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工場ワークなんておすすめしようと思わない

よくSNSなんかで「黙々と仕事できてコミュ力なんて不要な工場で働こう」「パワハラなんて昔の話!工場ワークが大人気!」とか「未経験OK!簡単楽チンな工場ワーク!」みたいな広告を見かけますが、「本当のところ工場で働くことってどうなの?」って疑問は、未経験の方にはあるんじゃないかと思うんですよ。

そんな方に、いくつかの工場ワークを経て今も工場で働いている僕が感じたことを、ちょっとまとめてみようと思う。


いうほど簡単でもねえよ、と

ま、結論から書いてしまうと、「言うほどおすすめでもない」んだよね、僕としては。

楽なようで頭も体も使う

理由はいくつかあって、その一つは「言うほど楽でも単純でもないから」で、まあ職場にもよるんでしょうけど、歩留まりを上げるためには色々と考えて工夫していかないと難しかったりしますし、同じ作業でもタイミングによっては手順が変わったり、最終的な処理が変わったりすることも多いので、個人的には広告ほど楽チンでも単純でもなかった職場ばかりでしたよ。

作業中は立ちっぱなしな職場も多いし、ひたすら歩き続けるような職場もありましたから、それに耐えうる体力も必要になってきますので、決して楽チンではなかったです。

危険な作業もそれなりにある

次に「職場にもよるけど危険が伴う」ことですかね。
細かいパーツばかり扱う職場でも、金属やプラスチックで手や指を切創したりすることはありますし、紙でさえ鋭い刃物みたいな切れ味を発揮することがあります。

油脂や溶剤などの危険や薬品を扱うこともあり、その臭気で気分が悪くなったり、ちょっと気を抜いていると自分に被害が及ぶこともあります。

さらに厄介なのは、そうした油脂や薬品などが工場の外部に流出して環境事故を起こしてしまうと単なるやらかしレベルの話ではなくなり新聞沙汰につながることもあります。

なので、ちょっとしたことに気を使う職場が多かったです。

やっぱりコミュ力は必要か?

最後に「人と関わらない仕事はない」と僕は思っているんですよね。
まあ程度の差はあると思いますが、淡々と仕事だけして誰とも話さずに退勤できるような仕事はほぼないです。

ハズレを引いてしまうと、バリバリの方言で早口でまくしたてるようなガチなおっちゃん/おばちゃんと、毎日どーでもいいような会話を半ば強制的にしなければならない場合だってあります。

人間関係に起因するストレスは馬鹿にならず、肌感覚でしかないですがそれが原因で職場を去る人は多いです(僕自身も「若いくせに頭が固くてモラハラ気質の社員」が嫌で派遣元に苦情を入れたりしましたし)。

広告なんて無責任なもんだ

作業の内容も、危険性も、人間関係のストレスの具合もわからない状況で「工場ワークは楽チンな仕事だ」なんて語られても信憑性ないですし、無責任だよなって思いますよね?

だから僕は「工場の仕事なんて、やるもんじゃねーよな」って思ってます。
じゃあなんで僕がいまだに工場で働いているのかというと、僕の場合は好きでやってるわけじゃなくて、流れ流れてたどり着いたのが今の職場ってだけで、なんなら毎日「クソッタレ!バーカバーカ!◯んこま◯こ!」と呪詛を心で垂れ流しつつ身を粉にして口を糊しているわけだから、宝くじが当たったりしたら光の速さで「やーめたっ!」と言い出すくらいの無責任さを常に抱えて働いているわけ。

ぶっちゃけ個人的には、そんな人が大半じゃないかなって思ってます、
とある企業がテレビの番組で「ものづくりの大切さや面白さを知っている人に支えられてます!」なんてことを言ってましたけど、その人に報いてくれてる企業なんてとても限られてますから、滅私奉公するような人はバカを見るだけなので適当に周りに合わせて働いていければいいのです。

まだ若くて可能性のある人なら、夢のある仕事につけばいいと思うし、仮にお金のためにどうしても工場で働かなくてはならないって人なら、周りを見て心が腐ってしまう前に、目的を達成して職場とオサラバした方がいい。

