中学受験の算数の図の書き方
中学受験の算数を指導していて思うこととして、図を書けない人が本当に多い。
算数・数学の極意は、詰まるところ日常言語を数学語(数式)に翻訳し、それでもわからないところは二次元言語(絵)に翻訳して、わかりやすいところから攻めていくというのが定石である。
ただ、数学語に翻訳するのは英語に翻訳するのとさほど変わらない。特に昨今の小学生は英語に親しみがある分、翻訳ということに抵抗は少ない。
一方、絵にするということは、写実画ならまだしも、算数の場合は抽象画を描くことに他ならない行為であり、抽象的思考に慣れていないとものすごく難しい行為である。
そう考えると絵が書けないというのは至極当然のこととも言える。
とはいえまず書きはじめてみないことにははじまらないので、どういう問題の時にどういう絵を描き「はじめるのか」を私が普段授業や解説動画で説明する時に使う絵の代表的なものを挙げてみる。
多少説明を書いてあるものもあるが、太文字のタイトルと絵だけを見比べて、問題を読みながらこういう絵が描けるように練習してほしい。
AとBが向かい合って進むとき
Aさんが分速30m,Bさんが分速50mで1200m離れたところから同時に向かい合って進む絵。
向かい合って進むが、途中で速さが変わったり、何度も折り返す時
家から学校までの距離が1200mで、Aさんは学校を8:00に分速20mで出発、Bさんは10分遅れて家を分速25mで出発した場合。
この絵は話の流れによって次のように成長する。
まずAさんとBさんが出会う
Aさんが家に着いたらすぐ折り返す
Bさんは途中少し休憩して、再度歩き出す。
りんごとみかんを同じ個数ずつ箱に入れるお話
りんご2個とみかん3個をたくさんの箱に入れていった場合、みかん2個だけが余った状態
等間隔で走る電車に人が追い抜かれるお話
8分間隔で走る電車が人を追い抜いていく場合。
すれ違う場合は人の方の矢印を逆にする。
濃度の違う食塩水を混ぜるお話
濃度3%の食塩水100gをAの容器に入れ、濃度10%の食塩水200gを容器Bに入れた場合。
ちなみに、量が両方とも同じであれば混ぜ合わせた濃度はちょうどこの線分図の真ん中になるし、この問題の場合はBの方が多いので、真ん中より右側のところに混ぜ合わせた時の濃度がある。
2つの食塩水から等しい量を取り出して交換するお話
本のページ数の問題
1日目に全体の3分の1を読み
その結果残りは全体の3分の2になって
2日目には残りの半分を読む
仕入れ値と利益の問題
1500円が仕入れ値で、それに3割の利益をつけて売る場合。
利益が絡む問題は縦線にした方が感覚的にわかりやすい。
兄が弟にお金を渡す
結果等しい金額になった状態
池の周りをジョギング
AさんとBさんが反対方向に進む
出発地点から反対の点より80mずれたところで再度出会う
生徒会長選挙
AさんからEさんまでの5人が生徒会長に立候補して、そのうち2人が会長と副会長に選ばれるお話の場合
とりあえず思いつく限り挙げてみた。
日々の解説で思い出したものがあれば、随時更新予定。
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