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戦略の定石 #28
経営戦略の基本は「差別化」であると、過去の投稿で何度か述べました。
これは人にも当てはまるもので、「コモディティー化」してしまうと「替えのきく人材」として、安く買い叩かれてしまいます。これは、「武器シリーズ」の瀧本哲史さんが指摘しているところです。
マイケル・ポーター教授は、経営戦略論の中では、外部環境に整合的で、ポジショニングの重要性を取る立場です。競合に対してどのような立ち位置を取るかに重きを置いたもので、ポジショニング派と呼ばれます。つまり、「差別化」が戦略の定石だとしています。
ちなみに経営戦略論のもう一つの立場が、ジェイ・バーニーのケイパビリティ派で、これは内部環境に整合的で、RBV(Resource-Based View:リソース・ベースト・ビュー)に重きを置いたものとなります。つまり、自社の「強み」が競争優位の源泉だとするものです。
この両方の立場は長らく論争を繰り広げて来ましたが、外部環境にも、内部環境にも整合的であるべきというのは当然のことであり、「差別化」には自社の「強み」の発揮が必要ですし、自社の「強み」の発揮は「差別化」に繋がりますので、どちらが正しいかというよりは、同じものを異なる視点から見ているに過ぎないと思います。
ところで、マイケル・ポーター教授は、「3つの基本戦略」を提唱しています。それは、以下の3つです。
コストリーダーシップ戦略 → コスト面で優位に立つ戦略
差別化戦略 → 競合とは異なる特徴で優位に立つ戦略。一般的に高価格高品質。
集中戦略(コスト集中、差別化集中)→ 特定の市場やターゲット顧客に対して、コストリーダーシップ戦略や差別化戦略を展開するもの。一般的に経営資源の限られた中小企業などが採用。
とはいえ、マイケル・ポーター教授は、ポジショニング派なので、この3つの戦略は基本的には「差別化」の文脈で一貫しています。
一般的な誤解として、「コストリーダーシップ戦略」は安売り戦略だと思われるケースがあります。しかし、実際は安売りするのではなく、利幅を稼げるコストを維持することで、それによりいつでも価格を下げられるというプレッシャーを競合にかけていきます。
つまり、低コストを維持できるという自社の「強み」を活かした戦略で、これもコストで「差別化」をはかるという一種の差別化戦略となります。
マクドナルドやユニクロ、ニトリは、物流システムの効率化や規模の経済の強みを活かしたコストリーダーシップ戦略(コスト差別化戦略)の代表例ですし、アパレルのZARAやベネトンはバリュー・チェーンの強みを活かしてトレンドや特徴あるデザインを取り入れた差別化戦略の代表例です。
持続的競争優位を確立し、業界をリードしている企業は、自社の得意技で、何らかの「差別化」を図っています。この「コモディティ化」しない何らかの特徴があるということがとても重要になります。
それは、なぜそれを買うのかという「理由」を与えることでもあります。
やはり、企業も人も「差別化」が戦略の定石と言えると思います。
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