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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ:「ライフ・イズ・ノット・ホワット・ワン・ライクス」

◆前書◆ドーモ、Tac.Tと申します。この記事は11月3日の夜から数日間、Twitter上で独自に実施したニンジャスレイヤーTRPGのソロプレイを、少々の加筆修正とオリジナルのストーリーを加えて公開したものです。◆よく分からない方はダイスを振って展開を決める、ニンジャスレイヤーの二次創作とお考えください。◆生存◆
◆前書◆さて、前回のSTILL‘A’LIVEストーリーは如何でしたでしょうか。このシリーズはニンジャスレイヤーTRPGをキャンペーン方式で独自にプレイし、文章化するという試みです。今回は着流姿に眉目秀麗な、毎度お馴染みあの男のとある1日を追ってみましょう◆生存◆


◆◆◆


「……良からぬ噂が立っているが、本当か?ソニックブーム=サンを風呂場で風俗めいてPVCビキニウォッシングしているとかいう」「一体全体どんな歪曲のされ方したらそんなことになるの…?」「いや、噂だから真面には受け取ってないが…イヤならイヤって言うなりもっと自分を大事にした方がいいぞ…」「あ…あなたにだけは言われたくないよッ!」「ム?」


◆◆◆STILLALIVE:SIDE SECTION◆◆◆

「いや噂のことはいい!問題はなぜに俺がその問題のスカウト部門に呼び出されたかってそういう話だ…わざわざ!」「それが…本来補佐するハズのニンジャが、まさにそのソニックブーム=サンのところに呼び出し食らっちゃって」「フム…」「新入りに使いっ走りさせたとかで…」「カミナリを…かぁ」

着流し姿の男は、露出度の高い改造バンドステージ衣装装束の女に連れられ、トコロザワ・ピラー内を進む。横目に見てみるとガラス張りの窓から、広告ネオン群に彩られた摩天楼が見える。重金属酸性雨は今は降っていない。なるほど、中層階とはいえここからの景色は綺麗だ。

「……スカウト部門か…」「なんでも最近人手不足みたいだよ?イキの良すぎるニュービーばかり入ってきてるって、ソニックブーム=サンぼやいてたし」「道理であの人の目のクマが目に見えて深くなって来るわけだ」「え、本当?」「5時になってもまだピラー内をうろついて何か仕事をしてたぞ」「ヒェッ」

着流しの男の表情が暗く落ち込む。口元はメンポに覆われ、その容姿は眉目秀麗だ。「まさか新入りの教育を夜遅くまで手伝えとか言われるんじゃないだろうな…?」「あ、多分違うと思う!大丈夫!」「本当か?」「アベレージ=サンの事だから、きっとそこまで無茶な仕事は頼まないハズだし…」

「……アベレージ=サン……」名前だけならどこかで聞いたことはある。顔までは見たことがなかったような…?二人はスカウト部門のオフィスの前にたどり着いた。メガコーポのオフィスや役所めいた整然とした空間。(あからさまにカロウシしそうな連中のための空間だな)思わず男は顔をしかめる。

「じゃあ、アベレージ=サン呼んでくるから」「案内ドーモ、ライトニングウォーカー=サン」男は握手と同じような手つきで、思わず彼女の胸に触ろうとして手を跳ね除けられた。「ヤメテ」「アッハイ」

……………


今回はしかな=サンのこちらのシナリオを、このキャラクターでやっていくぞ!

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◆シャープエッジ(種別:ニンジャ,ソウカイヤ)
カラテ     5 体力    5
ニューロン   4 精神力   4
ワザマエ    6 脚力    3
ジツ      2 万札   28
ソウル:近接武器系…ハガネの系譜
その他:『無銘のカタナ』『●ツジギリ』『●タツジン(イアイドー)』


◆◆◆

ドーモ。シャープエッジ=サン、アベレージです。」「ドーモ、アベレージ=サン」着流し姿の男…シャープエッジは、オジギの後くたびれたスーツ姿の男の腕を、今度は間違えずに握った。「修行漬けで忙しい中悪いが、こちらの仕事を手伝ってもらいたい」見るとアベレージ自身の目の隈も深い。

