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中国は(たぶん)超大国にならない

4年前に書いて比較的よく読まれた上記note。当時は、このままいけば、2040年くらいには中国がアメリカを遥かに凌駕する超大国となると予想していた。しかし、この4年間で、自分の見方がだいぶ変わった。

上記のnoteを書いた当時は、中国は権威主義的国家の側面と、市場メカニズムをうまく両立させているように見えた。このまま中国企業がイノベーションと規模拡大を続ければ、人口で勝る分、アメリカを超えた大国になることはほぼ既定路線だと思っていた。

しかし、現時点では、中国が超大国となる主観確率は、4年前の60〜80%から、20〜30%にまで低下した(現状が維持される限りにおいて、だ)。

なぜかというと、ここ2年くらい、中国は一気に起業家や異議申し立てをする人々への圧力を強めているからだ。特にジャック・マーの党に対する挑発的な発言が理由となり、アントグループの上場が中止、ジャック・マーも姿を消す、というのは中国の起業家やビジネスパーソンらにはかなり強烈な影響を与えた。こういうインセンティブ設計を無視した国家や組織が長期的に繁栄したことはない。

また、対外的にもかなり強硬姿勢を強めており、周辺国との摩擦も辞せず、という機運も高まっている。台湾などが象徴的だ。

個人的には、100年マラソンをかかげ、世界の超大国になるまではパンダ面をし続ける予定だった中国が、なぜ、いま牙をむき始めたのか、未だに理解できずにいる。あと15年パンダのフリを続けていたら、労せずとも世界は中国に従わざるを得なくなっていたはずだ。

この「なぜ」についての質問を、様々な国のインテリジェンスに通じている人々に聞いてきたが、理由はいまだに分からない。清廉潔白な習近平氏やそのブレインである王滬寧にとって今の資本主義化した中国市場経済が許せないのか、党内部の強硬派や熱狂した国民を納得させるためにはタカ派路線を取らなければいけなかったのか、もしくは、習近平氏を失脚させたい党内部の人々の陰謀なのか。その理由は後の歴史家が検証するのだろう。

理由はともあれ、中国は超大国になる以前に牙をむいてしまったし、自国内の企業人らのやる気を削ぐような政策をとってしまった。こういった失策の効果が如実に現れるまでには10年くらいかかるので、今後も数年間は中国は成長を続けるだろう。だけど、2030年以降は分からない。個人的にはかなり悲観的だ。もちろん、中国が東アジア最大の大国であり続けることに間違いはないけれども。

台湾での戦争が5年以内に起きる確率は相応に高いけれども、この戦争が中国没落のキッカケとなる可能性は高いと思っている。それが分かっているからこそ、アメリカは中国の台湾侵攻を「中国を叩く絶好の機会」くらいに思っているのかもしれない(あくまで想像です)。


そして、この中国の現状を冷静に分析する国がいるとしたら、それはインドだろう。インドについての個人的な意見は、またいつか書きたいと思っている。

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