守備のフレームワーク

フレームワークで見る2019年のツエーゲン金沢 ~タギリスト的リポート②~ 守備編

今回はこちらの本を参考に、2019年のツエーゲン金沢のサッカーを4つの局面(守備・ポジティブトランジション・攻撃・ネガティブトランジション)とセットプレーに分けて分析していきたいと思います。本の順序に沿ってやっていきます。今更ですが、とても素晴らしい本なのでよろしかったら読んでください。

https://www.footballista.jp/books/45705

最初にツエーゲン金沢の基本的な事ですが、フォーメーションは4-4-2です。4-4-2にも複数種類がありますが、静的な陣形としては2列目は比較的フラットだと言っていいのではないでしょうか。他の種類についてはここでは触れないのでどこかの戦術サイトをご覧ください。

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山本義道と石尾がCB(センターバック)両サイドは沼田と小島はSB(サイドバック)、加藤と金子はSH(サイドハーフ)で大橋と藤村は両者とも攻撃参加もしますし、中盤の底で相手のボールを奪取して攻撃の起点となる役割も行いますのでCH(センターハーフ)とします。FWは垣田がCF(センターフォワード)で山根の位置は選手によって少し役割が違ってきますがST(セカンドトップ)、杉浦の場合はより下がり目のOMF(オフェンシブミッドフィルダー)となると思います。

ポジションの解説は下の表の通りです。

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守備の局面:「プレッシング」①「攻撃的プレッシング」

金沢の基本は「攻撃的プレッシング」に分類されるものだと思います。動画でわからなかった方は下の図をご覧ください。

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このようなプレッシングに対しての対処法として、サイドバックを釣り出す動きをしてスペースを空けさせて、そこに進入する崩し方や

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もしくは、オーバーロード(負荷のかかり過ぎた状態)を片方のサイドで作り出し反対のサイドでアイソレーション(孤立)になる選手にパスを出しサイドチェンジする崩し方などがあります。

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守備の局面:「プレッシング」②「超攻撃的プレッシング」

また、試合展開や選手の判断によってGKがボールを持っている時でもプレッシャーをかけにいく「超攻撃的プレッシング」になる場合もあります。

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また、金沢が超攻撃的プレッシングをかけていく時には、選手個々の判断で動いている事が多いので、全員が連携してプレッシングの強度を高めているとは限りません。ですから、パスコースを見極めれば、簡単に最初のプレッシャーラインの突破が可能となる場合が多いです。

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ここまでが動画で示した図です。

また、3バックを採用するチームに対しても同様のプレッシングを行っていきます。1トップを片方のCBが担当し、2シャドウをSBが見るような形で3-4-3の前線3人に対して4人で守るのが金沢の対応になります。が、「攻撃的なプレッシング」にしろ「超攻撃的なプレッシング」にしろSHが3バックのHV(ポジション解説参照)を見るのかWBを見るのかといった感じでSBとの連携がイマイチ取れず対応が遅れる時がありました。その為、HVがボールを持って前進出来たり、サイドから1対1で崩したりといったシーンが多く見られたと思います。(甲府・山形・大宮など)

なぜ、対処法を言及するかというと、分析とそれに対する攻略は考え方としてはセットな訳です。どちらか一方だけでは成り立ちません。なので、金沢をこのやり方を用いて分析するにあたっては、攻略や対処もセットで行っていきます。プレッシングではファイナルサード、ミドルサードの守備を主に見てきたので次はファーストサード(自陣側1/3)の「組織的守備」を見ていきます。

守備の局面:「組織的守備」

金沢はマンツーマンディフェンスを採用していますので、4ー4-2であれば通常ゾーンディフェンスを採用しているチームであれば4-4または5-4でブロックを組む守備陣形になります。(下の図は4-4-2の相手がゾーンで守っている際の金沢の攻撃ターンの一例)

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しかし、金沢はマークする敵選手についていく守備をしているので「プレッシング」の局面から対応はあまり変わりません。ただ、相手が後列からビルドアップしてくるような攻撃の組み立てをしてくる場合を次の動画で説明します。対処法もセットです。

動画でわからなかった方は下の図をご覧ください。

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この場合の対処としてもオーバーロードとアイソレーション、またSBを引き出してその後ろのスペースを使うなどがありますが、金沢は最終ラインを出来るだけ上げてコンパクトに守り、ボールを相手から奪取してカウンターを狙っていますので、FWがCBの死角に入って裏を取る動きをする事が有効だと思います。周囲が連動して動きフリーになれる選手をつくりだします

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サイドは「幅を取る」という言い方をしますが、タッチライン際に立ち金沢の選手を引き付ける事で空間を作ります。金沢FWが2対2の状況だとプレッシングにきてボールを失う事も考えられますので、その時は下のようにアンカーが一列下がって回避します。

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金沢の場合は、山本義道がなかなかボールを持って前を向かせてくれないので逆の石尾(廣井)を狙って当たり負けしない身体の大きいFWに、ポストプレーをさせてセカンドボールを狙うか、ボールをサイド深くに持っていく事で金沢の陣形が崩れるので、中央を空けさせてミドルシュートを狙います。

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動画はここまでです。

「組織的守備」3バックの対応と対策

また、3バックに対しても基本マンツーマンで対応してきます。3バックに対する守備と対策動画です。

分からなかった方は下の説明を見て下さい。

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前述したように、サイドの縦の動きに対してマークの受け渡しが十分に出来ていない事があるので、ビルドアップの際に前でボールを受けようとするのでは無く、下がって受けるようにしてマークを迷わせれば隙間が生まれます。下の図の通りです。

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HVが進入すると周りの味方は(金沢の敵)守っている金沢の選手に対して動きが見えるようにしてマークを外させないようにします。

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ボールを持って敵陣(金沢陣内)深くまで進入出来たら今度は逆に金沢の選手の視界から消えるような動きをしてクロスやパスを受けやすいようにします。

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またレイオフの動きをしてPA内に入り込むのも有効です。

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白井くんがボールを弾いた際にも、金沢ボランチの動きに合わせて競ってボールを奪い獲れる確率が高く、二次攻撃に移行しやすいです。

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動画はここまでです。

守備の局面は以上になります。次回は守備から攻撃に移るポジティブトランジションと攻撃の局面について分析します。

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