「…毎度オツカレサマデス」「いや、最近になってどうも忙しくなってきてな…タイムイズマネー。本題に入ろう」アベレージは淡々とした様子で依頼内容を告げる。中肉中背。カラテの腕、手先のワザマエも平均的。シャープエッジはファイルを探すアベレージの背中から、そのカラテの腕前を読み取る。

("アベレージ"(標準)…驚いたな?ビックリするほど標準的だぞ!…珍しいもん見れたなあ)目を丸くするシャープエッジに、アベレージは向き直って三つの資料を渡す。シャープエッジは丁重に受け取り、目を通す。「…抜き打ち検査ですか」「察しが良くて助かる。この三件をハシゴして行う」

「ノミカイですか」「似たようなもんだろ」「三件とは豪勢ですね」「一人でもよかったんだがな」アベレージは特徴のない顔の眉間を抑える。「……単なる抜き打ち調査…というわけにも行かない。デッドスペースというニンジャを知っているか?」「デッドスペース=サン…」

シャープエッジの眉間に少々シワが寄る。風の噂で聞いたことはあるが…「…ああ。知らなくても問題はない。ザイバツと密通したために始末されたサンシタだからな。だが、奴がどこでザイバツと接触したかは未だわかっていない」「…成る程」その”後始末”のための助っ人というわけか。彼は納得した。

「今回抜き打ち検査を行うヤクザ事務所は、いずれもデッドスペースがミカジメ・フィー徴収の担当だった。どこも新興のヤクザクランで、ソウカイヤと長いわけでもない。」「…同時に関わりが深いわけでもない。デッドスペース=サンの密通も含めて考えれば、そのヤクザ事務所のどれかにザイバツの息がかかっている可能性がある…と」

「…察しが良くて本当に助かる」「いえ」「単に息がかかっているだけならいいが、もしかするとザイバツのニンジャが潜んでいるかもしれんからな。」「見つけた場合は、間違いなくトドメを刺せ。と。」「……心配性と言ってくれるなよ? 俺は用心深いんだ。保険はかけておきたい」

ザイバツ。その文言を聞いた時、シャープエッジは無意識のうちに帯刀しているカタナに片手を近づけていた。ソウカイヤの敵たるキョートの秘密結社。噂に聞くと胡乱なカルト集団めいているともいう。しかし、その戦力を決して侮ってはいけない。「…確かに承りました。」シャープエッジはアベレージに、確かに請け負った。

二人は立ち上がり、エレベーターへと向かう。「交通手段はどうしましょう。俺は徒歩でも構いませんが?」「ああ、気にしなくていい。それはこっちで用意してる。ヤクザカマロと運転クローンヤクザだがな」「なんと……!」シャープエッジは、今までに無い破格の待遇にメンポの下の口を開かせた。


◆◆◆


数刻後!「センセイガタ、ドーゾ」運転ヤクザが恭しくドアを開け、オジギ。シャープエッジはアベレージとともにラフィングウルフ・ヤクザクラン事務所の前へと降り立つ。ヤクザベンツを背に、二人は揃って上を見上げる。彼らの目の前にある小綺麗なビルディングこそが、彼らの抜き打ち検査対象の一つ、ラフィングウルフ・ヤクザクランの本拠地である。

「随分と…羽振りが良さそうだな?」皮肉げにアベレージが吐き捨てる。「旗揚げして確か数カ月でしたっけ」シャープエッジも顔をしかめて同意する。実際彼らは旗揚げして半年とまだ間もない。事務所の改築に回すようなカネを持っているとは考えられぬ。「…チェックが要るな」アベレージが歩みを進める。

「ドーモ、ソウカイヤのアベレージです」「アイエ!?」出入り口にいる門番ヤクザに、アベレージはオジギをする。「デ…デイリ…!」門番ヤクザは狼狽え、その顔を青ざめさせ……一拍おいて背を向け、事務所の中へ駆け込もうとした!その時である!「イヤーッ!」

逃げるヤクザを逃すな!【カラテ】判定……つまり、【カラテ】値と同数のダイスを振って、その中に出目4以上のダイスが一つでもあれば成功だ!◆
[カラテ判定NORMAL:4,1,5,5,2 :成功]
◆よしよっし!シャープエッジ、万札1獲得!◆

「イヤーッ!」「グワーッ!?」突如として門番ヤクザの背中に色付きの風が突貫!その後頭部に刀の柄を軽く叩きつけ、卒倒せしめた!…ドサリと倒れるヤクザを見下ろすシャープエッジは、少々申し訳なさげにアベレージに問うた。「…出過ぎた真似をしてしまったでしょうか?」「いや、実際助かる…」

