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情緒的見捨てられ体験 子どもが悲しんでいるとき励ましていませんか?

先日、野口嘉則さん(心理カウンセラー)と武田双雲さんのインスタライブで対談を聞きました。

今回は、この対談内容と赤羽雄二さん『自己満足でない徹底的に聞く技術』で書かれているアクティブリスニングがつながった体験をシェアします。

インナーチャイドとインナーペアレント


自己肯定感を高める方法に「自己受容」があります。
「自己受容」は、自己肯定感を高めます。
「自己受容」は、ありのままの自分(Being)を受け止めることです。

自分の中に、色々なことを感じる自分がいます。
「自己受容」とは、インナーチャイルド(自分の感じる気持ち・見つめられる自分)をインナーペアレント(自分の感じる気持ちを聞く親・見つめる自分)が受容することです。

心理学では、子どもの頃に傷ついた自分が心の中に生きていて、「悲しい」「寂しい」というメッセージをインナーチャイルドが送っていると考えます。
そのメッセージをインナーペアレントが、「悲しいんだね」「怖いんだね」と受け止めるのが、自己受容です。

そのときに、インナーぺアーレントが、「泣いていないで、くよくよしないで」と手厳しかったり、「ポジティブでいようよ」と叱咤激励すると、インナーチャイルドは、自分の気持ちを聞いてもらえないので、癒されません。それが非受容な状態で、実際に、子育てでも同様の場面は多くあります。

これは、「情緒的見捨てられ体験」と言います。

演出家の宮本亜門さんは、自伝『ALIVE(アライブ)ー僕が生きる意味をみつけるまで』(2001年)や、NHKのドキュメンタリー『わたしが子どもだったころ』(2008年)などで赤裸々に語っています。

新橋演舞場の近くで生まれ、母親が松竹歌劇団のダンサーだった宮本亜門さんは、幼い頃に日本舞踊を習っていました。ある時、稽古を終えてから学校に行った宮本亜門さんは、いじめにあいます。首におしろいが残っているのを級友に気づかれ、

「男のくせに化粧してる。えーい、女、女」とからかわれたそうです。

級友に冷やかされ、半べそで帰った宮本亜門さんは、母親に「踊りをやめたい。女みたいってバカにされた」と告げました。

その宮本亜門さんに、母親はこう返答しました。

「バカねえ。何にも恥ずかしいことないじゃない。みんなの方が変なのよ。芸事がわからない連中はほうっておきなさい。あなたはすばらしい才能をもっているんだから。いいわね。ほら、元気出して。笑って」

この母親の言葉で宮本亜門さんは、天真爛漫の子どもだった自分が心を閉ざすことになった、とまで書いています。

これが、宮本亜門さんの情緒が見捨てられた体験です。
悲しさ、くやしさ、がっかりが見捨てられてしまったのです。

一見、いい言葉に聞こえる母親の言葉です。
お母さんも昭和育ちで、そういったことを受け入れる器がないので、お母さんは悪くないのです。気づかずにやってしまっている人が多いです。

この場合「そうか、それは悲しかったね」と受け止められればいいのですが、ネガティブケイパビリティという未解決の状態をそのまま受け入れる力を持っていないために、親がよく子どもにやってしまいがちなことです。

受容するためには、マインドフルネス(いまこの瞬間に自分が感じていることを観察し、良い悪いの価値判断をせずに気づく)が大切になります。
マインドフルネスは、アウェアネス(英: Awareness:意識、気づき)に近いです。

自己肯定感を上げることは、Doing(行動・仕事)、Having(所有物・報酬)で、自信を持つ(英:Confidence)こととは、違います。

野口嘉則さん(心理カウンセラー)と武田双雲さんのインスタライブでの対談

見捨てられ体験をさせないためにも、アクティブリスニングは有効

先日、4歳の長女とこんなやりとりがありました。

夜8時、夫と長男と次男が、カブト虫取りに出かけることになりました。

夜の山歩きなので、4歳の長女と私はお留守番です。
そのことに対して、

「わたしも一緒に行きたい~!」と大泣きしはじめました。

このときに、
「夜の山は、暗くてお化け出るかもしれないよ~」と脅したり、
「虫が、くっつくかもよ」と嫌がることを想像させたり、
「まだ小さいから大きくなったらね」と諭すことで、
泣き止ませることもできたかもしれません。

しかし、こんなときこそ赤羽雄二さん『自己満足でない徹底的に聞く技術』で書かれているアクティブリスニングです。

「一緒に行きたいよ~」

と大泣きする娘をぎゅっと抱っこしながら、

「一緒に行きたいんだね~」

とそのままの気持ちを受け止めます。

「私も行きたいよ~」

と何度も繰り返し言うので、私も何度もその気持ちが受け止めます。

「まぁまぁ」となだめすかしたり、
「一緒に絵本を読んだり、ゆっくりお風呂に入ったり、お絵かきしてあそぼ!」と気をそらすこともできました。

しかし、とにかく、そのままを受け止めていました。

そうしたら、

「お父さん、大好きなんだよ~」とか、
「前、お父さん嫌いっていっちゃったけど、ほんとは好きだから、一緒にいたいんだよ~」とか、
「家族みんなで一緒にいて楽しかったから、そのままみんなでいたかったんだよ~」とか、
「私も、みんなと一緒にいたかったんだよ~」

という、カブト虫取りに行きたいというよりも、

家族と一緒にいられなくなったことの寂しさや
みんなと一緒にいると楽しいという気持ちを話し出しました。

「そうなんだね~。みんなと一緒にいたかったんだね」

というと、

「みんなのことが好きなんだよ」

というので、

「そうか、みんなのことが好きなんだね」

というやりとりを繰り返しているうちに、

いつの間にか、涙がとまっていました。

ひとしきり泣いて、話をしてすっきりした様子が見えたので、

「お風呂、入ろうか」と聞くと、

「うん!」という返事が返ってきました。

そして、

「お風呂入ったあと、絵本を読んで」と、いま、自分のしたいことを話し出しました。気分もすっかり変わって、お風呂では、別の話をたくさんしていました。

無理に泣き止ませなくても、アクティブリスニングをしていると、本人が変わらないことを受け入れ、できることに目を向けます。

アクティブリスニングは、心理学でいう、受容のことで情緒的見捨てられ体験をさせないことなのだと思います。

こういった日常のやりとりは、ティッシュを1枚1枚積み重ねるように、「自己肯定感貯金」を積み立てているようなもののように感じます。

いじめとか不登校といったことが起きたときに、日々、アクティブリスニングの習慣を私自身が身につけていれば、子どもの「情緒的見捨てられ体験」を減らすことができるように感じます。

朝のバタバタした時間や自分に余裕がないときは、なかなか聞ききることもできないのですが、こういった関わりをできる時間を増やしていきたいです。

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他の投稿も参考にしてみてください。

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■毎朝 5:30~5:50
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などが開催されています。
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