「コク」ってどんな味?

2種類の「コク」

著書「コクと旨味の秘密」によると、
「コク」には2種類ある。

1.コアーのコク
2.連想のコク


コアーのコク

アミノ酸や糖、油などの栄養素を多く含んだ食品が持つ、うま味、甘味などの豊富さから感じ取る本能的かつ生理的なおいしさのこと。

例えば、お湯に味の素を入れたものは、うま味はあるがコクはない。
一方で一番だしは、昆布と鰹節から抽出されたグルタミン酸やイノシン酸、その他多くの物質が含まれている。
これらの物質によりうま味に奥行きが感じられ、「コクがある」となる。

つまり「コアーのコク」は
うま味と甘味の受容体を刺激する物質の種類と量の豊富さ
を表している。


連想のコク

コアーのコクのある食品を実際に味わっていくうちに、そこに共存する食感や香りを学習し、実際にはコアーのコクがなくても食感や香りからの連想でコクを感じるもの。

例えば、コーヒーに感じられるコクがこれにあたる。

コーヒーの香りは、焙煎によってコーヒー豆に含まれる糖やタンパク質が反応して生じた様々な香り成分からなる。
糖と糖が反応したものはカラメルに含まれる香り
糖とタンパク質が反応したものはステーキやトーストでみられるメイラード反応に含まれる香りとなる。

これらの豊富な香りが含まれているため、コーヒーに「コク」を感じる。

まとめ

「コク」には2種類あるという話をした。

要するに「コク」が表す味は、うま味と甘味の受容体を刺激する物質の種類と量の豊富さ、及びそれを連想させるような食感や香りがするものである。

読者の感想表現のレパートリーに、「コクがある」が追加されていると嬉しい。

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