「イヤーッ!」CRAAAAASH!アベレージが事務所の入り口を蹴り開け、応接室にエントリー!シャープエッジがそれに続く!「「アイエッ!?」」小さく悲鳴をあげ振り向いたのは、オヤブンと思しきヤクザに、札束を持ったスモトリ作業員。そのテーブルの脇には、簀巻きにされた女子高生!「ンンンン!」



先手を取ってヤクザを取り押さえろ!【ワザマエ】判定、目標出目は4以上!◆
[ワザマエ判定NORMAL:6,4,2,4,1,4:成功]
◆ヤッタゼ!【万札】1獲得!◆

シャープエッジは女子高生の悲痛な悲鳴を聞くや否や、オヤブンがヤクザスラングを発する前に……アベレージがスリケンを投げ終わる前に……オヤブンへ向かって突貫した!「ザッ…」「イ…」「イヤーーッ!」抜刀!鋭いカタナは銘こそ無いが切れ味は鋭い!オヤブンの肩にそれが深々と突き刺さる!

「…ヤーッ!」一拍遅れ、アベレージのスリケンがオヤブンの反対側の肩に突き刺さった!「グ…ワーッ!?」痛みに呻くオヤブン!カタナの柄を抑え、オヤブンを睨みつけるシャープエッジの瞳は、冷たく静かなる殺意にギラついている。「…そこまでにしておけ」アベレージの声を聞き、カタナを引き抜く。「グワーッ!!」痛みに呻くオヤブン!

「…スミマセン」「血気盛んなのは良い事だが、そこのオヤブンに死なれると俺たちのシノギが取れなくなる。もっとも……」失禁とともにハンズアップするスモトリ作業員に冷徹な一瞥をくれたアベレージが、オヤブンに向き直り、アイサツする。「…お前らのこのシノギの事は報告にないな?ドーモ。」

「…ド…ドーモ……」オヤブンは失禁!失神寸前!「後ほど詳しく説明してもらうぞ、サナイ=サン」アベレージの声を背に、シャープエッジは女子高生の元に近づくと、カタナの血を払い、残った血を携帯しているテヌギーで拭うと、一太刀の内に女子高生の縄を斬り払った。

「ア、アリガトゴザイマス…」女子高生を助け起す。「歩けるか?」「ハイ……」その胸は豊満だ。しかし今の彼には体を愛でようとするつもりも起きない。胸の奥底にわがたまっている気分の悪さがその一因であろうか。「………」

だが、今の彼はヤクザだ。軽率なセンチメントに縛られてはいけない稼業である。…その事実が、彼に取っては重い枷であり、同時に後ろ盾の無い彼を守る鎧でもあった。


◆◆◆


「…ラフィングウルフ・ヤクザクラン。あの連中。ガキを誘拐し、どこかへと売り払うシノギを繰り返していたそうだな」「上層部には」「既に報告済みだ。幸先がいいな、早速成果が出せた」ヤクザカマロの中で、目を閉じたままアベレージは呟く。一方のシャープエッジは座席に浅く腰かけ、揺れに耐える。

「次は……ラージコウモリ・ヤクザクランでしたっけ」「ああ」ヤクザクランの窓から、丁度クランの事務所が見える。ヤクザカマロがスムーズに止まる。「センセイガタ、ドーゾ」運転ヤクザが恭しくドアを開け、オジギ。シャープエッジはアベレージとともにラフィングウルフ・ヤクザクラン事務所の前へと降り立つ。「ドーモ」シャープエッジが小さく呟いた。

ヤクザカマロから出てきた二人の人影を見つけ、すぐさま駆け寄ってくるヤクザが一人。シャープエッジがその姿を確認すると、どうもクローンでは無いようだ。「ど、ドーモ。ソウカイヤの方で?」ヤクザは見るからに憔悴しきっている。「、こんなに大勢でいらっしゃるなんて、その…聞いてませんがね…?」

「ああ。抜き打ちだからな。……俺たち以外にも誰か来ているのか?」アベレージが怪訝な顔をする。その様子を見ると、ヤクザの顔が明るくなる。「あ、あいつの仲間じゃねえんですね!?ああ良かった!!」そして不意に90度のオジギを繰り出した!「スミマセン、センセイ方!恥を忍んでお願いしやす!あいつを…あいつをなんとかしちゃくれやせんか!」

