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小学生にも人見知りする私

会社に行かなくなって早いもので一ヶ月が経った。
平日は元の生活リズムをギリギリ維持出来ており、仕事を始めるのも大きな問題はないと思っていた。

今日は朝から雨だった。
子どもの通う学校は定期的に、登下校で保護者が旗当番をしている。
学校によって差はあるだろうが、
私の場合、時代とともに強制ではなくなり、ボランティアで、というスタンスで成り立っている。

やらない人は一生やらないのだろうけど、
できる範囲でやってますよアピールをしたい私は
今日道に立つことを決意した。

誰も見てないのはわかっているのに、村八分を避けたい。
また、親の行動による子どもの不利益につなげたくない。
時代は変わっているのに、学校や地域というコミュニティでは
ふた昔前の考え方になってしまう。
子どものためと言いつつただの親のエゴではないか。
本心では面倒で行きたくないのだ。

どんよりとした私と対照的に、
子どもはいつになく饒舌であった。
当番ポイントに着くと、ここじゃない?とクールに告げて、足早に学校へ向かって行った。
成長が嬉しく、少し寂しい。

交差点は普段から交通量も人通りも多いが、
傘がある分、道の幅に対して人口密度がやけに
高く感じる。

他にもポイントはいくつかあるはずだが、
周囲に当番者を見つけられず、完全にアウェーである。
周囲からの目線は置いておき、
小学生が無事に信号を渡れることを意識した。

雨だし、寒い。
足取りの重い小学生に元気な挨拶を届けたかったが、信じられないくらい声が出ず、低い。
年取った上にここ一ヶ月人と話してないから。
出そうと思えば思うほど声が震える。
多分顔もひきつっているし、笑顔もない。
表情筋がどこかへ飛んでいってしまった。

大抵の子はちらっとこっちを見て目線を地面に向けるが、
たまに笑顔で挨拶を返してくれる子や
恥ずかしそうに会釈する子もいる。
なんていい子なんだ。
感動して涙が出る。
どうでもいいと思いますが、はじめてのおつかいで号泣する私です。

うるうるしている声が低いおばさん。
うーん、思ってたのと違うんだよ。
情けなく、帰り道はしょげていた。

こんな私だが役立ったと思えることもあった。
【児童横断中】の旗の効果か、日本人の気質かはわからないが、
誰か立っていると自然と交通ルールを守る人が
増える。
集団の高校生も信号が点滅すると、小走りに移動し、赤信号でのんびり歩いている人はほぼいない。車も無理に右折してこない。

親になって特に、登下校中の事件や事故をニュースで見ると心が痛む。
時間が戻ればとも思うけど、そんな力はない。
もし私に何かできるとしたらこういう小さなことくらいだ。

と、いいつつ
声が出ないダメージが大きすぎたので
しばらくボランティアはお休みします。

ヘタレなのも自分らしい。



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