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【伝統医療でGO!#02】カンボジアの伝統医療師クルクメールとの出会い#これは伝統医療なのか⁈

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■  突然のカンボジア赴任

35歳になって大学4年をスキップし大学院に進学できました。卒業した翌月に急遽、日本財団がASEAN事務局やWHOと開始していた、途上国の最低限の医療サービス、いわゆるプライマリーヘルスケアを、各国にある伝統医療と人材を活用して高めよう、というプロジェクトに参加させていただけることになり、カンボジアに初訪問しました。

そもそも日本財団の伝統医療事業ですが、その当時モンゴルで保健政策として大成功を治めた、日本の「富山の売薬システムの導入」というものだったのです。

生憎、私が派遣されることになったカンボジアでは、売薬に使える国が品質を保証する伝統薬の製品がなかったため、先ずは情報収集と人材育成の必要性があると判断し、国内にいる現役の伝統医療師に再教育をする学校の開設というプロジェクトをする事となり、その新設の学校の開校式前日に入国を果たしました。

■ クルクメールとの出会い

世界遺産、アンコールワット遺跡で有名なカンボジアですが、最も国土も拡大して反映したクメール王朝時代から伝わる伝統医療がありました。元々は、インド大陸に普及していたアーユルベーダ医学が、文化や宗教と一緒に伝わったもので、正確に言えば伝承医学という分類になります。正確な統計か定かではありませんが、WHOの資料によると国民の76%以上が伝統医療を利用しているといわれるほど、医療サービスの乏しい地方で、人々の健康を支えています。

そして代々医療知識を継承し、村人の健康を守りつつ精神的な支えとしての役割を担ってきたのが「クルクメール」と呼ばれる人々です。あいにく、国の保健サービスを支える医療人材としての育成はされていないのですが、日本の厚生労働省に当たる、保健省の中にある国立伝統医療局が、このクルクメールと呼ばれる伝統医療師の窓口になっていました。

■ そして、クルクメールのルポを開始した

学校の開校式には男女平均40歳という現役のクルクメールたち50名が選抜されていて、私も現地の医師や薬剤師に混じって、始めは講師として鍼灸の授業と併設のモデル治療室での施術を担当することになりました。

現地の言葉でクルクメールという意味は、クルは先生、インドで言う「グル」ですね。そしてクメールは、カンボジアを意味します。つまり、The カンボジア先生、と言う意味合いになります。最近では国語の先生もクルクメールと呼ばれているようですが。

で、少し時間はかかりましたが、開校した学校の学生さんたちとコミュニケーションがとれてきた頃から、調査目的で地方の学生の村を訪問していきました。密着ルポですね。

医療アクセスの乏しい地域では、クルクメール達が村人たちから厚い信頼を得ていて、同じ治療師として羨ましく思いました。長い間継承してきた知識で家族や地域の人々の健康管理をおこなう。決して高度な医療を受けられるという環境にはありませんが、自国のアイデンティティーを保持しているという観点においては、なんとも贅沢なことです。

ちょっとレアなカンボジア伝統医療事情と薬草の情報をお伝えしていこうと思います。

■ Phnom掲載記事 

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リンク:カンボジア総合情報「Phnom」電子版


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