「あいつ?」「………」アベレージとシャープエッジは顔を見合わせる。「行くぞ。」「アッハイ…」アベレージは何事かを察し、ヤクザの案内に従って事務所の中へと入って行く。シャープエッジもそれに続く。…すると奥から女の悲鳴が。「アイエエエエ!」「!!」シャープエッジの目がカッと見開かれた。


……「どうした。サケが足らんぞォオイ、サケ!」「アイエッ、スミマセン!」「…ウッ!…フーッ!今回のミカジメ・フィーの代わりにしてやろうってんだ…もっとしっかりセッタイせんかい!」「アイエエエ!」応接室から漏れ聞こえる横柄な声と悲鳴。アベレージが溜息を吐き、顔を覆う。「たまに居るんだよ」

「……」「…シャープエッジ=サン?」アベレージが怪訝そうに見ると、シャープエッジは深く腰を落とし、イアイの構え。全身から剣呑なアトモスフィアが漂い、今まさに扉へと飛びかからん勢いである!「……」アベレージはもう一度、大きく深いため息をついた。様子を察したシャープエッジが我に返る。

「……スミマセン」「…いちいちやってたら保たんぞ、この世界では」「承知の上です」言葉は冷静だ。しかし今や彼の瞳は、冷たい殺意と怒りで鋭くギラついている。「…まあいい。話してても時間の無駄だ。灸を据えてやれ」「ヨロコンデー」聞くや否や、シャープエッジは即座にイアイの構えを取る!

すなわち、アンブッシュの時間だ!【カラテ】、【ワザマエ】、攻撃的なジツを持っていれば【ジツ】+【ニューロン】のいずれかで判定、いずれも目標出目は4以上だ!◆
[ワザマエ判定NORMAL:1,4,4,3,1,3:成功]
◆ブチギレてるクセに出目がギリギリだな!?シャープエッジ、万札5獲得!◆


「イヤーッ!」シャウト一閃、シャープエッジは応接室のフスマを切り裂き、突貫!間髪入れずに女ヤクザの胸を揉みしだくソウカイニンジャの鳩尾を蹴り飛ばし、浅く斬りつける!「グワーッ!?」悶絶するニンジャをさらに足で押さえつけ、首筋にカタナを突きつける!この間、わずか2秒足らず!ゴウランガ!

「……………」シャープエッジはニンジャを抑えつけつつ、応接室の様子を見る。よく見ると、このクランの女オヤブンであろう、ヤクザスーツを無残にも肌蹴させられた女ヤクザと、オイラン衣装でオシャクをしている少女は顔立ちが似ている。母娘なのだろう。彼の顔がさらに怒りに歪む。「…クズが。貴様は…ッッ!」「そこまでにしておけ」

アベレージが近づき、ソウカイニンジャと顔を合わせる。「ドーモ、シックスマシーン=サン。アベレージです」「アバッ……ド…ドーモ…ヘヘ…」「貴様の無意味な搾取行為は俺の方からソニックブーム=サンに報告しておく。せいぜい説明義務を果たせ。さもなくばケジメだ」「グ…グワーッ…!」悶絶!

「………」「…いつまでカタナでそうやってるつもりだ、シャープエッジ=サン」「…いえ」「カイシャクはするなよ」「分かっています」シャープエッジは静かに納刀する。自らの軽率さを悔やみながら。彼の背中では、ヤクザの親子が肩を寄せ合い、ただ抱き合っていた。先程のヤクザも二人に駆け寄ってくる。「……」彼はその様を悲しげに一瞥する。

その様を見てか、シックスマシーンは口惜しげに毒づいた。「ケッ色男が……いい子ちゃん振りやがって」シャープエッジの反応は早かった。「…イヤーッ!」「グワーッ!」シックスマシーンの顔に渾身のカラテ・ストレートが叩き込まれる!シックスマシーンは壁に叩きつけられ、そのまま気を失った。

「落ちつけ!たかがあれぐらいで!」すぐさまシャープエッジの体を、アベレージが取り押さえる!「……スミマセン。」メンポの奥で、彼の歯は強く食いしばられていた。貴様らと。貴様らと同類にするな。指をシックスマシーンに突きつけて叫びたかった。だが彼はそれを飲み込み……一呼吸置いた。


