今は自分が考えた投資法でそれはそれでリスクは高い(そもそも上記のような会社の良い所もあるはずだが自分で見いだせていないのは大いに実力不足)だろうと思うのと、将来的に自分がボケると実運用はしていけないと思うので、色んな事を考えてそのうちどこかでインデックスに切り替える時がくるとは思う。

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