【詩】フルムーン10月
森の天井は真っ赤に染まり
冷たい空気が冬の近づきを教え
その冬を迎えるべく
生命の集約が始まる
全てがハンターとなり
全てがハントの対象となり
蓄えたもの隠しているもの逃げるもの
エネルギーとして吸い上げられる
荒らしたもの蝕んだもの
害として駆除される
生命の数が少なくなって
鎮魂歌のように
森の中を風が吹き抜ける
森の天井は少しずつ
風のうたとともに降り
全てを覆い隠す
欠けた天井からフルムーンが降り
静かに照らす姿は祈りのようで
ひとつの物語を締めくくる
森の闇を照らす