多田文明(作家、悪質商法・キャッチセールス評論家)

1965年、仙台市出身。詐欺・悪質商法評論家、潜入ルポライター。ベストセラー『ついてい…

多田文明(作家、悪質商法・キャッチセールス評論家)

1965年、仙台市出身。詐欺・悪質商法評論家、潜入ルポライター。ベストセラー『ついていったら、こうなった』が番組化、第8弾まで放送される。あらゆる詐欺・悪質商法の手口、詐欺師の心理術、マインドコントロール・洗脳の手法やカルト事情などに精通し、テレビ出演や執筆など、幅広く活動中。

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【詐欺の手口を大公開!】この記事を読まれる方へのご案内

みなさま、こんにちは。 私は現在、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリスト・評論家として、執筆活動の傍ら、講演やテレビ・ラジオなどにも出演して活動している、多田文明です。 この道を歩み始めたのは、悪質勧誘を行う業者への潜入ルポ『ついていったら、こうなった』(彩図社)の出版がきっかけでした。 本書は、フジテレビにて、2007年からテレビ番組化されて、芸人さんたちが体を張り、詐欺や悪質な業者へ果敢に潜入ルポを行い、その実態を明らかにしてきました。 そのドキドキ感が好評を博したようで

    • #15 「勧誘の衣」にくるまれた罠

      こうして個人情報は抜き取られている勧誘の手法だけでなく、その目的をリバーシブルするものもある。 いわゆる、裏の目的を達成するために、表側には相手が興味を引きそうな衣をまとうのである。 若者を狙う手口のひとつにすでに述べた「キャッチセールス」がある。 おそらく多くの人は、次のような手口でやってくることを知っていることだろう。 道を歩いている人に、「こんにちは、アンケートをお願いします」と声をかける。 「はい」と、足を止めると、「今、関心のあることをお聞きしてもよいですか?」

      • #14 お金がない人こそ狙われる

        「カネがなければ借りさせろ」すでにローンなどを背負い、老後の生活に不安を抱えた中年層も狙われている。 まさに私もその世代だが、あるギャンブル系サイトに登録した時のことだ。 「競馬の的中情報を提供する」 という業者から電話がかかって、男は私の懐具合の調査から始めてきた。 「今のお年ですと、老後の生活はとても不安になりますよね、国の年金も少子化が進むこの時代に、あてにできませんしね」 「ええ」 「老後の生活には、6000万円ほどなければ、安心できないといわれています。現在、

        • #13 乳がんと闘った小林麻央さんの死去に便乗した卑劣な詐欺

          お金があろうがなかろうが魔の手は伸びる「『お金がない』という姿勢を見せておけば詐欺や悪質業者を撃退できる」 この対策は2000年代当時の古い対策で、現在はまったく事情が変わっている。 もし今も「取られるお金なんてないから騙されることはない」と思っていれば、間違いなくカモられる。 おそらく、みなさんのところに、さまざまな迷惑メールがやってきて、日々削除の処理をするのに困ったことがあるに違いない。 特に、多いのは「遺産として、1億円を差し上げます」といった「お金を、あなたにあ

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        • 詐欺・悪徳商法の「新常識」
          15本

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          #12 「お金がないから騙されない」と思っている人に限ってはカモられるのはなぜか?

          もっとも効率的に金を奪える詐欺とは?テレビの街頭インタビューで、「これまで詐欺に遭ったことはありませんか?」と尋ねると、多くの人は「ないない」と手をふって、通り過ぎていく。 なかには、「私なんか、お金がないから、騙されるわけないわよ!」などと、高笑いをする人もいる。 本当に、そうなのだろうか? 私が詐欺や悪質商法への潜入取材を始めたのは、2000年代初めである。 当時、私は「キャッチセールス評論家」を名乗った。 その肩書がセンセーショナルだったようで、その頃出版した『キャ

          #12 「お金がないから騙されない」と思っている人に限ってはカモられるのはなぜか?

