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ホームインスペクターのつぶやき3

「1、基礎」 
A、ひび割れ-その1
住宅の調査をしていると基礎の外周部や内周部にひび割れが見つかる事があります。
基礎と言われるだけあって、住宅にとっては一番重要な部分ですが、どのように対応したら良いのかが分からず放置してしまったり、内周部は床下に潜らないと分からない為に気が付いていない事が多いと思います。
ひび割れといっても軽度なものから重大なものまでさまざまあります。それぞれの程度にあわせた対応方法について発信します。

①軽度なひび割れ
(木造・鉄骨住宅の)基礎の外周部には、基礎本体に化粧モルタルという基礎の見た目をきれいに見せる為の厚さ5mm程度に薄く塗られた部分があります。(化粧を施していないコンクリート打ちっぱなしの基礎の場合もあります)
基礎本体はコンクリート(セメントに砂、砂利の骨材と水を混ぜ合わせたもの)と鉄筋でできており、構造耐力重要なものですが、化粧モルタルは構造には関係ありません。
モルタルはセメントに水を混ぜたものです。時間が経ち、水分が蒸発するとひび割れが起こります。化粧モルタルは5mm程度の厚みしかない為、ひび割れはおこりやすいです。
新築でも早ければ1年くらいからひび割れがおこります。
インスペクションでは幅0.5mm以上のひび割れは不具合と判断しますが、もしそのひびが化粧モルタルだけであればそれほど心配する必要はないと思います。しかし化粧モルタルのひびが広がり、水分が入り込むと化粧モルタル自体が剥落することがあるので、注意は必要です。

②中程度のひび割れ
基礎本体はコンクリート(セメントに砂、砂利と水を混ぜ合わせたもの)と鉄筋でできています。
基礎本体にひび割れが生じている場合には幅0.5mm以下のひび割れでも早めに補修する必要があります。
コンクリート打ちっぱなしの基礎であれば基礎本体のひび割れはわかり易いのですが、化粧モルタルが塗られていると、なかなか見分けがつきません。
その場合はピアノ線などで深さを測ります。深さが5mm以上だと基礎本体にひび割れが発生していると疑われます。
基礎本体にひび割れが起きているだけでは、すぐに倒壊の危険があるという事ではないかもしれませんが、将来重大な欠陥になる心配があります。
基礎は圧縮力に強いコンクリートと引っ張り力に強い鉄筋が組み合わさって強さを出しています。
鉄筋は空気に触れるとサビます。サビると体積が2.5倍程度に膨張し、コンクリートを爆裂させます。
打設したてのコンクリートはアルカリ性である為にコンクリートに覆われている鉄筋は酸化せずにサビません。
しかしコンクリートも1年間で0.5mmずつ中性化していくと言われています。基礎は鉄筋の外側に最低でも40mmのコンクリートがある為、80年間は中性化せず、鉄筋の酸化(サビ)は防げる事になりますが、ヒビがあるとその分早く鉄筋がサビてしまい、基礎本体に重大な欠陥を抱える事になります。
基礎本体のひび割れは外周部であっても、内周部であっても正しい方法で補修する必要があります。
補修方法にはひび割れ部分をV字カット又はU字カットで幅を広めにカットした上で、エポキシ樹脂を充填してから無収縮モルタルを塗って表面を整えるなどの方法があります。

次回につづく


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