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玉ねぎの涙・あるお坊さんの話~~心に残るあのエピソードをあなたへ~

さてさて、盟友アポロからバトンが回ってきました(笑)
私も何か書け、てか。

お馴染みの夫ネタも、あることはあるのですが…
今回は、違うことを書いてみたいと思います。

と、いうことで。


数年前、私は高野山奥の院にある「頌徳殿しょうとくでん」にて、お坊さんの「法話」を聞いていました。
頌徳殿は休憩所になっていて、決まった時間になると、お坊さんによる「法話」がありました。

法話をしてくださるお坊さんは、日によって違います。
日本各地から、「本山布教師」という資格を持つお坊さんが、週替わりで法話を聞かせてくださるのです。

その日、法話をしてくださったお坊さんを、仮にAさんとします。
年齢は、当時50代くらいだったでしょうか。
とても落ち着いた物腰のお坊さんでした。

高野山で僧侶を目指す場合、たいていは本山(高野山)で修行を行います。
修行の方法は何種類かありますが、Aさんは短期間で僧籍を取得できる「真別処しんべつしょ」という修行道場で修行をされたんだとか。

ただ、この真別処しんべつしょでの修行は、すさまじく厳しかったそうです。
まず、真別処の入り口には「不許葷酒入山門」と刻まれた門柱が建てられています。

酒と「葷」はここから先に入ること許すべからず、という意味ですね。

酒はともかくとして…
くん」とは何か。

「葷」とは、訓読みで「なまぐさ」です。
なまぐさとは、肉のことですね。
また、「にんにく・にら・ねぎなどの臭いの強い野菜。からい野菜。」という意味もあります。

つまり、酒と肉、刺激物は真別処に入るべからず、ということなのです。
真別処の食事は、精進料理。
肉・魚はおろか、薬味もアウト。

たった今、真別処出身である、知人の坊さんにLINEで聞いたのですが…
食事は、

朝はお粥と梅干しと塩昆布と沢庵二切れ、昼はご飯と味噌汁と小皿に佃煮とか三品

らしいです。
基礎代謝を相当に無視した食事だったそうです。

そんな食事事情の中、修行は過酷を極め…
何より「先生が怖かった」と、Aさんは法話の中でおっしゃっていました。

修行道場で、何より厳しいのは「戒律(作法)」です。
法衣の着方、道場での歩き方…
何もかもが、決められたルールにのっとっています。
それを少しでも逸脱すると、先生による厳しい叱責が待っていたそうです。

Aさんは他の学僧たちとともに、厳しい修行に耐え…
無事、行を終えられました。

そして、修行道場の最後の日に、先生たちが食事を振舞ってくださったそうで。
そのメニューは、焼き飯。

Aさんは、焼き飯をひと口食べて「あれ?」と思ったんだとか。
いつもと味が違う。
とても美味しい。

真別処しんべつしょは、上にも書きましたが、肉・魚、薬味はご法度です。
当然、味付はよく言えば素朴、悪く言えば物足りない。
でも、その焼き飯には…

まさかと思いながら、Aさんはもうひと口食べました。
そして、まさかと思いながら、味を確かめると…

「玉ねぎや」

Aさんは、思わずつぶやきそうになり…
ぐっとこらえました。

玉ねぎは、真別処ではご法度です。
これまで学僧に対して、厳しく指導してきた先生が…
最後に作ってくれた焼き飯に、ご法度の玉ねぎを入れてくださった。

Aさんの目から、ひと筋の涙が流れました。

この玉ねぎを、真別処に持ち込むだけでも、大変な苦労だったに違いない。
さらに、それを調理するとなると…
御法度でありながら、先生の思いやりに対し、Aさんは胸がいっぱいになったそうです。

時には辛く当たられたこともあり。
厳しい指導に心が折れかけたことも1度や2度ではなかった、とAさんはおっしゃっていました。

でも、最後の焼き飯に、先生の深い慈悲を感じたのだと。

真別処での修行を終えて、もう何十年にもなるのに…
もう一度食べたい、忘れられない食事は、最後に食べた焼き飯だった、とAさんは締めくくりました。


高野山奥の院で行われる法話は、もう数え切れないくらい拝聴しましたが…
このエピソードは、今も私の記憶に残っています。

久しぶりに、チェーンナーさんの企画に参加させていただきます。

そして、次にバトンをお渡しするのは…
これでも母さん!

おお、ご紹介する最新記事が…
「お前ぶっとばす企画」だなんて、もう最高(笑)
(ぶっとばす企画は、私も参加させていただきました)

これ母さんは、今回の企画には2度目のご参加となりますが…
内内に快諾をいただきました。
これ母さん、ありがとうございます!

そして、私にバトンをぶん投げたアポロんの記事が、こちら。

愛安堵平和っ!!!


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中岡 はじめ
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