生成AIの恩恵はMLCC関連各社(村田製作所、TDK、太陽誘電)へ

株式市場には生成AIのファンファーレが鳴り響いている。

ChatGPTの登場により大手ITによる生成AIへの莫大な研究投資が始まった。

生成AIの研究・開発にかかせないGPUおよびそのプラットフォームを展開するエヌビディアは垂直的に業績を伸ばし、株価は2年で6倍になった。

エヌビディア 2年株価チャート

エヌビディアの好調に伴って、まず半導体製造装置メーカーの株価が吹き上がった。日本企業でも東京エレクトロンを筆頭に、製造装置メーカーの株価は大きく上昇した。

東京エレクトロン 2年株価チャート

もっとも、製造装置メーカーの業績寄与はこれからということろで、エヌビディアのように直近決算ですでに利益貢献が表出しているわけではなく、今期あるいは来期の業績貢献を織り込んで上昇しているものである。

エヌビディアの業績がここから短期的にさらに伸びることは現実的に想像しづらく、予想PERも50倍弱とそれなりに織りこまれている。

半導体相場の第1波はいったんここで打ち止めだろう。さらなる株価上昇の可能性は否定しないが、初動で乗れなかった以上、これからの投資はリスクリワード比ではあまり良い投資にはならないだろう。

AIスマホは買い替え需要を促すか

生成AIは実装段階というよりも、大手IT企業による研究開発が猛烈に進んでいる段階であるが、今年の秋に発売されるiPhoneに生成AIが搭載され、いよいよ広く社会普及がなされる段階の入り口にある。

米アップル、AIの新機能を発表 iPhoneに生成AI採用 - CNN.co.jp

また一足先にサムスンはGalaxy24シリーズにAIを搭載しており、そのAIスマホはかなり売れ行きが好調のようである。

サムスンのAIスマホが好調だと、AIが搭載されたiPhoneにも期待が持てるところである。一方、生成AIによってスマホがどれだけ売れるかは現段階では予測しづらい面もある。

ただし、AIの搭載有無はさておいても、近年のスマホの買い替えサイクルはほぼ3年となっており、前回の大きな買い替えサイクルが2021年であることから、基本的に2024年は相応にスマホ需要が高まる年と言える。

MLCC(積層セラミックコンデンサー)関連

村田製作所HPより

MLCCとは米粒よりも小さい電子部品で、スマホには500個、EV車には1万個近く搭載されると言われている。用途としてはスマホ・PC向けで4割、自動車向けが3割といったところだろうか。

太陽誘電 決算説明会資料より

直近のMLCCはスマホ需要が弱かったこともあり、MLCC関連各社(村田製作所、TDK、太陽誘電)直近期は大幅な減収減益となっている。

しかしながら、生成AIスマホの登場により、あるいは単にスマホの買い替えサイクルにより、今期あるいは来期以降にMLCC需要が高まるのであれば、MLCC関連株はロング候補の銘柄となる。

実際に貿易統計からMLCCの輸出金額を見てみると、去年末ごろから前年対比で底打ちしており、輸出金額も2022年水準まで戻りつつある。

ちなみに、MLCC市場は村田製作所、TDK、太陽誘電の日本勢3社で世界シェアの大半を占める。

村田製作所 10年株価チャート
TDK 10年株価チャート
太陽誘電 10年株価チャート

まさにMLCCの底打ちと軌を一にして株価も動意しているように見える。

MLCCの底打ち・AIスマホ関連銘柄として村田製作所、TDK、太陽誘電は投資候補としてなかなか面白いではないだろうか。

※本記事は、あくまで筆者の株式分析、企業分析の記録であり、投資活動の勧誘または誘因を意図するものではありません。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。また、本記事は不特定多数の者へ無償で情報公開されるものであり、投資助言に該当するものではございません。

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