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【文献紹介】餅は食べ過ぎない方が良い

新年,明けましておめでとうございます。ただの病院薬剤師です。
2024年も何卒,よろしくお願いいたします。

今年は,noteも頑張っていこうかなと思っています。よかったらお付き合いいただけますと幸いです(どこまで継続できるかは謎ですが・・・)。

さて,皆さん。正月といえば何を思い浮かべますか?初詣,お年玉,箱根駅伝・・・考えればキリがありませんが,今回は「餅」です。
餅と聞いて,のどに詰まらせて窒息・・・を考える方も少なくないと思いますが,餅に関する少し興味深い(?)文献がありましたので,紹介します。


餅の食べすぎで低カリウム血症!?

今回紹介する文献(症例報告)はこちらです。

めちゃくちゃざっくりと要約するなら,大みそかにアホみたいな量の餅を食べた結果,低カリウム血症になって元旦に救急搬送されたといった内容です。

ちなみに,餅に含まれるカリウム量って知っていますか?私は知りません。この文献では,餅のカリウム含有量は100gあたり32mgだそうであり,本症例では餅をトータル30個(朝昼晩でそれぞれ10個ずつ)も食べているので,摂取したカリウム量はおよそ2,000mgと予想されています。
・・・いや,餅30個って。すごくない?そんなに食べて飽きないのだろうか。

結果として本症例では,低カリウム血症性周期性四肢麻痺の原因は餅をはじめとした糖質の過剰摂取であると推定されました。
ちなみに,餅30個はグルコースとして1,500g相当であり,米飯では10杯分,コーラでは約13Lに相当するのだそうです。コーラ13Lって。やばすぎ。

糖質と血清カリウム値との関連性

高カリウム血症の治療法にGI(Glucose-Insulin)療法があります。有名ですよね。学校では「インスリンの効果で細胞内にグルコースが取り込まれるときに,カリウムも一緒に細胞内に取り込まれるから血清カリウム値が下がる」と教えてもらいました。
実際は,インスリンが細胞のNa, K-ATPaseやNa/Hアンチポーターを活性化することで細胞内へのカリウム取り込みが増加するようです(下図)。

実は糖質だけではない?思わぬ低カリウム血症の原因

先ほどの文献では,関連する症例として,コーラの過剰摂取による低カリウム血症について述べています。主に欧米を中心に報告が多いみたいですが,わが国でも,コーラを毎日4~5L飲んでいた方が救急搬送され,低カリウム血症性ミオパチーと診断された例があるようです。

コーラによる低カリウム血症は,糖質以外にもカフェインが関与しているようであり,カフェインが細胞内にカリウムをシフトさせることで血清カリウム値を低下させていたみたいです。カフェインによる血清カリウム値低下作用についてもメインはNa, K-ATPaseの関与が考えらえているようですね。


なんだか取り留めのない内容となってしまいましたが,餅の食べすぎはのどに詰まらせるだけじゃなく低カリウム血症のリスクもあるので注意しましょうね(?)というよくわからない教訓も得たところで,今回はこの辺で失礼いたします。
それでは,2024年もどうぞよろしくお願いいたします。

2024.01.01
ただの病院薬剤師

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