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何もしない事をする

子供の頃からお正月は特別でした。
その特別感はたぶんワタシだけでなく、昭和40年代、50年代を子供として過ごしてきた人なら、少なからず共感してもらえると思う。

もちろんその中心を担うのは、家事をがっつりを叩き込まれた昭和ひとけた世代の母。
おまけにその母は根っからの料理好き、料理上手だったので、お正月などの年間行事に対する熱量は人並み以上にあったかもしれません。

かたやワタシですが。
料理好きの親に育てられたアルアルで、成人以降も何もしないできないのまま勢いでヨメにいき、1年足らずで息子と共に出戻る始末。
まだまだ元気で若かった母は、ワタシと息子を丸ごと受け入れ、再び家事全般と既に引退済みの育児まで取り仕切ってくれました。
そういう生活を当然のように思っていた、罰当たりなワタシです。

そんな20年余りの同居生活の中で、やはりお正月を含む年末年始はずっと特別でした。
だんだんいろんな事が出来なくなってきた母は、お正月行事は外注したり端折ったりしてして縮小しながらも継続しようと必死でした。
ワタシはそれを見ているのも手伝うのも、毎年とても苦痛で苦痛で。
お正月を大事にしている母に一応協力はするものの、もういいかげんやめてくれないかとうんざりしていたのが本音です。

思いがけず人生の大半を母と同居する事になって、ワタシはいわゆる日本のお正月らしいお正月を、自分の許容範囲以上に味わい尽くしちゃったのかもしれない。
それなりに楽しい時もあったし申し訳なくも思うけれど、正直もうごちそう様って感じでしょうか。

6年前母が施設に入居しワタシと息子が2人暮らしになってからは、少しずつ年末年始の恒例行事を減らしていきました。
一気に自分の思うように変えてしまうには、母との同居生活で染みついたルーティンが強力過ぎたようです。
大掃除をやめ年越しそばをパスしお節も卒業。
特にお参りにも行かず、去年からお餅も買わずお雑煮すら作らなくなった。
そして今日は2023/12/31大晦日。
ワタシはとうに日本から出ています。

ここインドでは旧暦を重んじ宗教的にも様々なパターンがあるので、新暦によるお正月行事は皆無だそうです。
学校も仕事も通常どおり。
そんな年末にサービスアパートでぐだぐだできるワタシは、なんて自由で恵まれているのでしょう。

こんなワタシを長く助けてくれた今は亡き母と、年々自由度が増していくワタシをほっといてくれる息子と友達に深く感謝しながら、カラッと暑いインドでワタシは新年を迎えます。

みなさまもどうぞよいお年を!


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