          #11 詐欺師の腰を折る一言

          「ロト6の当選番号が分かる」詐欺や悪質業者は都合が悪くなると、すぐに話を本筋からはずそうとしてくる。 それゆえ、私が電話などで話す時には、常に論点がずらされないように気をつけている。 以前、番組で「ロト6の当選番号が事前にわかります」などと、ありえないことを言う詐欺業者と電話で対決した時のことだ。 潜入取材を進める番組スタッフが「当り番号が事前に全部わかるなんていることは、ないですね」と問いただすも、業者は「この情報は事実で、詐欺ではない」と言い張る。 そこで、私がスタッフ

          #10 相手の気持ちに寄り添い、騙しに騙しをかぶせる

          物理的に目を逸らせるだけではなく、相手との会話の中で、論点をずらして、悪質業者がモノを売り付けることもある。 これが一番、厄介かもしれない。 ある訪問販売業者による被害額は11億円を超えて、ようやく詐欺容疑での逮捕で終息した。 これだけの被害になったのは、彼らの使った決め台詞が、実に巧妙だったからである。 業者はまず訪問した先で、「以前に、布団を買いましたね」という。 相手は「ええ」と答える。 というのも、過去に布団を購入したリストをもとに高齢者宅を訪れているのだから、頷

          #10 相手の気持ちに寄り添い、騙しに騙しをかぶせる

          #09 詐欺のエースストライカーの発想とは?

          冷静になれる猶予を与えない詐欺からの身の守り方を、サッカーで例えてみると、詐欺師である攻撃側がどういった動きをして攻めてくるのか、その動きのパターンを知ってディフェンスをする必要がある。 特に警戒すべきは、詐欺のゴールを決めようとするストライカーの動きだ。 彼らは、金を取るために、さまざまな騙しのテクニックを擁してくる。 今、警察による詐欺撲滅のための徹底した取り締まりが行われているが、詐欺犯らはそうした対策の背後をつくように、警察を装って高齢者宅へ電話をかけてくる。 「

          #09 詐欺のエースストライカーの発想とは?

          #08 詐欺師の「川上り」

          番組スタッフが騙されかけた今、架空請求詐欺が猛威を振るっている。 DMMやアマゾンなど、大手のサイト業者を騙ってこう言う。 「あなたは有料動画サイトを閲覧した履歴があり、料金の未納分が発生している。もしこのまま料金を払わなければ、運営会社から訴訟を起こされ、給与や不動産などの財産が差し押さえられる。至急、連絡されたし」 こうした文面が綴られている。 「裁判」や「財産差し押さえ」といった脅し文句に慌ててしまい、メールに書かれた番号に電話をして、被害に遭うのが、よくあるパター

          #07 クレジットカードを狙う詐欺師の最新手法

          「ATMでの振り込みを指示されたら、それは詐欺」という対策が周知徹底されると、詐欺犯らはお金の受け取り方のバリエーションを増やして、その注意喚起の力を弱めていった。 そして、お金の授受が郵送や宅配、バイク便、直接の受け取りの形にシフトしていくと、世の中でも、 「現金は郵送しない。直接、渡さない」 「お金が必要といわれたら、詐欺を疑え」 といった注意喚起に変わっていった。 各警察でも、お金を振り込ませない詐欺が増えてきたことから、「振り込め詐欺」と言わず、「母さん助けて詐欺

          #07 クレジットカードを狙う詐欺師の最新手法

          #06 過去最悪の被害額となった背景とは?――手口の「スライド」に惑わされるな

          金の受け渡し方法が変わったスライド型とわれる手口が、もっと顕著に表れているのは、振り込め詐欺における金の騙し取り方だ。 その名前の通り、この犯罪が出始めた当初は、ダマした金を銀行のATMから振り込ませる形で送金させていた。 ところが、警察と銀行がタッグを組み、人々に注意を呼び掛け、振り込め詐欺に使われたと思しき銀行口座が警察に通報されると、すぐに凍結されるようになった。 詐欺師からみれば、せっかく口車に乗せて、騙しとれそうになった金を、最終の受け取りの段階で逃がすことにな

          #06 過去最悪の被害額となった背景とは?――手口の「スライド」に惑わされるな

          #05 詐欺師が遵守する「詐欺のスキーム」とは?