しかし、もしもあなたがそうでないなら、工場の仕事はそれなりに居心地はいいかもしれない……。

メリットもなくはない

若干良い時給

工場で働くメリットは、他の仕事よりも高時給の職場が多い(これも肌感覚ですが)気がします。

実際に求人を探してみると感じるかもしれませんが、最低時給よりも2〜5割ほど高い職場が多く、僕が現在働いている職場でも最低時給の5割増の給与を頂いており、なおかつ残業や休日出勤も多いので相応の手取りも期待できます(まあ比較対象が最低時給なので、実際の相場と比べれば違った結果もになるでしょうが)。

コロナ禍が収まりつつある昨今、工場の稼働状況も復調傾向にありますし、特に半導体需要が回復してきていますから、自動車関係の工場では残業や休日出勤も増えてくるでしょう。

ですから、今の時期ならそこそこ稼げる職場も多いかもしれません。

待遇もいい職場が多い

大手メーカーや大手の派遣会社で仕事をする場合は福利厚生も魅力的で、僕が驚かされたのは某自動車メーカーに派遣されていた時には新型コロナワクチンを敷地内の診療所で接種できたことしょうか。

わざわざ休みを取って病院に行かなくても、仕事中に職場で接種できるのは当時とてもありがたかったですね。

食堂が充実していて、メニューが豊富だったり、ご飯とお味噌汁食べ放題、漬物とふりかけも使い放題という職場もあって、「まんが日本昔ばなし」に出てきそうな山盛りのご飯を毎日頂いていた時期がありました(まあハズレの職場だと「それほど美味しくなくて冷えた弁当」ってところもありました)。

全てではないですが、寮費や食費に補助があったり、職場によっては無償になったりするのも魅力的で、かなり昔に所属していた派遣会社では、賃貸マンションを数棟借り上げて遠隔地から来た就労者向けに無償提供していましたので、地元から手っ取り早く逃げ出す手段としてはアリだと思う。

そういうメリットがある職場も当然ありますので、もし働きたいと思ったら「ちゃんと職場は吟味してね」ってことなんだと思う。

スキルが不要な職場も多い

昔なら、ここの職種にはそれまで培ってきた技術や経験が必要でなことが多かったのですが、現在ではそうしたものは必要とされない職場も多く、広告で言うところの「未経験者OK!」の場合も多々あります。

他にも国籍や人種も問われなかったり、制服さえ着ていれば頭髪の色や入れ墨の有無も不問な職場もあります。

ただ、最低限必要なのものもあって、「工場で仕事をするのに適しているか?」はとても大切になってきます。

中でも、誠実さが足りない人や協調性に欠ける人は早々にトラブルを産みかねないので嫌われる傾向が強い気がします。

とある職場では「人間力」という曖昧模糊とした名称で、そうした能力を問うてきますので、向き不向きは当然出てきます。

ですから万人向けではないんですよね……。

個人の意見でしかありませんが

広告で言ってることなんて話半分だし、なんなら求人サイトの情報だってあてにはならないわけで、いわゆる「アットホームな職場です」って紹介文に書いてある会社はブラック企業っぽいよね、みたいな雰囲気を限られた情報で感じ取りながら探していく必要があるし、話が進んで職場見学なんかをさせてもらっても、話が決まっていざ初出勤って日になって「実はこちらの仕事をやって欲しい」なんて、聞いていた業務と違う部署に連れていかれることもある(僕が今やってる仕事は、まさにそんな始まりだった)。

それに、こうした仕事なんて、実際にしばらくはやってみないと、自分に向いているかどうかなんて、わかりっこないんだよねぇ。

ま、色々書きましたが、繰り返しになるけど僕からすればいうほど楽な仕事ではないし、疲れるしストレス溜まるし、なんなら怪我する可能性だってあります。

その代わり、若干良い給料と他より若干良さげな待遇が得られそうな職場も多いので、そのバランスを考えて仕事を探してみてほしいですかね。

皆様が良き工場ワークと出会えますように願ってます。

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