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リクール・ブレードランナー

状況の整理。現在読んでいる本がこちら、『メタバース進化論』(バーチャル美少女ねむ著)。メタバースが人間や世界の可能性をどのように開いていくのか、について解説されている。まだ前半の、現在のメタバース界の現状についての解説を読み終わったところ。ここから、本格的に面白くなっていく予感がする。

次に読もうと思っているのがこちら、ハンナ・アレントの『人間の条件』。以前、途中まで読み込んだことがある。公共空間において言説を駆使し政治的にふるまうことが人間の人間たるゆえんなのだとしたら、現代社会において人間は人間たり得ているのか、というあたりに興味がある。また、公共空間における政治的な活動をゲームとして楽しめるか否か、というあたりに世の中を生き抜く処世術の肝もあるように思う。これを徹底していくと、ラクロの『危険な関係』のようなところにまで行きつくのかもしれない。

ポール・リクールの「物語的同一性」にも興味がわいている。ChatGPTによると、「物語的同一性」とはこのような概念。

ポール・リクール(Paul Ricoeur)の「物語的同一性」(narrative identity)に関する考えは、彼の哲学の中心的な概念の一つです。リクールは、自己同一性(identity)を理解するための新たな視点として、「物語」を用いました。彼のアプローチは、人間の経験と自己理解が物語の形を通じて構築されるという考えに基づいています。

### 物語と自己同一性
リクールによれば、物語的同一性とは、個人が自分自身を時間を通じて一貫した存在として把握する過程です。人間は、日々の出来事や経験を物語の形にまとめることで、時間を超えた自己の連続性を作り上げます。この物語は、過去の経験、現在の自己、未来の展望を結びつける役割を果たします。

### 「時間」と「物語」の関係
リクールは、時間の経過と物語の構造が密接に関連していると考えました。時間は線形的であり、過去から未来へと進んでいきます。しかし、この時間的経過は、物語によって人間に理解可能な形に変換されます。物語によって、散発的で非連続的な出来事が、意味を持ち、理解可能な全体として統合されるのです。

### 自己同一性の再構築
リクールはまた、物語的同一性が静的なものではなく、絶えず変化し再構築されるプロセスであることを強調しました。人は新しい経験をすることで、自己の物語を再解釈し、自己同一性を更新します。このプロセスは、個人が成長し変化することを可能にし、自己理解を深める手段となります。

### 物語的同一性の倫理的側面
リクールは物語的同一性に倫理的な側面も見出しました。自己の物語を語ること、そして他者の物語を聞くことは、共感や倫理的な理解を深めることに繋がります。この相互理解は、個人間の関係やコミュニティの形成において重要な役割を果たします。

### 結論
ポール・リクールの物語的同一性の概念は、自己理解と倫理的関係性の根底にある物語の力を強調します。彼の考えは、哲学だけでなく、心理学、文学、社会学など多岐にわたる分野に影響を与えています。

ChatGPT4.0が生成

過去は現在によって常に更新され続け、その結果、自己という存在そのものが常に更新され続ける、というあたりが面白い。「ブレードランナー」に出てくるアンドロイドのレイチェルは、自分を人間だと信じたがっているが過去の記憶がない。レイチェルをつくったタイレルのセリフ。

タイレル
「わが社は人間以上のロボットを目指している。彼女はその試作品だ。感情が目覚めてきた。そのために何かいら立っている。数年分の経験しかないからな。過去を作って与えてやれば、感情も落ち着き制御も楽になる。」
デッカード
「過去?記憶のことか?」

映画「ブレードランナー」

現在を支えるには過去が必要。プルーストの『失われた時を求めて』はそのような過去、あるいは記憶の中にどこまでも沈潜していった物語。「ブレードランナー」の映像(一部)はこちらから。

リクールに関してはこちらで勉強しようと思う。リクール本人とも長年にわたり親交のある久米博による解説書。

ちなみに、メタバース空間におけるアバターのアイデンティティとブロックチェーンって、相性は良いのではないか。物理的には一人の人間がいくつものアバターを持っていて、それぞれのアバターの物語、あるいは過去がブロックチェーン上に記録されていて、その記録が各アバターの自己同一性を担保する、というような。物理的な制約を受けない仮想空間上の身体が自らの物語を内包しながら徘徊する、という世界は面白い気がする。

さて、過去に目を向ける一方で未来をどのように構築していくか、という問題もある。Udemyの新春ビックセールで、動画配信の講義をいくつかまとめて購入した。Pythonの入門講座、アメリカの大学教授によるMBA講座、ExcelのVBA講座、開業手続きに関する講座など。まずはPythonからスタートしている。

最初の大学では理工学部に所属していたせいか、プログラミングを学ぶことによって頭が理系的になりつつある。特に、仕事の面において。最適な出力になるようにシステムを構築しておく。あとはクリックをするだけ。特にエモーショナルな要素が強い業界なだけに、意識的にシステムに寄っていかないと崩壊する。

公共空間にいる「私」は演者。そこで演じる役はプログラマー。というくらいに割り切ったほうが、仕事における成果は出やすい。とりあえず今は、下部構造を維持するために役者になり切り、それ以外の時間で上部構造を楽しくたゆたおう。

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