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二人でお茶を

このところ、夕方から洋裁教室に通うことが増えた。
予約がすぐ埋まってしまうのと、仕事や他の用事とで平日の昼間が取りにくいのだ。

六時半から始まるので、夕ご飯の支度を済ませて六時前に家を出る。
日の入りが遅くなり夜のお出かけ気分満載である。
飲み会でもないのに、夜の外出は不思議に心ときめく。
夕方六時なんて都市部では宵の口、道も駅も帰路に着く人と夜の街に繰り出す人が行き交い昼間より賑やかかもしれない。

こちらは晴れていれば星空である。
家路を急ぐ車のテールランプがイルミネーションのように揺れながらつながっている。

Bluetoothで小説の朗読を聴きながら三十分の道のり。

学童クラブの出勤日も遅くなることが多く、重なると週に三日、夫は留守宅に帰る。
洋裁教室は仕事ではなく趣味なので、なんとなく後ろめたい気持ちがあった。
それで、昼間は仕事の関係で予約が取れなくて、とか、キルト制作のスキルアップのため、などと言い訳をした。

夫はまったく意に介さぬようで、一人分に取り分けてあるのにも関わらずおかずを半分残しておいてくれたりする。
洗うまではしないが、使い終えた食器をシンクに下げてお湯で流してある。

仕事帰りにどこかに寄ることの無い夫であるから、案外、帰宅して妻がいない一人で過ごす夜というのもリラックスするものかもしれない。

休日なども思い思いに過ごし、あまり、というか用がなければ干渉し合わない、相手の動向が気にならない二人ではある。
夫も私も、自分が世話をやくときには相手にもやってもらいたいタイプでは無い。
やりたければご自由に、私は私、あなたはあなたなのだ。

けれども、食事とお茶は二人いっしょだ。
飲みたくなれば各々に飲むが、十時と三時は必ずいっしょにお茶をする。
何かをしていても二時間ごとの一休みでちょうど良いのである。

洋裁教室から戻ると九時をまわる。
あと三十分早く帰れば二人でお茶を飲めるのだけれど、九時以降は飲食はしないことにしていて夫はもう寝る体勢である。

私は明日の朝の体重計の針を気にしながら、遅い夕食をゆっくり摂る。
晩酌はブランデー仕込みの手作り梅酒。
極うま。
こんな夜も良いものだ。


※ヘッダー画像はGumi らさんよりお借りしています。
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