◆◆◆


「…全く。世話を焼かせられる。ソウカイヤに10年も居るんだろ?その若さで」「……スミマセン。どうも…頭に血が昇ってしまい…」ヤクザカマロの中で項垂れるシャープエッジ。アベレージはその様子から何かを察する。「…そうか、お前がブラント=サンの弟子か。どうりで現場に慣れてない訳だ…」

「ブ……!?」思わぬ名前が出たことにシャープエッジは驚き、せっついて問い返した。「セッ…センセイを、知っているのですか!?」…ブラントとは彼のメンターにして、親代わりであった男のニンジャネームである。彼にイアイと、イアイ使いとしての生き方、美しきものへ敬意を払う姿勢…全てを叩き込んだ男でもあった。

「…前に何度か仕事をしてな。早く自分もヤクザの世界に慣れねばとぼやいていたよ」アベレージはヤクザカマロの座席に身をゆだね、呟く。「…お前のことについても話してた。真っ直ぐすぎて困るくらいだとさ。まあ、褒め言葉なんだろうが」シャープエッジは呆然と、彼の言葉を聞く。

「…となると、成人したからセンセイに仕事を覚えろと叩き出された訳だ。ヤクザの世界に…」アベレージは小さく笑いながら続ける。「で?どうだ。ブラント=サンは。元気か?」「……死にました」シャープエッジは、ただ一言そう答えた。「…………そうか」アベレージも、それ以上は深く聞かなかった。

「…まあ、ブラント=サンの言う通り…真っ直ぐすぎるよお前は」重金属酸性雨が、今になってシトシトと降り始めた。ヤクザカマロの窓ガラスが酸性雨に濡れる。「だが、別口のトラブルもあって、手伝いは無駄にならなかった」「恐縮です。本当、スミマセン…」「…気にするな。そう言う奴も居る」

「…ザイバツの影も無し。だ。最後までこれが続けばいいが」

[ニューロン判定U-HARD:6,3,2,3:成功]

「……どうでしょうね。最後に気を抜くとしくじる、らしいですから」「センセイの教えか?」「いえ、マサシのコトワザです」第三のヤクザクラン、ツーヘッドコブラ・ヤクザクランへと、ヤクザカマロは近づいて行く。


◆◆◆


「ドーモ。いつもお世話になっております……」ツーヘッドコブラ・ヤクザクランのオヤブンがオジギをし、二人を待ち受けていた。突然の来訪に驚いてか、その顔は緊張に塗れて青白い。カラテ警戒を解かぬまま、アベレージとシャープエッジは応接室へと入る。「ドーモ。ソウカイヤのアベレージです。」

「ドーモ。同じくソウカイヤのシャープエッジです。」「…オヤブン、そう身構えることはない。これは単なる抜き打ち検査だ」アベレージは低く笑う。オヤブンが舌なめずりをし、口を開く。シャープエッジの目線が……ゆっくりと天井へ向いた。その時である!

敵のアンブッシュが、来る!最も高い数値と同数のダイスを振って【回避】判定だ!本来の目標出目は6だが、先の【ニューロン】判定に成功していた為難易度低下!目標出目4以上で回避可能だ!油断ならぬ強敵であった…◆
[回避判定NORMAL:6,2,3,1,3,6:成功]
◆サツバツ出目!どっちにせよ回避!◆


「イヤーッ!」突如として天井の一部がドンデンガエシめいて回転!中から出てくるはアンブッシュ者!「「イヤーッ!」」シャープエッジとアベレージは咄嗟に散開、アンブッシュ・カワラ割りを回避!「チィーッ! 目敏いネズミども!ドーモ!ラトルスネイクです!」現れたニンジャは着地点で直立!二人に攻撃的アイサツを繰り出す!

「ドーモ…アベレージです」「ドーモ!シャープエッジです!……その紋章!」その名の通りガラガラヘビめいた鱗模様の鎧ニンジャ装束の肩には、菱形と単眼をかたどったエンブレム…その中には「罪」「罰」の二文字!「ザイバツの者か…!」シャープエッジがカタナに手をかける!しかし!

