玄関__2_

VS. しんぶんやさん〈前編〉

近頃、玄関付近が騒がしい

ポストの脇に敷かれた砂利が、乱れている
猫の通り道になっているのは知っていた・・・・が、それだけであんなにも激しく道路に散乱するものだろうか?

と、思っていたらなんと、新聞屋さん。表の受け口を使わず、門扉と壁の狭い隙間から敷地内に入って内側から新聞を入れていた!?

それってどうなの? 
最近、郵便物が飛び出していたのはそのせいか…と合点がいった。合点はいった…が「しかし」だ! なぜわざわざ敷地内に入ってまでそんなことをする必要があるのだ?

問い合わせてみると「厳重注意します」とだけ返ってきた
だが、配達員は隙間から敷地に入ることをやめなかった…伝わっていないのか?

ある時彼は不思議なことを言った
「お宅の敷地内に鳥の糞が散乱してます」

確かに、ポストの周りに鳥の糞が散乱していた
ちょうどポストの真上にテレビか電話の電線が伸びており、そこがいい止まり木になっているらしいのだ
言われたその時、わたしは、敷地が汚れることを気にしていたので「なんて親切な新聞配達員なんだ」と思った。だが、彼が訴えてきたのには、それなりの意味があり、おそらく敷地内に入った折りに鳥の糞をひっかけられたのではないだろうか

その後もたびたび侵入して投函していく配達員
集金の際聞いてみると「受け口が狭いんでぇ中から入れさせてもらってまーす」と笑顔で応える。しかも、我が家のこじゃれた郵便受けにケチつけた

ばかか?

それを「やめろ」と苦情を入れた。厳重注意はどうした?
へらへらと薄笑いを浮かべ「ホント、この郵便受け入れにくいんすよね」と当事者に向かって他人事を言えるこの男の神経がはかり知れん
ただ、当管口に蓋がついているだけなのに

「すみませんね、変な郵便受けで」
そう言われてやっと気づいたらしい、笑いが消えた
「よそのおうちは狭すぎて新聞入らないんですよ。ハハハ・・・」
そんな言い訳は聞いていない
じゃぁ、そのお宅の新聞はどこに配達してるんですか?

てか、なんで笑うの?

「砂利とか道路にまき散らしてるんで、辞めてもらえませんか?」
比較的穏やかに対応したつもり
「あぁ、はい・・・」
生返事。とうとう奴は最後まで言うことを聞かなかった

わたしは再び受話器を取った

配達担当替えてください
配達はまだしも、集金は他の人にしてください

喋りたくもなかった

即行電話した。もう会いたくなかった
なのに舌の根も乾かぬうちにまたそいつはやって来た

インターフォン越しに苛立ち、当然受けずに受話器を取った

「3丁目の夕日(苗字)ですけど、ちょっといいですか」
わたしの声はさぞ気合の入っていたことだろう

「ちょっと! 配達員! もうこないでって言ったのにまた来たんだけど? これってどうなってるわけ? わたし言ったよね? 敷地内に入るなって何度も行ってるのにちっとも辞めないから、配達員かえろって! なのに今、家の前に集金来てんだけどどういうこと? ばかにしてんの!! いい加減にしてくんない!!」

最後は涙声になっていたかもしれない

大人げないかもね。でもね、どうにも受け入れられなかった・・・・


ふりかえると息子が、ぽか~んと母を見ていた




まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します