日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用するには、「人的保証」と「機関保証」のいずれかを選択しなければならない。 奨学金アドバイザーとして活動を始め17年目を迎えようとしているが、当初から日本学生支援機構奨学金の最大の注意点であり問題点が「保証制度」にあると考えている。 保証制度では、借りた本人が返済できなくなった場合、当事者に代わって返済責任を負う人(機関)を示す。 保証方式の内容人的保証・・・連帯保証人(原則保護者)と保証人(学生本人から見て4親等以内の親族)が必要
新型コロナウイルスの感染拡大の影響による休学、中退者に関する調査結果を文科省が公表した。 それを報じた朝日新聞デジタルの見出しが「コロナ禍で休退学5千人超 大学生・院生、文科省が調査」とある。コロナにより休学、中退者が増えているような印象を受けるが実情は正反対のようである。 コロナ禍で休退学5千人超 大学生・院生、文科省が調査(朝日新聞デジタル・2020年12月18日 20時45分) 休学・中退者数は前年同期より大幅に減少記事によると「全体の中退者は2万5008人、休学
関西学院大学(兵庫県西宮市)が、コロナ渦により経済支援を必要とする学生のために「関学ヘックス(HECS)型貸与奨学金」を創設したことがAERAで報じられました。 奨学金を緊急創設 「経済苦境による退学者は出さない」関西学院大副学長が語る(AERA 2020年12月14日号) 特別支給2020奨学金<関学ヘックス(HECS)型貸与奨学金>について(関西学院大学HP) 記事にあるように、関西学院大学はオーストラリアで導入されている、卒業後の所得に応じた学費の後払い制度を参考
今年の1学期に日本学生支援機構の奨学金を予約採用で申請した高校3年生には「採用候補者決定通知書」が届く時期となりました。 コロナの影響で予約採用申請後に家計が急変した家庭もあるでしょう。予約採用で選択した全ての項目は、来年4月に行う最終手続きとなる「進学届」時に全て変更申請できるので、この間を使ってじっくりと親子で話し合ってください。 有利奨学金の利用状況10月25日の記事で書きましたが、無利子貸与で始まった国の奨学金政策は80年代半ばから有利子にシフトし、現在では貸与人
前政権の幼保無償化に続く肝いり政策の大学無償化が「高等教育の修学支援新制度」として今年度から始まりました。 これは、住民税非課税など低所得家庭の子どもが大学や専門学校に進学するにあたって、給付型奨学金の支給に加えて入学金と授業料も減免するという内容です。 先日、首都圏で学ぶ学生の自力進学を支援しているミライ道場の代表者から連絡を受けました。 ミライ道場では、新聞奨学生として大学を卒業した代表者が自身の経験を活かし、介護分野で働きながら学ぶ仕組みを設け、学生の進学支援を行
日本学生支援機構奨学金を高校を通して予約採用で申し込んだ方に、ようやく採用候補決定通知が届きました。 今年の予約採用では、当初以下の予定でした。 1回目募集(5/31迄の申請)→10月下旬に決定通知 2回目募集(6/30迄の申請)→11月下旬に決定通知 3回目募集(7/31迄の申請)→12月下旬に決定通知 本来ならば、1回目募集に応募した方はこの時期には決定通知が届いているはずですが、コロナの影響で通知案内が遅れていたのでしょう。 高校3年の1学期に奨学金に申し込
奨学金の支給が始まるのは進学後です。そのため、受験費用や合格発表後に必要な入学時納付金は奨学金以外の方法で用意をしなくてはなりません。 コロナの影響で入試の日程に遅れがでましたが、総合型選抜(AO入試)が始まり、11月からは学校推薦型選抜(推薦入試)が行われます。 貯金や学資保険があればいいですが、そうでない場合の多くは「教育ローン」を利用しています。 実は、教育ローンにも「公的な教育ローン」と「民間の教育ローン」があり、公的な教育ローンは「国の教育ローン」として日本政
日本学生支援機構の「貸与型奨学金」は、実質的に子どもが背負う学生ローンです。 そのほか、子どもの教育費を保護者が借りる「教育ローン」もあり、家族主義的価値観の強い日本ではこちらの方が一般的かもしれません。 貸与型奨学金と教育ローンの2つの違いは、単純に借主(返済主)が異なることになります。 海外に目を向けると向けると、奨学金といえば「スカラシップ(Scholarship)」や「グラント(Grant)」と返済不要のものを指します。 それに対して、海外では返済が必要なもの
良質な記事を配信する東洋経済オンラインは、大好きなメディアのひとつで配信記事を毎日チェックしています。 昨日(10/26)、米国の奨学金事情に関するある記事が配信されました。 米国の大学は、学費は高額だが給付型奨学金のお陰で、有名大学の8割近くの学生は実質学費負担なく卒業できているという内容です。 たしかに、米国は先進国で最も給付型奨学金をはじめとする経済支援が充実していると言われています。 しかし一方では、今年の2月に日経新聞オンラインが以下の記事を報じています。
日本人が持つ価値観とされる「家族主義」「受益者負担」「自己責任」について、奨学金の観点から考えてみます。 奨学金に限りませんが、さまざまな事象に対する価値観には国民性や県民性が影響するのは当然のことです。 ですので、高等教育に対する考え方は国ごとに様々であり、それぞれの国家の成り立ちや人口構成、財政事情などにより異なります。 だから、アメリカやイギリスが導入している仕組みが、そのまま日本に当てはまるという保証はありません。 他国の例を参考にすることは大切ですが、奨学金
何かと批判の多い奨学金ですが、自分なりの経験をもとにした目線から奨学金について考えていきたいと思っています。 無利子貸与で行われてきた日本の奨学金に「有利子貸与」が導入されたのが、1984(昭和59)年です。 その理由は、大学進学率と学費のダブル上昇に対して、奨学金の量的拡大が求められていました。 しかし、税金を原資とする一般会計予算では限界があるということで、財政投融資を使った市場からの外部資金調達が議論されていました。 当時の時代背景を思い返してほしいのですが、1
日本政府の奨学金が「無利子貸与」で始まった経緯は前回の記事で書きました。 しかし、奨学金は無利子貸与でありながらも、いくつかの返済特典が設けられていました。 たとえば、教職や研究職など特定の職業に就くと返済が免除されたり、返済完了までの一定期間内に残額を一括返済すると報奨金が支払われるといったものです。 そのほか「特別貸与」として通常の一般貸与額よりも大きい金額の貸与を受けながらも、一般貸与相当額を返済すれば残額返済が免除される制度がありました。 現在40代半ば以上の
10月26日発売のサンデー毎日に、奨学金に関する記事を4ページ書かせて頂いた。 編集デスクからの要望は、日本の奨学金の成り立ちと経緯、海外の奨学金との比較、日本の奨学金の問題点、と主にこの3点を解説することでした。 8年前、初めての著書の執筆にあたり、国会図書館に通いつめた当時の文献や資料を読み返すほか、新たに論文やシンクタンクのレポートを読み込みました。 おかげで、8年前には気づかなかった点や奨学金の全体像を自分なりに改めて整理することが出来ました。 ウェブと違って