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クレーマーVS器のデカい人

先日、職場に文句を言いに来られたお客さんがいました。
掛売で、長くお付き合いのある会社の従業員の方です。

仮にNさんとしておきます。

まぁ、ミスをしたのはこちら側です。
その際、接客を担当していたTさんは、きちんと謝罪しました。
で、Nさんは納得してくださった、と思ったのですが。

翌日、再びNさんはやってきました。

「店長いてる?」

と言うので、私は事務作業をしていた店長を呼びました。

すると、Nさんは…
店長に向かって、前日のミスについて、文句を言いました。
それも、かなりの勢いで。
(前日、店長は休日だった)

まぁミスをしたのは、こちら側です。
それは事実なので、店長はひたすら謝罪しました。

しかしNさんは、さらにくどくどと、理屈で店長を責め立てました。
私はすぐそばで様子を見ていましたが、もはやクレーマーやん…と思いました。

Nさんが言っていることは、正論です。
それは、間違っていないのです。

でも…
そこまで言う?
ちょっとしつこいんじゃね?

社員Tさんは、

「昨日俺が謝って、それで納得してくれたと思ったんやけどなぁ…」

とため息をついていました。

「まぁ、俺が頭下げたくらいではアカンかった、てことや」

…と。

ま、今日の夜は出かけるので、こちらの会社の会長夫妻あてにお土産でも買ってこようと思っています。

会長夫妻には、個人的にかわいがっていただいておりますのでね。
手土産を持参して、ちょいと謝ってきます。

さて、話は変わって。
もう一昨年くらいのことです。

ある社長さんが、高級車の洗車に来られました。
庶民には手の届かない、黒塗りのレクサスです。

レクサスを洗っている時、店長がやらかしました。
うっかり、バンパーを破損してしまったのです。

私はその日、休日でした。
ですが、店長に昼ご飯を届けた時、その場面に遭遇したのです。

「やってもうた…」

店長は、顔面蒼白になっていました。

「とりあえず謝罪して、弁償して…」

ひどくうろたえていましたが、破損したものはどうしようもありません。
店長のミスについては心配でしたが、私はそのまま帰宅しました。

「で、あのレクサス、どうなったん??」

夜、帰宅した夫に聞きました。
気になって仕方がなかったからです。

「あれな…あの社長、ほんまいい人やわ」

夫は心から安堵したような声で、言いました。

「社長に、バンパー破損したこと謝ったら、

『ああ、しゃあない。かめへんよ。それより、会社の保険、使えるんか?もし自腹で修理せなアカンのやったら、俺の車両保険、使うで?』

とまで、言うてくれたねん。まぁ、ウチの社長に言うて、会社の損害保険使ってもらえることにはなったんやけどな」

レクサスのバンパーを破損してしまったというのに。
この社長は、私も職場で面識がありますが、いつも穏やかで、私たちスタッフに対しても腰の低い方なのです。

…マジで器がでかい。

そのことを踏まえ、のちに夫がしみじみと言っておりました。

「俺がな、いつもお客さんに対して、過剰なまでにサービスするのは、こういう時に備えて、信頼関係を作ってるからやねん。
人間なんやから、どこかでミスは起こる。でもその時に、信頼関係があったら、許してもらえることもあるからやねん」

…なるほどなぁ。

確かに店長は、「そこまでせんでもええんちゃうん」というくらい、サービスをします。

例えば、水洗い洗車だけの常連さんに対して、足元のマットを掃除するとか。
お客さんの車のヘッドレンズが汚れていたら、無料で磨いてあげるとか。

私は「そこ、料金いただけるトコちゃうん」と思っていました。
日頃「売上をアップする」ことに対し、店長は必死になっているはずなのに。

なるほど、過剰なまでのサービスの裏は、こういうことだったのか。
ダテに20年以上も働いてないなぁ、と思ったものです。

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