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キャプテリオンの魅力

4/25 4/26「Creators Laboratory」主催のオンライン上映会「激情!クリエイターズラボシアター」に、只野が関わった特撮ヒーロー作品「銀河超速キャプテリオン」3作が上映されることになった。

前回の記事では、キャプテリオンの概要と、各作品のあらすじ、解説をまとめた。この記事では、「銀河超速キャプテリオン」という作品の魅力を、只野なりの感性でまとめたいと思う。

これから上映を観る人、キャプテリオンが気になっている人はぜひ読んでみてほしい

※まだ観てない人のためにネタバレを避けた内容となっていますが、一度観たあとに読んでもらえば「キャプテリオン」の魅力を一層噛みしめることができると思います。

「銀河超速キャプテリオン」とは

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「銀河超速キャプテリオン」は日本代表芸術学部のサークル「特撮部」が制作したヒーロー作品だ。

遥かなる宇宙。そして広大な銀河系。そこには星々より負のオーラが集合した邪悪なエネルギー体、メギドが満ちていた。メギドは星々を冒し、銀河の平和を脅かす存在を次々と生み出していた。しかし、銀河平和議会の名のもとに平和を守る一人の戦士がいた。その名は――

銀河超速キャプテリオン!

銀河平和議会の戦士キャプテリオンが、邪悪なエネルギーメギドによって生み出される怪人たちと闘う。

「転械」というコードを叫ぶことで、左手のブレスに収納された鎧「キャプテクター」が装着者の身を包み、キャプテリオンは顕現する。武器は徒手空拳と銀河超光剣。キャプテリオン(リュウセイ)の必殺技は、エネルギーを集中させて放つ「スターライザーブリット(パンチ)」「スターライザーシュート(キック)」銀河超光剣で敵を一閃する「ギャラクシースラッシュ」だ。

リスペクトとこだわりに裏打ちされた”王道”

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キャプテリオンの魅力の一つは、ヒーローの本質をしっかりと捉えた「王道」の演出、物語、世界観だ。

宇宙の平和を守るために発足された組織、「銀河平和議会」。それに所属する戦士の名前が「キャプテリオン」だ。キャプテリオンは邪悪なエネルギー、メギドによって生み出される怪人と闘う。

「宇宙から来た戦士」「負の念によって生み出される悪」は日本の特撮ヒーローにおいてよく使われる設定だ。宇宙という未知の領域から来た戦士は、我々に神秘的な印象を与える。負の念が生み出される悪とは、すなわち人間の負の面の具現であり、”悪を行う個人”ではなく悪そのものの擬人化だ。これは「罪を憎んで人を憎まず」という観念を持つ日本の文化特有の敵の在り方だと思われる。

「転械」という掛け声とともに一瞬で変身するヒーロー。敵を見下ろし、毅然と放つ名のり工場、カット割りで表現されるキック(ようはライダーキックのあれだ)、派手に爆発する怪人。
超常的な力と策謀で地球を脅かす、異形のシルエットの怪人たち。彼らと闘い時に勝利し、時に傷つくヒーロー。ヒーローを見上げ、称賛する人々。彼らの想いに答え、どんな困難も乗り越えるヒーロー。

こうした要素も、特撮好きが慣れ親しんだ、いわゆる「王道」だ。
王道はともすれば「パターン」とも「お決まり」ともとれるが、その境界線となるのは「リスペクト」「こだわり」だと思う。

好きな作品に憧れ、それを目指した作品を造ることは普遍的な表現行為だ。しかし、深く作品に触れ、その中に貫き通っている何かを見極めないと、それは元になった作品の上辺をなぞったものとなってしまう。

今作に関わった人々の多くは、特撮ヒーローに対して尋常じゃない知識とこだわり、リスペクトを持っている。だからこそ、「お決まりの寄せ集め」ではなく、ヒーローの本質をしっかりと捉えた「王道」となっているのだ。だからこそ、観た人の心を動かし、その人がもつヒーローへの憧憬を揺さぶるのではないか。

受け継がれる称号 二人のキャプテリオン

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キャプテリオンは称号のようなもので、強い正義の意志と優しさを兼ね備えたものに代々受け継がれている。

現在キャプテリオンの称号を受け継いでいるのはリュウセイ。先代キャプテリオン、ケンから称号を受け継いだ。一方、ショーではケンがリュウセイのピンチに駆けつけ、Wキャプテリオンが悪を討つシーンもあった。

今回上映する作品はリュウセイがメインの物語だが、作中の重要なシーンでケンが現れ、若き戦士を導く。昭和の特撮ヒーロー的な毅然な振る舞いのケンと、平成ライダー的な若さと力強さを持つリュウセイ。二人は一見対照的だが、その胸の内には共通したものがある。それは強い正義の意志と優しさだ。

特徴の異なる二人のヒーロー。世代を超えて受け継がれるヒーローの称号。その軌跡を描いた今作は、多くの人にカタルシスを与えるだろう。

”戦士”から”ヒーロー”へ 成長する若き戦士

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リュウセイは当初、血気盛んな若者といった性格で未熟な面があった。そんなリュウセイが、先代キャプテリオン、ケンの導きや地球での出逢いをきっかけに、ヒーローとして目覚めていく。

