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お父さんに三途の川が見えたときのコツ。

滅多にないけれど、お父さんに三途の川が見えたときのコツ、 というものがある。

徐々にだったり、前日から急に食欲がなくなり、 とにかく早く眠りたがる、 そういう日の翌日は 気をつけている。 

例えば。

心拍数を測ると 55を切っている。
酸素飽和度も 93を切っている。
何度 声をかけても 反応は鈍い。

こういう時は要注意である。

ぴったり くっついて バイタルを測り続け、 心拍数が 徐脈に なっていく お父さんを、 心拍数 45 あたりで 叩き起こさないと、 もうどんどん 40まで落ちる。

40まで落ちる時には、 心臓は止まったり動いたりゆっくり 繰り返すようになっている。

酸素飽和度も、 心拍数につれ、 80台 70台、 あれよあれよと 低下していく。

そしてその頃には お父さんは、 名前を呼んでも 小さな声で気持ちいいと、 うわ言を言うようになっている。

なので、 心拍数50を切ったら、 でかい声で名前呼び ながら バチンと手を叩き、 「 三途の川 見えてるぞ!!」 と無理やり 叩き起こしている。

時にはそれでも反応が鈍い時がある。

「 気持ちがいい…」

小さな声で うわ言を言う時だ。

そんな時は こう 言う。

「 今から病院行くぞ!! 救急車呼ぶからな!!」

大体この単語を聞くと、 お父さんはブチ切れる。

「 動きたくねえっつってんだろこの野郎!!」

カッと 目を見開いて 怒鳴る。
このセリフが出れば しめたものである。

心拍数が上がり 正常値まで戻り、 酸素 飽和度も 97までいきなり上がるのだ。

怒ってふて寝 している時のお父さんは、 心拍数も 酸素飽和度も 全く正常値である。

ほとんどの場合が、 目を開けて きょとんとして、

「 風邪でも引いたかな? だるいわけでも何でもないんだけど? 俺今日何だったんだろ?」

そんな具合でケロっとしている。

お父さんが 本当にこうなっちゃう場合の 前兆というのは 結構はっきりしていて、 ただ 寝不足で眠っている場合と、 意識が遠のいていてやばい場合、 その区別も結構はっきりしている。

そんなに めったに こんなピンチはやってこないけれど、 朝起きた時 お父さんの顔を見て、 顔色が真っ白 だったりとか、 唇が完全に乾いていたりとか、 唇の色が よくなかったりとか、 そういう時は要注意である。

ありがたいことに、 お父さんは 復活がとても早い。

「 お父さん!! 今心拍数○○!! 酸素○○!! これ以上落ちたら死ぬから 病院行くからね!!」

でっかい声で これだけ言えば、 たちまち 立ち上がり ヘルパーさんにご挨拶をしながらトイレに行き、 次に布団に戻ってきた時には 正常値になっている。

お父さんはスイッチ さえ入れば、 たちどころに完全復活する男なのだ。

そんなわけで今まで、 そして今日も ピンチはあったけど、 今もうすっかり元気で 好きなことをしている。

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