「テ…テメエラ!ヤッチマエッ!」オヤブンが叫んだ瞬間、彼の背後の壁がさらにドンデンガエシめいて回転!「「「ザッケンナコラー!」」」ナムサン!進み出た三体のクローンヤクザが一斉にチャカ・ガンを構える!その時!「非ニンジャのクズがァーッ!イヤーッ!」アベレージの掌が赤い炎熱光を放つ!

「「「アバババーッ!」」」ゴウランガ!クローンヤクザが一斉に焼死!アベレージの手から放たれたのは…広範囲にわたる火炎放射!これこそが彼のカトン・ジツである!「ここまで気力を温存させてもらったからな!お前はザイバツ者を!」「ドーモ、アベレージ=サン!」シャープエッジ、疾る!


◆◆◆

◆アベレージの現在の精神力、3!◆
◆順番はラトルスネイクシャープエッジアベレージ
◆彼ら三人のステータスは以下の通りです◆
◆今回カウンターカラテへの回避はできません
◆シャープエッジ(種別:ニンジャ,ソウカイヤ)
カラテ     5 体力    5
ニューロン   4 精神力   4
ワザマエ    6 脚力    3
ジツ      2 万札   28
ソウル:近接武器系…ハガネの系譜
その他:『無銘のカタナ』『●ツジギリ』『●タツジン(イアイドー)』
ニンジャ名:アベレージ
【カラテ】:4
【ニューロン】:4
【ワザマエ】:4
【ジツ】:1(カトン)
【体力】:4
【精神力】:4
【脚力】2
ニンジャ名:ラトルスネイク
【カラテ】:3
【ニューロン】:5
【スリケン】:2
【ジツ】:0
【体力】:3
【精神力】:5
【脚力】:2
所持品:【万札】6


◆戦闘開始!◆

「ほう、迷いなくこちらに来るか!」ラトルスネイクは右袖から仕込みダガーナイフを展開!シャープエッジの急所を狙い、突きを繰り出す!「イヤーッ!」「イヤーッ!」しかし、横薙ぎに振り抜いたシャープエッジのカタナが、ダガーナイフを粉々に破砕する!「何ッ!」

SLAAASH!「イヤーッ!」そのままラトルスネイクの体を袈裟斬りに!ワザマエ!「グワーッ!」「他愛無し!俺を弱敵と踏んだか!」

1T目、ラトルズスネイクのカラテ攻撃>シャープエッジ
[判定難易度NORMAL:4,6,1:成功数:2] 
1T目、シャープエッジ回避
[判定難易度NORMAL:2,5,4,6,5,5:成功数:5]
◆シャープエッジのカウンターカラテ成功!◆シャープエッジはタツジン(イアイドー)持ちなのでラトルスネイク=サンに2ダメージ!◆いきなりゴリっと削ったァ!◆

「グ…何を!」続く致命的な刺突攻撃を、ラトルスネイクはバック宙回避!シャープエッジはさらに畳み掛ける!しかしその全てを、ラトルスネイクが受け流す!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ナムサン…なんたる隙の無い激しいカラテ応酬か!

1T目、シャープエッジの近接攻撃>ラトルスネイク(タツジン:,イアイドー、近接ダイス+1)
[判定難易度NORMAL:1,6,6,6,2,4 :成功数:4]
1T目、ラトルスネイク回避 [判定難易度NORMAL:5 :成功数:1]
シャープエッジ、ヒサツ発動!しかしラトルスネイクが1ダイスの癖に避ける避ける!アブナイ!◆

「離れろ!」突如として聞こえるアベレージの叫び声!その声に反応し、シャープエッジはとっさに距離を取る!アベレージはラトルスネイクに照準を合わせるように腕を伸ばし…「イヤーッ!」収束カトン・ジツを放つ!「アババーッ!」ナムサン!ラトルスネイクはカタナに気を取られており、避けられぬ!

1T目、アベレージのジツ発動>ラトルスネイク
[判定難易度NORMAL:2,1,6,3,1 :成功数:1)]
ラトルスネイクの回避 [判定難易度NORMAL:1,2 :成功数:0]
アベレージ=サンのカトン・ジツ発動!残り精神力:2!◆
ラトルスネイク、ここに来て回避失敗!ダメージ1!爆発四散!

