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【桜花賞】時計を要する馬場でこそ真価を発揮する欧州血統のDNA。

皆さん、ごきげんよう。

ついに迎えた桜花賞当日。

昨晩はこのnoteをまとめ上げるため珍しく夜更かししてしまったが、自分が読み直しても納得できる形に仕上がったと思う。

先週の大阪杯では、スクリーンヒーロー産駒を多数抱えるサンデーレーシングの苦しい胸の内に切り込み、ラッキーライラックを本命としたように、GIをはじめとする重賞競走には政治的要素が必ずといっていいほど存在している。

もちろん、今回の桜花賞も例外なく、政治的要素をはらんでいるはずだ。

冷静に考えれば、レシステンシアの前走だって、あくまで本番前の試走的位置づけにあったわけで、阪神JF同様のハイラップの競馬でダメージを残す必要はなかったわけだ。

それにも関わらず、北村友一騎手がまるで戦犯のように扱われ、本番直前で武豊騎手にスイッチ。

当時、チューリップ賞で◎マルターズディオサを本命にしたのも、そういう意図が分かっていたからであり、ましてや今週の最終追い切りでのあのパフォーマンス。

つくづく思う、競馬はエンターテインメントなのだということを。

さて、そんな所感を述べつつ、さっそく本題に移りたい。

<結論>
◎9 デアリングタクト

○14 ミヤマザクラ
▲17 レシステンシア
注5 マルターズディオサ
△4 サンクテュエール
<買い方>
馬単
9→14.17.5.4

ウオッカやダイワスカーレットをはじめ、ブエナビスタ、ジェンティルドンナなど、近年は牡馬にもひけを取らない“名牝”が次々に登場してきた。

その先駆けとなる存在で女帝の名をほしいままにした名牝エアグルーヴ。

繁殖牝馬としては、アドマイヤグルーヴ、ルーラーシップ等を輩出しただけに留まらず、アドマイヤグルーヴの仔にあたるドゥラメンテが日本ダービー制覇の偉業を成し遂げるなど、エアグルーヴからなる血筋は、今や日本競馬を代表する血統のひとつとして根付いている。

ただし、エアグルーヴ以降、華やかな現役生活を全うし、繁殖牝馬としてそれ以上の成功を収めたケースは数少ない。

釈然としない結果を受け入れざるを得ない状況にあった中、1頭の名牝が確たる爪痕を日本競馬に残すことになる。

その名は、シーザリオ。

日米オークス優勝という規格外の成績を収めた2005年、脚部不安を理由に生まれ故郷となるノーザンファームにて繁殖入り。

以来、エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの3頭がGIタイトルを手中に収め、エピファネイア、リオンディーズに至っては既に種牡馬入り。

エアグルーヴと同等、それ以上の勢力図を占める可能性も現実味を帯びており、サートゥルナーリアの種牡馬入りが内定している今、シーザリオ一族に向けられる競馬関係者の期待値は年を重ねるごとに着実に高まっている。

事実、エピファネイアの種付料は2018年、2019年の250万円に対して今年度は500万円と倍増。

生産界には名馬をつくる配合として、同一種牡馬の3×4のクロスをつくる(奇跡の血量とも言われる)理論があるが、「母の母の父」にサンデーサイレンスが入っているエピファネイアは、「サンデーサイレンスの3×4」をつくりやすい血統構成にあたる。

サンデーサイレンス系の繁殖牝馬で溢れかえる国内の生産事情を踏まえれば、エピファネイアの価値が相対的に高まることは十分想定内の出来事であり、後に控えるサートゥルナーリアとの食い合いが生じることのないよう、確たるブランドを早期に築く必要性がある。

そうした中、今年の桜花賞にはその血脈を持った3歳馬が歴史の新しい一ページを刻もうとしている。

栗東トレセンの杉山厩舎に所属するデアリングタクト(父エピファネイア)である。

まず、血統に目を向けると父エピファネイア、母父キングカメハメハの配合馬。エピファネイアのロベルトの血とキングカメハメハのキングマンボのクロスはパワー型に出やすい特徴を持ち、その上で、サンデーサイレンスの4×3のクロスを通じて瞬発力を強化。

父エピファネイアに似たパワーやスピードの持続力を主体としつつ、キレも兼備する血統背景を有している。

過去二戦の内容から高速馬場向きの印象を抱かれている方も一定数いるはずだが、グリップの効いた力強い脚捌きと、回転数の多いピッチ走法といった特徴からも、道悪馬場はむしろ歓迎材料といえる。

前走のレース後「周りが止まって見えた」とする感想を漏らした松山騎手。

当時の京都は外差し馬場だった、展開が流れた分時計が詰まっただけなど、厳しい意見も散見されるが、杉山師があのレースをみて「桜花賞」に狙いを見定めたように、競馬関係者であれば、一発でデアリングタクトがGI級の資質を秘めていることは読み取れたはずだ。

事実、当時2着のライティアに騎乗していた武豊騎手はこんなコメントを残している。

「良い感じで運んでいましたが、勝ち馬が強すぎました。」

これは余談だが、昨年の朝日杯FSでサリオスの2着したタイセイビジョンのレース後コメントは以下の通り。

「思った通りの競馬はできましたが、勝った馬が強かったです。」

強かったです<<<強すぎました

素人意見に目を向けるより、レジェンドのレース後の率直な感想に耳を傾けたほうが賢明といえるのではないだろうか。

さて、その強すぎるデアリングタクトを再度敵に回すことになった武豊騎手。

コンビを組むレシステンシアの血統をみると、父方は国内の主流血統であるサンデーサイレンス系×母方は欧州の主流血統サドラーズウェルズ系に分類される。

過去、この血統配合からは、昨年2着のシゲルピンクダイヤ、2016年2着のシンハライト、2014年1着のハープスター、2012年3着のアイムユアーズが馬券圏内の実績を有しており、桜花賞好走の下地は整っている。

しかし、上述した4頭と違い、レシステンシアは逃げ脚質。

相手の出方を伺って立ち回れるデアリングタクトに対して、それなりに支持を得ている状況から阪神JFに近い競馬に持ち込まざるを得ないレシステンシア陣営。

蓋を開けてみないことには、正解はわからずともこれだけは言える。

アーモンドアイ、グランアレグリアに続く桜花賞馬のタイトルに最もふさわしい馬は間違いなくデアリングタクトである。

ただの競馬好き@tadanoke1bazuk1
競馬に1万時間以上費やしてきたただの競馬好き。ローテとレース選択から陣営の意図を汲み取り、馬体重の変動・調教・馬体から勝負度合いを判断。騎手心理を読むのが得意。

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