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7日で仕事に行きながらスパコミ用のフルカラー24ページの漫画冊子を描き上げるまで

唐突ですがテニスの王子様の立海サークルで、昨年から本を作って同人誌イベントで売っている。昨年のスーパーコミックシティから作り始めてこの5月4日の本で4冊目だ。全てフルカラーの漫画。なんでフルカラーかというと、大雑把に云って仕舞えばトーンを貼るのも色をつけるのも、労力として大差がないからだ。でも本当はモノクロの原稿が苦手だからかもしれない。そんんなわけで今回の全24ページのフルカラー漫画冊子(テニスの王子様立海)はBOOTHから通販できます。よければ読んでみてください。

1日目火曜日ネタ出し

火曜日は大学で授業がある。午前中に家を出て2時間かけて大学に行き、授業ののちに卒業研究生と面談をする。この日は二人の学生と研究内容について面談する。行き帰りの電車の中で、二次創作の漫画作品のネタを考えてiPhoneのメモに書き出す。神戸から梅田まで帰り着くと、夏の終わりに展示をさせてもらう予定のギャラリーの下見に行く。小雨の中を一駅ほど歩く。ちょっと遠い。

2日目水曜日シナリオとコマ割り

大学の授業がないからお家の人にお昼ご飯を作って、午後に近所のカフェにiPadとApple Pencilを持っていき、昨日作ったネタをもとに2時間半ほどかけて、GoodNoteに漫画のシナリオを書く。セリフと、コマの中の様子が書かれた文章がひとセットになたものを頭からどんどん書いていく。書き上がって数を読むと73コマ。1ページあたり4.6コマくらいが理想的なのでその数で割ると15.8ページ。扉を1ページ乗せると17ページになってしまう。あと5日程度で全17ページのフルカラー漫画は描けない。予定していたのは12ページの漫画だったから、それだと55コマにしなくちゃいけない。再構成する時間が惜しくて、少しだけコマを削り、扉込みで16ページのシナリオを書き終える。家の人に夕飯を作り、みんなが寝静まってからiPadとProcreateを使って自作のネーム用紙を漫画のページ数分だけ作り、シナリオをもとに全ページ分のコマを一気に割る。それを今度はClipStudioに持っていき、A4、350dpiの原稿用紙を作ってコマを割る。コマを割った原稿用紙はトンボとノンブルをつけてPSDで書き出し、Procrateに読み込む。台割とスケジュールもProcrateで作り、原稿と一緒に一つのスタックにまとめておく。この日はコマ割りまでで終了。

コマ割り
台割

3日目木曜日線画

いつも飲んでる甲状腺の薬がどう考えても連休明けまで持たないので、病院に行って薬を出してもらう。いつも検査に1時間ほどかかる上、休み前で混み合っていて待合で1時間半ほど待たされるが、もちろんその間に漫画の線画を描く。今回は絵コンテを作る時間を省いているので、コマだけ割った原稿用紙に直接線画を描く。1、2回だけラフな下書きをしたら、そのまま清書してしまう。そうしないと時間が足りない。

ラフ
ラフから即この線画

4日目授業と面談と線画

終日授業と、某大きな会社の方たちが授業の見学に来るというのでその案内もあってずっと忙しく、線画を描く時間が全く取れない。仕事に来てるんだから当たり前なんだけど。授業の傍で訪ねてきてくれた卒業生に会って話したり、面談をしたり。とにかく授業を終えて20時半くらいに家に帰りつき、有り合わせを食べてまた線画を描く。

5日目線画

終日線画を描く。娘が夜に家を訪ねてきたので夕飯に出前を取る。ご飯をつくらないだけでも2時間ほど作業に当てられる時間が増える。21時から学生とオンライン面談。日付が変わって1時半くらいまで作業をする。

6日目日曜日線画と表紙

終日線画を描く。セリフ打ちをしなくちゃいけないのに線画が終わらず手が回らない。数ページ分だけ文字打ちをするが、久しぶりすぎてClipStudioのセリフの打ち方を忘れている。調べているうちに思い出すが、翌日表紙データを入稿しないといけないことに気づき、表紙の下書きを始める。朝入稿なので寝るまでに着色までやっておきたかったけど、ラフを2、3点描いても気に入らず断念する。眠い時に描いた線画は大抵良くなくて、翌日の朝見直して書き直す確率が高いため、ダメだと思ったら早々に諦めてしまうのが賢明なことも多い。

7日目月曜日表紙と線画

月曜日は大学の授業がないけど早めに起きて表紙の線画を作る。5人描きたかったが時間的に無理で、4人描いて着色をする。白紙から3時間で完成する。妥協も当然ある。そんなものしょうがない。挫折も諦めも失敗も人生の一部。輝く月にだって裏側はあるんだから。入稿後線画の続きに戻る。

表紙

8日目大学と線画と着色

本当は大学に行く前に全ての入稿を終えなければならなかったが完成しなかった。授業は6限まであって帰宅は22時。行きと帰りの電車の中でiPad ProからiPad miniにデータを移して車中で下塗りをする。学生面談2件。帰宅後なぜかたくさんキャベツを食べてから作業を再開。漫画を1ページ減ページしてノンブルを打ち直し、ひたすら着色。眠くなると効率が落ちるので仮眠を挟みつつ残りのセリフも打ち終え、大いに後悔を残しつつ着色も程々で断念し、あとがきを描き、奥付けを作り、レイヤーを一つに統合し、ファイルの名前を付け替え、フォルダを作ってまとめ、アップローダーに上げてやっと入稿。タイトルの7日というのは嘘になってしまったけど原稿だけなら6日でできてるから。次こそはもっと余裕を持ってやりたいと毎度毎度思いながら、結局は全く余裕のない綱渡りの入稿になってしまう。でもこのスピード感で描けると一番気持ちいい。線が走ってる。時間があればあるほど線が硬くなるので、本当はこれくらいのペースが合ってるのかなと思う。





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