ホッフェンハイム対ハノーファー_1

ホッフェンハイム対ハノーファー 分析 ~美しい攻撃ができたフォクト効果&原口、浅野所属ハノーファーは大丈夫か?~ [2019年2月マンスリー分析③]

マンスリー分析ホッフェンハイムpart3。原口と浅野が所属するハノーファーとのホームゲーム。3-0での快勝。ホッフェンハイムが上手く攻撃できた理由と、降格圏を彷徨う原口&浅野所属のハノーファーの不安を分析します。

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スターティングメンバー

ホッフェンハイムはキャプテン・フォクトが復帰、ハノーファーは原口がスタメンで、浅野はベンチスタート(後半の頭から出場)。ホッフェンハイムがダイヤモンド型4-4-2で、ハノーファーは3-4-1-2(5-3-2)です。

ホッフェンハイム 攻撃

ホッフェンハイムは、デュッセルドルフ戦と同じようにアンカーのフォクトが下りて3バック化し、後ろ方向にポジションをズラし、デミルバイがアンカー、クラマリッチが左IHになり、SBが上がって幅を取ります。

それに対してハノーファーは、中盤の攻勢が2ボランチ+1トップ下の5-3-2。トップ下に入った原口が、アンカーのデミルバイにマンツーマンでつく形でした。しかし、このシステムでのプレーはそこまで長くなく、前半の中盤にはもうシステムは変わっていました。

はい、いきなりいろんなことを書いた図ですが、フラットに3人が並ぶ5-3-2に変わっていました。そのハノーファーに対して、ホッフェンハイムの攻撃ですが、ホッフェンハイムが上手く攻撃できた理由、というより、ハノーファーの守備の問題点が大きく影響していたかなと思います。

図の①に書きましたが、2トップで形成されている第一プレッシャーラインが、ホッフェンハイムのDFラインのビルドアップにほとんどプレッシングをかけておらず、次のプレーの限定をできていませんでした。なので、容易に2トップ脇から3センター(第二プレッシャーライン)脇にポジショニングしたIHにパスを入れる事ができていました。そして、ハノーファーは第一プレッシャーラインが制限をかけて、次のプレーを限定出来ていないので、第二、三プレッシャーラインが連動した守備をする事ができず、3センター脇に入れられても、はっきりとした守備(奪いに行ってカウンターに繋げる守備、ライン間を消すバックマークプレスで寄せて、ブロックの外に追い出す守備など)ができない。なので3センター脇で受けたIHは窮屈になることなくボールを持つ事ができました。そして次はそこから崩す工程。ライン間にパスを入れてコンビネーションで打開を狙うか、幅を取っているWBに展開して、WBからのクロス攻撃です。

フォクト効果&好関係だった3人

もう一つホッフェンハイム側に大きな要因がありました。それが、タイトルにもしましたが、フォクト効果です。前節のドルトムント戦は、フォクト不在が影響し、ビルドアップが不安定でした。しかし、この試合ではフォクトが復帰し、やはりビルドアップ能力の高さが、大きく攻撃に貢献しました。何度もWBに展開して幅を取る、3センター脇を使う、相手のプレッシャーを交わすパスを出していて、彼のパスでゾーン3に到達するシーンが多くみられ、まさに最終ラインのレジスタとなっていました。そして、ベルフォディル、ジョエリントン、クラマリッチが良い連携を見せていて、これからEL、あわよくばCLの出場権獲得に向けて前線の良い組み合わせが見つかったというのは好材料の一つです。

2つのプレー原則

この試合で見られた攻撃の2つのプレー原則を紹介します。まず1つ目。

サイドにボールがある時にファーサイドのCFがSB/WB-CB間にポジショニングします。これによって、相手のWB/SBは、クロスが入ってくるときにCFがフリーになってしまうので、絞らざるを得ない。そうすると、WBのサイドチェンジを受ける、クロスをファーでフリーで合わせるためのスペースが空きます。3点目のシーンはこの象徴で、右サイドを攻略し、カデジャーべクの入れたクロスをファーでフリーになっていた左WBのシュルツがバイタルエリアのデミルバイへ折り返し、デミルバイが見事な左足シュートを決めました。

