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【詩】

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【詩】をまとめたものです。
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2022年10月の記事一覧

【詩】旅人は秋になるために回帰する

森の中を通る小道を抜けて 木道を歩いていくと 小さな湿原へと導かれ 開かれた箱庭は 秋を抱え…

【詩】自分という日常

時が早く進む世界の隣に 時が遅く進む世界があったとき 早く進む世界は未来なのか 遅く進む世…

【詩】冬の白さの手前で立ち止まり集まる生命の色々

ピーチピンクは繊細 やわらかくつつみこむあたたかさ マスカットグリーンは集う輝き ひとつよ…

【詩】金の高原と銀の高原

あのススキの高原を通り抜けると 気持ちよさそうに揺れて 楽しそうな会話が聞こえてくる 少し…

【詩】世界のかけらを身に着けて

レイトショーが終わった深夜 映画館から静かな街へと流れて行って 1日の終わり点滅する信号 …

【詩】求める人にはやさしい夜

ミルクがホットミルクに アイスコーヒーがホットコーヒーに ソイミルクがハニージンジャーソイ…

【詩】フルムーン10月

森の天井は真っ赤に染まり 冷たい空気が冬の近づきを教え その冬を迎えるべく 生命の集約が始まる 全てがハンターとなり 全てがハントの対象となり 蓄えたもの隠しているもの逃げるもの エネルギーとして吸い上げられる 荒らしたもの蝕んだもの 害として駆除される 生命の数が少なくなって 鎮魂歌のように 森の中を風が吹き抜ける 森の天井は少しずつ 風のうたとともに降り 全てを覆い隠す 欠けた天井からフルムーンが降り 静かに照らす姿は祈りのようで ひとつの物語を締めくくる 森の闇を照らす

【詩】虫が支配する夜

虫の声が大きく支配する夜は秋の入口で 夏はまだ残っているけれど 夜の冷たさを実感すると 気…

【詩】秋の夜長に沈む花火

窓から入ってくる夜風が冷たくなって 夏の姿がいなくなったとき 窓の向こう型アパート群のその…