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妄想家族 『忘れられた彼』

母はアニバ女だ。とかく記念日にうるさい。だが、口には出さない
口には出さないが、だだ漏れではあると思われる

母はアニバ女だ。だから記念日には「恒例の~」というなにかが欲しかった
それはいずれ、子どもが大きくなればだんだんになくなっていくものだとは思っている。それでも、巣立ちのあとも共通の会話で家族団らんできる話題が欲しいと思ったのだ

母は記念旅行を提案した。いつまでも子どもも大人も楽しめる場所がいいと思った。そこで選んだのは夢の国だった
一年目はランド、二年目はシー、三年目はランド、そして四年目はシー。区切りの五年目はミラコスタに宿泊して両方…と、計画も立てられていた。しかし、それは4年目で破綻した。いろいろと事情はあるが、それはここでは言わないことにする。とにかく四年目の計画途中で頓挫し、それ以来その「恒例の~」はなくなってしまった

彼は、浮かれた二年目のノリで母が父にねだった10000万円の品だった。しばらくはリビングのソファでいつも一緒に座っていた。そのうち子供部屋に移され、だれも使わない部屋に移動して忘れられた。そのままだと誇りを被ってどうにかなってしまうと、ようやっと袋に詰められ箪笥の上に追いやられた。それが上の写真。なんだか悲しい

もうかわいいとも思えない。なんで買ってしまったのかとすら思える。思い出にもならなかった。今後彼が活躍する場はやってくるのだろうか・・・・




まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します