「アバッ…アババババッ……」目を見張る強力さは無いものの、ニンジャ一人を容易く焼死せしめるアベレージのカトン・ジツは、ラトルスネイクを黒い炭の塊へと変えた!辺りにタンパク質が焼ける異臭が立ち込める…!「…サヨナラ!」ラトルスネイクは爆発四散!

「…ア……アイエエエ……」オヤブンはその場に崩れ落ちた。彼らがイクサを始めてから決着がつくまで、わずか1分に届くか否かと言う短さ。まさに刹那のごとき…モータルには想像もつかぬ次元のニンジャのイクサ。…それでも、シャープエッジもアベレージも、ラトルズスネイクでさえ…ニンジャの中ではサンシタと呼ばれる方なのである。

カトンを放ち終えたアベレージは、オヤブンにツカツカと歩み寄り、その顔を威圧的な笑顔で覗き込む。オヤブンは情けなくよだれを垂れ、床を失禁で濡らしていた。「トコロザワ・ピラーに、来てもらおうか?」シャープエッジはザンシンし、ゆっくりとカタナを納刀する。…短いようで長いミッションの終わりである。


◆◆◆


最後のヤクザクランへの抜き打ち検査を終えて数刻後。トコロザワ・ピラーの中層階、オフィスの中央にて。シャープエッジとアベレージは、錦糸装束に特徴的なリーゼントヘアーのニンジャと向かい合っていた。彼こそはスカウト部門が筆頭、ソニックブームである。「エェ?それで…ザイバツだと?」

「ハイ。ラトルスネイクと名乗っておりました」「証拠をここに。首は別室にて保管しております」シャープエッジはアベレージの言葉に合わせ、プリントアウトされたラトルスネイクの爆発四散痕の写真を彼に見せる。「…ホォ……」ソニックブームは写真に目を落とす。その目元には、彼がカロウシ寸前であることを示すかのような隈が、幾重にも出来ている。

同様にシャープエッジが手渡した資料に目を通し、ようやくソニックブームは横のカウチにドッカと腰を落とした。「座れや」「ハイ」促されるままに二人もカウチに腰を落とす。「まずはシックスマシーンとかいうクソ野郎だが、俺の一存で処分は決められねえ。代わりに俺がしばらく預かることになった」

「なるほど」「なんでもスラッシャー上がりのニュービーだとかで、久々にしごきがいのある奴だそうでこっちも楽しみにしているところよ…」ソニックブームは暗く笑う。…目は笑っていない。シャープエッジはそのアトモスフィアに少々気圧され、「…そうですか」としか答えることができなかった。

「ああ、それとな。さっきアベレージ=サンから報告があったラフィングウルフ・ヤクザクラン。連中どうも闇カネモチどもの娯楽場に女子供を送ってやがったらしいな」「娯楽場、ですか」「女子高生の格好させて何やらさせているらしいがな…まあ規約違反は規約違反だ。あとは…」首を刎ねるゼスチュア。

「…オツカレサマです」「でだ。コイツが今回のお前の報酬だ」ソニックブームは四角いチャブの上に、茶封筒に包まれた万札をポンと置いた。「アリガトウゴザイマス」シャープエッジはそれを恭しく受け取る。「…ヘッ、行儀良い癖になかなかお熱い奴だそうじゃねえかテメエ、エェ?」「いえ…」

シャープエッジは思わず背筋を正す。ソニックブームの目は微笑んでいるようで、彼が纏うアトモスフィアは怒気が張り詰めている。「……今度後先考えず突っ込むような真似してみろ?お望み通りテッポダマとしてこき使ってやるからな…?分かっているんだろうな!オイ!」怒声!「…スミマセン!」

着座姿勢で頭を下げるシャープエッジ。ソニックブームはそれを見て鼻を鳴らすとこう告げた。「とっとと行け。で、ちったあ体を休めて備えろ。テメエには次の仕事が待ってる。ミカジメ・フィーの徴収だ」「ハイ、ヨロコンデー!」シャープエッジは起立すると、もう一度90度のオジギをした。

シャープエッジがアベレージに続いて立ち去り、ソニックブームもカウチから立ち上がる。「…シャープエッジ=サン、ねえ…」タバコを胸ポケットから取り出し、一服しようとピラーの窓へと歩みを進める。(10代からソウカイヤにいるだけあって、磨いてやりゃあ光るかもしれねえな…?)そして無造作に窓を開け、タバコに火をつけた。

