国際社会のカギとなる「グローバルサウス」とは何か

今、国際社会の鍵を握っていると言われるのが、
インド、ブラジル、南アフリカ、
インドネシア、フィリピン、タイなど、
「グローバルサウス」と呼ばれる国々だ。
そもそも「グローバルサウス」とは何か。

明確な定義はないが、
いわゆる「途上国」の中で力をつけ、
発言力を持つ国を指す。
多くの国が南半球に属するので、
こう呼ばれているという。
5月7日放送の「激論!クロスファイア」(BS朝日)では、
神奈川大学教授の大庭三枝さん、
慶應大学教授の細谷雄一さんに話を聞いた。

これらの国々は、
政治体制も、経済状態もさまざまだ。
かつての冷戦時代は、
「第三世界」と呼ばれる、
南半球の国々を、
アメリカとソ連が取り合っていた。
しかし、今は違う。
グローバルサウスの国々は、
大国に依存するのではなく、
「主体として動いてアメリカや中国を動かす。
従来の途上国とは違う」と細谷さんは言う。

では、具体的に、
どう「主体的に」行動しているのか。
最も注目されるのは、
ロシアのウクライナ侵攻に対しての対応だろう。
ロシアに対する国連総会決議で、
インド、南アフリカはすべて棄権、
インドネシアやブラジルは一部棄権。
その態度は、欧米とは一線を画している。

グローバルサウスの多くの国は、
かつて帝国主義、
植民地主義の脅威にさらされた過去を持つ。
「大国が他国に軍事侵攻することに、
サポートするわけがない。
ただし、一部の決議に棄権するのは、
どちらかの勢力に与したくない、
先進国の言いなりにはならない、
というデモンストレーションでもある。
またロシアとの関係も大切にしたい」
などの理由が考えられると大庭さん。

インドはそもそも、
武器を購入するなど、
ロシアとは親密な関係にある。
そのような関係がありながら、
「反対ではなく棄権でおさまっていることを、
もっと評価してもいい」と大庭さんは言う。
なるほど、「棄権」というのは、
インドにとっては、
精一杯の抗議ということなのだろう。

そんな「グローバルサウス」の国々に対して、
日本はどのような関係を築いていけばよいのか。
大問題である。
まずは広島サミット開催が、
5月19日に迫っている。

細谷さんは
「サミットで重要なのは、
G7だけで決めているんじゃないというアピールです。
キーになるのはやはりインド。
G7の議長国日本と、
G20の議長国であるインドが連携する、
これが日本の戦略の中核です」と言う。

岸田首相に、
重要な「橋渡し」ができるのか。
注目したい。