見出し画像

【詩】春の雨は

桜はすでに満開らしい
空はグレーでしっとりしている
たぶん花びらは濡れているだろう
傘がいたるところで開いている
部屋を出ることなく雨を見る

桜はすでに散ったらしい
空はいずれ晴れる
たぶん川に花びらが流れているだろう
傘を差していたことは忘れて
部屋を出ることなく流れる花びらを想う

いずれ散ることは決められている
いつか雨は降る
たぶんその花びらを見送ることはないだろう
傘はいつもの場所にある
部屋の中で沈黙とともに曲を聴いて想う

咲いている姿が浮かび上がる
雨音がリズムとなって
花びらの色が鮮やかに映える
傘に雨粒を当てて
桜の姿を見上げて想う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?