「それで?実際仕事はどうだった」「いやぁ…でも案外ソウカイヤ内部の狼藉者とかを取り締まる部門…とかできたら俺なんか向いてそうです」シャープエッジとアベレージは、お互いに労いながらトコロザワ・ピラーを歩む。「ハハ、だな。まあ今日は上々だった。また手伝いが欲しくなったら頼むかもしれん…で?次の仕事は?」「なんでもソウカイヤ傘下のノパンしゃぶしゃぶ風俗店の、ミカジメ・フィー徴収だそうで…」


◆◆◆


ピラー内へのドージョーへと帰るシャープエッジに、廊下の向こうから見覚えのある影が見えてきた。「…あ、シャープエッジ=サン」ライトニングウォーカーだ。「…いや、胸を押さえなくても」「そうでもしなきゃ触るでしょ、スケベ!」「スケベではない!敬意と感謝を以って…まあ、いい…」

彼はライトニングウォーカーの顔を見る。先ほどのヤクザの親娘と、女子高生と、顔が重なる。……ヤクザの世界に放り込まれたが最後、力の持てぬ弱者は蹂躙される運命だ。彼女は辛い思いはしていないだろうか。彼女らの同居人は?確か女三人と聞いたが。「……どしたの?顔に何か付いてる?」「…?いや。」

シャープエッジは目線をそらし、前髪をかき分ける。「…否応無しにヤクザになるっていうのは…辛いもんだよな」「?」「その…なんだ。何か、悩んでいることがあったり、カラテに伸び悩んでるとかあったら、俺に相談でもなんでもしてくれ。力になるから」「ア、アリガト……」

呆然と見送るライトニングウォーカーを背に、シャープエッジは歩き出す。(……結局は、己の道を進めるのは己自身のみ……)死した師の言葉を反芻する。所詮はつまらぬお節介にもなろう。だがいつか彼女にも、他の悩めるソウカイ・ニンジャにもこれを伝えられれば良いが。

シャープエッジはドージョーに足を踏み入れると、師の写真に手を合わせ、そのままモールを持ち、素振りを始める。そして次の仕事の詳細を待った。


ヤクザの道に一歩入れば、シャバの光は二度と歩めぬ。
マケグミがカチグミになれぬように。望まず入った道だとしても


父母と別れ、師と別れ、流れ流れて人斬り家業。
とかくこの世は、ままならぬ。

「ライフ・イズ・ノット・ホワット・ワン・ライクス」

【To Be Continued…】


報酬:20万札と道中手に入れた万札、合計26万札
余暇:特例により無し。…と言うのも、彼は余暇中に先んじて次の仕事へと言ってしまったのだ…と言うより、このソロアドセッションをやった直後に、余暇を忘れて次のセッションにシャープエッジをブチ込んでしまったのである…
名声:1獲得
苦労人・アベレージ=サン。彼の標準的なニンジャ家業に終わりはない。
今回の緊張感溢れるシナリオと、NPCキャラクター・アベレージ=サンは、鹿奈しかな=サン(https://note.com/shikana4215)の提供です!限りない感謝を!


また、今回は前回の冒険からの縁ということで、ラブサバイブ=サン(https://note.com/rabsabaive)のキャラクター・ライトニングウォーカー=サンにもご出演頂きました!重ねて感謝を!




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…翌日。ノパンしゃぶしゃぶ店・「ワカメ酒」のセッタイルームにて。


タタミ三枚の距離を置いて、二人のニンジャが相対する。一方は着流しに帯刀姿、口元には鉄製メンポといった出で立ちのサムライめいたニンジャ…シャープエッジ。

そしてもう一方は、濃紺コートに身を包み、鍔広の中折れ帽に丸サングラス姿の偉丈夫。見た目からは推し量りにくいが、この者もニンジャである。

「ドーモ……マインドセット=サン、シャープエッジです。………貴様の話は聞き及んでいるぞ」

「…光栄だな。ソウカイヤの中でも、俺それなりに有名になって来ているのか」

激しい怒りと憎悪に濡れた顔で、シャープエッジがカタナを抜く。


「………我がセンセイの仇…!尋常にイクサせよ!」


TO BE CONTINUED FOR STILL'A'LIVE #3…◆



◆終◆最後まで見ていただきアリガトゴザイマス!◆


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