漫才 火


A:やさしさ(任意のコンビ名)です、よろしくお願いしま~す!


B:よろしくお願いします

A:最近取り組んでるプロジェクトがあってね

B:ずいぶん大層だね

A:ある場所に火を放とうと思ってて

B:犯罪すぎん~~!?

A:そうだね、だから内緒でお願い

B:俺は全然内緒にしてあげられるけどはたしてコイツら(客の方に手を広げる)はどうかな?

A:な、なに!?いつの間に!!!お前!!(Bに掴みかかる)

B:(両手をあげ降伏のポーズ)おおっとそれ以上動かねえ方がいいぜ?なんせこの人数だ。あと俺が用意したわけじゃなくて最初からいた

A:観察力不足を詫びるぜ(手を離す)

B:詫びれるのは偉いし本当に不足しすぎている。客前に出る仕事やってて客の存在に気付かんことある?

A:少ないから……(悲しそうに)

B:……しんみりしちゃったな

A:でね!その場所っていうのが!!

B:ごめんな、俺は覚えてるけどみんな多分覚えてないから説明するな
コイツが放火しようとしてるって話やったよな、その放火しようとしてる場所について説明してくれるらしいです(客席に向けて) どうぞ?(Aの方を向いて)

A:親切なやつだ、発表するのが申し訳なくなってきた

B:どういうこと?

A:あー言いにくいけどさ、お前の家なんよ。放火したいの

B:どうしよ、恐ろしいほど目が綺麗

A:実はもう放火しつつある

B:え!?待って今俺んち燃えてる!!!???

A:いや燃えてない

B:燃え尽きた!?

A:違う違う。まだ火起こせてないんだよ

B:仕事の遅い放火魔で助かりました~

A:気付いてなかった?俺、お前んち行くたびに燃やそうとしてたんだけど

B:(腕を組み目を瞑り20秒考える)……畳こすってたな

A:ご名答!!!

B:お前、摩擦熱でいこうとしてたん!?

A:うん

B:今後の放火魔人生のために教えといてあげるけど摩擦で火を起こせるのはマッチ棒とマッチ箱くらいよ

A:……まじ?俺ってマッチ棒だっけ?

B:知ってる限りでは違うね

A:ちなみにもちろんマッチ箱でも……?

B:ないね

A:じゃあ俺はお前んちの畳を熱心にこすってちょいちょい畳のささくれが指に刺さっていただけの人?

B:お前って憐れだな

A:めっちゃ痩せてマッチ棒みたいになって、お前んちをリフォームして床マッチ箱にするわ

B:いや、遠回りだな。そんなことより素直にガソリンまいて火放てよ。

A:そんなのじゃ面白くないでしょう?

B:バカなくせに美学あるなよ、もうええわ

AB:どうもありがとうございました~!


(退場)


8/70

カッコいい剣とか買いたいです