日本のヒーローは「力を持った個人」ではなく、「人々の平和を望む気持ちを代行する象徴的存在」だと只野は考えている。その点において、物語序盤のリュウセイはヒーローというよりは戦士に近い。そんなリュウセイが、物語を通して真のヒーローとして成長していくのが、「銀河超速キャプテリオン」の大きな魅力だ。

「光を継ぐもの」はリュウセイが苦難を乗り越えヒーローとなる物語、「戦慄の始まり」はヒーローとして成熟したリュウセイが人々を守る物語、「遥かなる陰謀」はリュウセイが自分と相反する正義の存在に苦悩し、相克していく物語だ。今回の上映では、その軌跡を2日に渡って辿っていくことになる。リュウセイの成長をぜひ見届けてほしい。

フォームチェンジ

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キャプテリオン=リュウセイは物語の中で新たな力を手に入れる。

物語の展開に合わせて、大きくシルエットを変えるキャプテリオン。このパワーアップは、ただ力が強くなったわけではない。リュウセイの正義の意志の目覚めに応じて、大いなる存在が彼を認めその力を授ける。いわば、キャプテリオンのパワーアップはリュウセイの成長の証でもあるのだ。

現在は特撮ヒーローが好きな人にとって、この「成長とフォームチェンジ」はフェティシズムを刺激されるのではないだろうか。

個性豊かな怪人たち

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※写真左から、諜報魚人ウパルス、ミュータント怪人バラメタス、べキュラス、宇宙怪人ガルギノス(完全体)、ノクテュルス、甲冑魚人ダントス。

特撮ヒーロー作品のもう一人の主役は、個性豊かな怪人たちだ。

邪悪なエネルギー、メギドによって生まれた怪人たちは、その出自に共通項を持ちながらシルエットやキャラクターはいずれも独特だ。

マントとひるがえし、悪のカリスマ性を放つべキュラス
甲殻類のようなシルエットで、進化によって姿を変えていくガルギノス
植物の不気味さと機械の冷たさをもったバラメタス
魔術師的なコスチュームで妖しさを秘めたノクテュルス
人の形を半ば逸脱し、野獣の恐ろしさを振りまくダントス
魚人の姿とサイボーグ化した頭部、不気味なナリをしていながらコミカルなウパルス

どのキャラクターも強烈なファーストインプレッションで見た人の記憶に焼き付くことだろう。
デザインだけでなく、キャラクターもきちんと個性が振り分けられている。冷酷、残忍で策謀を駆使して人々を陥れる悪の首領、弱者をいたぶることを楽しむ、悪の権化のような怪人。魔術を駆使する女幹部。言葉を発さず暴れる怪物。コミカルでどこか憎めない小物。

怪人たちそれぞれのキャラクターが冴えているからこそ、ヒーロー作品は魅力的なものとなるのだ。だからといって、怪人はヒーローを際立てるための道具というわけではない。

ヒーローの敵役である怪人が次々と画面に登場し、日常を壊しヒーローと対峙する様を観て、きっとあなたは魅了されるだろう。異質な存在である怪人の妖しい魅力に。
キャプテリオンに登場した怪人たちは、学祭やイベントで度々グリーティングを行ったが、みんなヒーローに負けない人気だった。

キャプテリオンを観る方法

この記事を読んでキャプテリオンに興味を持ってくれた人に、作品を見れる場所を紹介したいと思う。

まず、冒頭に触れた「Creators Laboratory」主催のオンライン上映会「激情!クリエイターズラボシアター」
4/25 4/26にYoutubeにて無料上映がされる。タイムスケジュールは以下の通り。

4/25 22:00~「銀河超速キャプテリオン~光を継ぐもの~(前編)」
4/25 22:25~「銀河超速キャプテリオン~光を継ぐもの~(後編)」
4/26 21:50~「銀河超速キャプテリオン~戦慄の始まり~」
4/26 22:00~「銀河超速キャプテリオン~遥かなる陰謀~」

4/25の部はこちら

4/26の部はこちら

また、ハッシュタグ「#おうちでキャプ」感想をツイートしてもらえると制作に関わったものとしてはヒジョーに嬉しい。

そして、外伝作品外伝作品「銀河超速キャプテリオン~甦る哄笑!出動せよ特撮部!!」はキャプテリオンのYotubeチャンネルで観ることができる。

銀河超速キャプテリオン - YouTube https://www.youtube.com/channel/UChbrh9bxT2x0xnvNf3lfUqw

また、Twitterアカウントでは作品の更新情報の他、キャプテリオンから不定期に送られてくるメッセージを見ることができる
銀河超速キャプテリオン
(@captelion)https://twitter.com/captelion/media

キャプテリオン Fight for you

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「銀河超速キャプテリオン」の魅力を只野の感性に従って解説した。自分は原作者でなく、スタッフとスーツアクター、キャラクターブックの作成を担ったに過ぎないので、「キャプテリオンの魅力」と題して語るのは若干恐れ多くもあったのだが、大学生活の3年間を費やした関わったものの想いとして受け取ってもらえれば幸いだ。

キャプテリオンは、只野が”ヒーロー”とは何なのか”正義”とは何なのか、その問いを追求するきっかけになった作品であり、只野が人と共に何かをすることの価値を知るきっかけになった作品でもある。

この作品が誰かの心に響いてくれることを願う。

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