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ホームインスペクターのつぶやき12

「3、天井裏・小屋裏」
床下と同じく、既存住宅、中古住宅の状態で不具合がなかなか気がつきにくい場所に天井裏・小屋裏があります。
天井裏・小屋裏を点検するには危険が伴い、なかなか隅々まで確認できない為に専用のカメラを使用して点検します。

天井裏・小屋裏は全方向ライトを備えた専用の360度カメラで隅々まで確認します。

A、雨漏り
普段の雨では雨漏りしなくても、風向きや雨の程度によって雨漏りする場合があります。
多くの木造住宅では小屋裏(軒や棟)に通気の為の隙間や通気口を設けています。台風などの強風を伴う雨は真横や下から雨が吹き上げてきます。
その時に通気口から雨漏りする場合があります。
又、屋根の形状によっても雨漏りし易くなります。特に屋根に谷になる部分があると雨漏りの原因になります。
屋根材や屋根下地、防水層の経年劣化によっても雨漏りします。
更に屋根のリフォームや太陽光パネルの設置の工事の釘打ちの不具合や屋根塗装の施工方法によっても雨漏りを起こします。
天井や床に水が落ちて来れば雨漏りと気がつきますが、そこまで行かない雨漏りが少しずつ進行していると、木材の腐食や断熱材の水吸収によるカビや結露など、重大な被害につながります。

台風等の特別な風向きの際に小屋裏の通気口から雨水が吹き込み、木材を濡らしてカビや白い腐朽菌が発生しています。このまま放置すると木材を腐らせてしまいます。
屋根のリフォームでガルバニウムという金属の屋根材を既存の屋根に重ね貼りしたお宅ですが、釘が垂木(屋根の下地角材)から外れて打たれています。雨漏りする可能性があります。
屋根の防水シートが劣化して、屋根材を止める釘の部分から雨漏りしています。断熱材が水を吸ってしまうと断熱効果が無くなり、カビを発生させてしまいます。
屋根の塗装工事の際に縁切りという屋根材の重なり部分に隙間を作らずに、塗りつぶされてしまうと雨漏りの原因になります。

B、接合金物の不具合
1970年代以降の木造住宅には構造部材の接合に金物が使用され、天井裏・小屋裏にも用いられています。
しかし使用基準や施工方法が統一されていなかった事もあり、接合部分の補修・補強が必要な物件が多く見られます。構造材の接合金物の不具合は耐震強度に直結する重要なものである為に、しっかりと確認する必要があります。

小屋裏に雲筋交(くもすじかい)と言われる斜め材が設置されます。これは屋根を支える構造上重要な部材です。しかし大工さんが雲筋交の役割や施工方法を正しく知らずに、新築時から不具合になっている事があります。
天井裏・小屋裏には柱や梁の構造部材を緊結する為に羽子板ボルトという金物を使いますが、木材が乾燥してくると木が痩せてボルトが緩んでしまっている事があります。ボルトの増し締めが必要になります。
金物が両側に必要な部分ですが、両側共に設置されていません。

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