【デザインとは何か?】日本人が佐藤可士和や佐藤卓のデザインを理解できない理由。。。
1.デザインを理解できない日本人
近年デザインというものがようやく認知されつつありますが、まだまだデザインを理解していない人は多いです。
『デザインとは何か』を問われて本当の意味を答えられる人は少ないんじゃあないでしょうか?
その昔、佐藤可士和さんがGUのロゴを発表したのですが、当時はカナリ叩かれていました。
画像はGUより引用
その佐藤可士和さんが少し前にNewsPicsでウィークリー落合で話していましたが、落合さんに向かって『ここまで味の分かる人にデザインを見てもらえて嬉しい』といっていました。
佐藤可士和さんのデザインの凄さは落合さんが丁寧に解説してくれているので、詳しく知りたい人はこちらをどうぞ↓
落合さんが解説した佐藤可士和さんを一言でまとめると
『あのロゴをユニクロの柳井社長にプレゼンして、通せることが凄い』
これはデザイナーをしている人なら分かると思いますが、あのくらいシンプルなロゴをクライアントに説明して理解してもらうことは大変です。
そもそも普通は社内でボツになってプレゼンまで到達しません。
なぜなら社内にいる人間ですらデザインということが分かっていないからです。
当時はあのロゴを見て「手抜き」とか「既存のフォントを使うなんてありえない」なんて意見が多かったのを覚えています。
2.デザインとは何か?
先ほどの続きですが、「既存のフォントを使うなんてありえない」と感じてしまうこと事態が日本人の多くがデザインを理解していないという証明になります。
「デザインって色々な装飾を施して美しくすることにこだわったもの」みたいな考え方があるので、既存のフォントを使うなんてこだわってないって思ったのでしょう。
本来デザインとはそういった装飾美術とは違う概念なんですが、日本十進分類法では並列(図書館などで装飾美術の欄にデザインの本がある)されているので、そう理解する人がいてもおかしくはありません。
デザインの中には装飾することも含まれているので、あっているといえばあっています。
しかしそういった装飾以外のことだってデザインは使われているのです。
当たり前すぎて気づかないのかもしれませんが、
『この世のすべてのものにはデザインが施されています。』
・毎日使うスプーンやお箸もすべてデザインされてきたものです。
・企画書を作って企画の内容を伝えることもデザインです。
・文字を使って、人に何かを伝えるのもデザイン。
つまりデザインがないと人は生活していけません。
それくらい身近なものであって、決して美しくて理解できないアート的なものだけがデザインではありません。
もちろんそういったデザインもありますが。。。
デザインは何かということを1番理解しやすくデザインに落とし込んでくれているのが、佐藤卓さんです。
有名なデザインでいえば美味しい牛乳のパッケージです↓
これを一流のグラフィックデザイナーがデザインしていると言われても一般の人ならピンとこないと思います。
プロなら文字のバランスや揃え方でプロがやったものだとは分かりますが、それでも一流のデザイナーがデザインしたものと言われてもピンとこないでしょう。
佐藤卓さん曰く「牛乳は毎日の生活に溶け込んでいるのに、派手な装飾はいらない。牛乳は牛乳と分かればいい」とおっしゃっていました。
明治はこの牛乳のパッケージデザインを佐藤卓さんに頼む際に「今まで見たことないような斬新なパッケージをお願いします」と依頼したようです。
しかし佐藤卓さんは、牛乳はそうじゃないと説得したのです。
一流のデザイナーがデザインのことを理解しているのは分かりますが、これを全く理解できない人に伝えて納得させることができる人が本当のデザイナーなんだなとこの逸話をみて思ったことがあります。
3.デザインとは何かのまとめ
ここまでデザインについて解説しましたが、デザインは日常のあらゆるものに存在しています。
日本人が装飾にこだわったものだけをデザインと勘違いしてしまうのは、歴史の流れとして仕方のないことでした。
第二次世界大戦後デザインという概念を理解する前に大量の欧米のデザインが日本に入ってきて、高度成長と共に装飾にこだわったものだけがデザインと理解されるようになりました。
過去のデザイナー達はこれを払拭するために色々活動しましたが、いまだにデザインは勘違いされたままです。
もっと詳しくデザインのことを知りたいと思ったら佐藤卓さんの書籍をおすすめします↓
✔︎この記事のまとめ
・デザインは装飾的なもののことだけを言わない
・日常のすべての中にデザインは存在している