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第41回:ソニック・ロゴ今昔。♪チョコレイトは・・・?〇〇〇?

さて、当社タクト株式会社代表ソニック・アーキテクトのミテイラー千穂のディスカバートゥエンティワンより刊行しております著書、「サウンド・パワー」。

このNote上などでも多くの音楽やマーケティング関係のご専門家にご愛読いただいたり、ご参照を頂いているようで、大変有難く存じます。

「サウンド・パワー」は実は日本だけではなく、韓国・台湾・中国でも刊行されており、(大きな声では言えませんが、日本よりも実は)海外での反応が大変良いとか・・。

書籍名としてはわかりやすく、「サウンド・パワー」としておりますが、このコラムで毎回「帝釈天で産湯を使い方式」で申し上げているように、「音やサウンド」=周波数の表現はヒトの「感情」を引き出し、動かし、「記憶」を呼び起こし、「行動」を喚起することがわかっています。その機能のことをわかりやすく、「サウンド・パワー」と申し上げているわけですね。

少し話は変わりますが、ソニック・ロゴ一つ取り上げても、日本では不思議なことに昔の方がソニック・ロゴが盛んであったような「感覚」があります。それは、今よりも国民が一つのメディア=テレビやラジオのみを視聴しており、より多くの人が同じものを視聴していたため、「昔は覚えやすいソニック・ロゴがあったよね~」という感覚だけが残ってしまったのでしょうか?

例えば、明治製菓さんの「♪チョッコレイト、チョッコレイト、チョコレイトはめ・い・じ」。これは、コマーシャルに出演するスターが代替わりをしても、変わらぬソニックロゴとして毎回違う歌手によって歌われていますよね。しかもソニック・ロゴに社名も入っておりますし、人の記憶に残りやすいソニック・ロゴの好例です。

筆者の時代は中森明菜さんバージョン、最近は松本潤さんのバージョンが有名でしょうか。

筆者は明菜さんバージョンでしたねえ・・。

さて、この日本を代表すると言ってよい有名なソニックロゴの分析を少ししてみましょう。

歌手の方によってキーは異なりますが、マイナーキーですね。

そして「♪チョッコレイト」の「レイト」の半音階がチョコを食べる少し大人なビター感と甘い背徳感を創出します。特にこの明菜さんのアンニュイな雰囲気と大変良く合っていますね。

また、出だしから休符ですね。アフタービートから「(休符)♪ッチョコレート・・・」と始まると、ただ板チョコレイトが「のべーっ」と並んでいる感じがしません。「チョッコ」と「ッ」を用いて弾む感じがして、チョコレートを食べるドキドキ感、ウキウキ感、ワクワク感を感じる事ができますよね。やっぱり飴やおせんべいやクッキーではなく、「特別な大人のビターで甘~い」チョコレートなのですから。

もともと明治チョコレートは、板チョコでひと口ごとにカットされ、板チョコにラインが入っており、それを「ちょこっと」食べるということともきちんと繋がりをもたせているように思われます。更には、社名の「明治」はソニック・ロゴの最後で「チョコレイトは↑め・↑い・じ↑」と上行していきますから、この曲を作った時代の「昭和のお菓子業界を担っていくぞ!上昇するぞ!」という、キラキラした成長エネルギーも感じることもできます。

更に重要なことですが、リズムが南米調ですね。おそらく「キューバのハバネラ」なのではないかと推測されますが、これに「♪ちょっこれいと」を併せてうたってみると実に面白いですね。不思議とマッチします。

カカオからイメージして作曲したものかと推測されますが、結果その選択は大正解ですよね。これがワルツのリズムだったりしたら・・・・・!?!?!?完全脳内エラーを起こしてバグっちゃいますよね。

ずん、ちゃっ、ちゃっ、ずん、ちゃっ、ちゃっ:1ちょ 2こ 3れいと、1ちょ 2こ 3れいと・・・  もう 無理・・ですねこれは。

いずれにしても、この明治製菓の有名なソニック・ロゴは、アレンジを加えつつも長期間に渡り使用され、視聴者が「ひと聞き」で「あ!明治のチョコレートだ!」とわかります。これは、長年使っているというだけではなく、制作当時、音楽理論と音が人の行動や心理に及ぼす影響を考えて創作されたことが推測され、また、ソニック・ロゴに社名も入っていることなど、「ソニック・ブランディング」の基礎の「き」にしっかり基づいているからであると言えます。

だからこそ、これだけシンプルなメロディーでも、消費者が瞬時に認識できて、言葉に頼らないが社名と製品を認識できる「音色とサウンド」になっており、「お子さんもママもそのママも」みんなが知っているメロディーとなったわけです。

さて、明治製菓さんの例を今回はお話させて頂きましたが、外国ではソニック・ロゴが無形資産として自社のブランド価値・企業価値を向上させるものとして大変盛んに扱われています。

一方、日本では「どうも昔の方がソニック・ロゴが盛んだったのではないか。」という感覚があります。当社代表もTV出演、ラジオ出演などで「日本の音環境の向上、醸成」に関するソート・リーダーシップを牽引しておりますが、日本の「ソニック・ロゴの興隆」については、ぜひ数十年単位での観察・研究などをなさっている方がいましたらご意見をお聞きしてみたいな、などと思う今日この頃です。

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