          私たちの目をくらませる「ずらし」の手法とは?よく詐欺師は、新しい手口を次々に考え出す。 そう思っている人もいるだろう。 テレビ番組などに出演すると、 「騙すための知恵を、まっとうな世界で使えば、間違いなく成功しているだろうに。もったいない」 という声を聞くほどだ。 ここで知っておいてほしいのは、新しい手口と言われるものは、突然変異のようにポンポンと飛び出してくるものではなく、何かしらの発想の流れがあって生まれてくるものだということだ。 つまり、過去の騙しの手口がどのよう

          #05 詐欺師が遵守する「詐欺のスキーム」とは?

          #04 「いい人」「一途な人」が危ない!?――「真面目さ」「実直さ」につけ入る詐欺師の手法とは?

          詐欺師が「時間」を奪おうとするのはなぜか?「オレオレ詐欺に気をつけて!」という標語を高齢者に訴えるだけでは、詐欺対策としては不十分ということを話したが、私はこの対策自体を否定するつもりはない。 一定の効果はあると思っている。 なぜなら、短い言葉であってもイメージを膨らませることで「もしかして、今、受けている電話は、詐欺かもしれない」と気づくことができるかもしれないからだ。 実際に、「“お金が戻ってきます”の還付金詐欺に注意!」といった注意書きがATMに貼ってあるのを見て、「

          #04 「いい人」「一途な人」が危ない!?――「真面目さ」「実直さ」につけ入る詐欺師の手法とは?

          #03 オレオレ詐欺に組み込まれた「ビジネス的発想」とは?

          パッケージに惑わされるなオレオレ詐欺の被害は相変わらず多い。 これだけ手口への周知徹底が図られているにも関わらず、である。 日本の社会で「オレオレ詐欺」この言葉を知らない人はいないはずなのに、被害が多く出ている。 その理由に、パッケージの中身が変わっているのに、私たちがそれに気付いていないことがある。 私はこれまで詐欺師たちのさまざまな手口を通じて、ビジネスの成功にも通じる交渉術、マーケティングなどの手法を書いてきたが、実は、このオレオレ詐欺にも、あるビジネス的な発想が見え

          #03 オレオレ詐欺に組み込まれた「ビジネス的発想」とは?

          #02 詐欺・悪質商法には常に「続編」がある――仲間同士でツルみ、グルでアプローチしてくる

          詐欺師によって布石は打たれていた早朝、私のもとに知人から電話がかかってきた。 何やら、少し慌てた様子である。 「父親が、勝手にリフォーム工事の契約をしてしまったんだ」 話を詳しく聞いた。 「近くで工事をしているのでご挨拶にきました」 知人の父親宅を、リフォーム業者が訪れてきた。 「ついでながら、外から屋根を見ましたところ、問題があるようです。調べたいのですが、よろしいでしょうか?」 と言ってきた。 長年、住んでいる家である。 どこかにガタはきているだろうとは思っ

          #02 詐欺・悪質商法には常に「続編」がある――仲間同士でツルみ、グルでアプローチしてくる

          #01 なぜ、人は騙されてしまうのか?

          詐欺師の目線で考えてみれば毎日のように、息子になりすまして電話をかけるオレオレ詐欺やうまい儲け話をもちかけられて投資詐欺の被害に遭ったという事件が報道されている。 その一方で、警察が詐欺犯らを逮捕したニュースも連日、流されているが、いくら彼らを逮捕しても、次々から次へと、詐欺へ加担するものが出てきている状況だ。 今は、詐欺・悪質商法が全盛の時代だといってよいであろう。 なぜ、詐欺師らは雨後の筍のように、現れるのか? 端的にいえば、それは、騙される人が、後をたたないからである