次に2つ目のプレー原則

基本的にWBは高い位置を取りますが、低い位置に下がって来て受け、相手WB/SBを引っ張り出します。そして、IHが、WB/SB裏に走りこみ、打開を狙います。直接WBからIHへパスを送り込む場合もありますが、サポートを使って中継点を経由してパスを送り込むこともありました。

ホッフェンハイム 守備

ホッフェンハイムは、攻撃時CBでプレーしたフォクトがアンカーになり、ダイヤモンド型の4-4-2でした。トップ下には、攻撃時CFでプレーしたジョエリントンが入っていました。このホッフェンハイムの4-4-2に対し、ハノーファーは守備時と変わらず(すぐに攻撃と同じようにフラットに3人が並ぶ5-3-2に修正されますが)2ボランチ+1トップ下。なので、ジョエリントンは、マンツーマンでワラセにつくタスクが与えられていたように見えましたが、2ボランチなので、1人で2人を見ないといけなくなっていました。そこにデミルバイが出て2対2を作るシーンがありましたが、コンスタントではなく、たまたまでした。しかし、ハノーファーがそのジョエリントン対ボランチの1対2を活用する攻撃ができなかったので、大きな欠陥にはなっていませんでした。次にハノーファーは攻撃の分析にも書きましたが、フラットに3人が並ぶ5-3-2に修正。攻撃では、IHを置いた意味が出ていたかな、と思いました。

この図のように、2トップ脇のスペースを使われると、ホッフェンハイムは、IHが相手IHを消すバックマークプレスをかけます。そのバックマークプレスを、WBが少し下がって来て受け、中継点(レイオフ)となってIHに入れることで、バックマークプレスを外す事ができていました。

ナーゲルスマン修正 4-4-2→5-3-2

守備がハマっていなかったホッフェンハイム。ナーゲルスマン監督は後半に修正をしてきました。

ダイヤモンド型4-4-2から、2ボランチ+1トップ下の5-3-2に修正(クラマリッチとジョエリントンが逆です)。中盤の3MFが、相手の3センターをそれぞれ掴み、パスでのブロック進入ルートを消す。そして、2トップが3CBに持ち運ばせず、「運ぶ」という方法でのブロック進入ルートを消し、相手の2トップが下がって受けに行くと、CBが追跡して中央封鎖。サイドに出させます。そして、WBが相手WB(図にはSBと書いてあります。間違えました。)が出て、いつものように逆サイドを捨ててボールサイドにスライドし、片側圧縮。CBに戻させて後方でビルドアップを停滞させるか、ボールサイドの密集・数的優位を生かして奪い、カウンターアタックへ移行。このような守備戦術でした。

総括

攻撃では、ハノーファーが第一プレッシャーラインからのプレッシング、次のプレーの限定をできていないこと、フォクトのビルドアップ能力の高さにより、3センター脇にパスを送り込み、ライン間に入れてのコンビネーションでの打開、WBからのクロス攻撃を何度も繰り出す事ができ、3点目のような美しいプレーを見せた。守備では、最初のダイヤモンド型4-4-2はトップ下のジョエリントンが1人で2人を見ないといけなくなっており、ハマっていなかったが、ハノーファーがそれをうまく活用した攻撃ができなかったので、大きな欠陥にはならず。後半、ナーゲルスマンは5-3-2に修正。相手の中盤3センターに2ボランチ+1トップ下でそれぞれ掴む形に変えた。

そしてハノーファーは、第一プレッシャーラインがプレッシングを行なえておらず、次のプレーの限定が利かないので、後ろが連動した守備ができず、曖昧な守備になっている。攻撃では、中盤フラットの5-3-2に修正した後相手IHのバックマークプレスを外すことはできていたものの、ジョエリントン対2ボランチの数的優位を生かした攻撃ができず、明確な攻撃のコンセプトは見えない。そして、原口は積極的にドリブルを仕掛け、奮闘したが、後半の頭から出てきた浅野はほぼインパクトなし。

最後にもう一度書かせていただきます。もしこの記事を気に入っていただけたら、このnoteのフォロー、SNSなどでの拡散をぜひよろしくお願い致します。皆さんで日本サッカー界をもっと盛り上げ、レベルアップさせましょう!

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