afterコロナ・withコロナのデットファイナンスに関する、2020年5月時点での予想

コロナで融資の世界は変わるのでしょうか。私見ですが、おそらく大枠は変わりません。

日本における融資のスキームは、昭和恐慌も太平洋戦争もオイルショックもバブル崩壊もリーマンショックも乗り越えてきたものです。時代遅れの仕組みは淘汰され、修正されてきました。近年に限定しても、長期信用銀行の消滅、第二地方銀行の誕生、住宅金融専門会社の設立と破綻等、様々なトピックスがあります。ハードランディングとなった施策もありましたが、長い年月を経て少しずつ問題点に対応して、金融システムを強化してきました。

報道を拝見すると金融機関が保有しているクレジットデフォルトスワップ(CDS)の火種が燻っており、コロナを契機として問題が噴出する可能性はありますが、基本的には流動性の課題です。融資の実行には影響がありそうですが、融資の制度そのものに大転換が訪れるとは考えにくいです。

それでは、afterコロナ・withコロナのデットファイナンスの世界にはどのような変化が起こりうるのでしょうか。筆者は、コロナ禍の前から顕在化していた金融市場の課題に取り組む時代になると推測しています。即ち、スタートアップ向けのVC投資とスモールビジネス向けの創業融資の狭間にある、ミドルリスクミドルリターンの資金調達の領域にビジネスのフロンティアがあると予想しています。

ミドルリスクファイナンスを実現するためのスキームが、プロジェクトファイナンスの小型化(課題は審査コスト)なのか、私募債なのか(課題は情報の非対称性とプライシング)、オンラインレンディング(課題は金額と期間)なのか、でんさい(課題は信用調査コストと普及度)なのか、クレジットカード(課題はセキュリティと金額)なのか、それとも全く新しい取組になるのか分かりませんが、金融市場の発展に期待したいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?