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ニンジャスレイヤーTRPGソロリプレイ:「ザ・クラフトマンシップ」


◆前書◆ドーモ、Tac.Tと申します。この記事は8月25日の夜に、Twitter上で独自に実施したニンジャスレイヤーTRPGのソロプレイを、少々の加筆修正とオリジナルのストーリーを加えて公開したものです。◆よく分からない方は、ダイスを振って展開を決める、ニンジャスレイヤーの二次創作とお考えください。◆生存◆

◆前書◆さて、前回のSTILL‘A’LIVEストーリーは如何でしたでしょうか。このシリーズはニンジャスレイヤーTRPGを、キャンペーン方式で独自にプレイし、文章化するという自分でも初の試みです。まさかTwitter上で140文字に小分けして書くことでここまで筆が進んだものかと自分でも驚いてます◆生存◆

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

前回のソロリプレイ、マインドセットの報酬はこうなるかな…
『「機密データをUNIXから盗み、ヘルカイトと生還」:【万札】+20、【名声】+3』
Freikugel=サン(@Freikugel7)のフリーランスルールを適用して、名声は+2だ!
余暇は2日にしとこう!
・マインドセット…余暇
1日目はカラテトレーニング…出目5:成功!
2日目はブラックマーケットでオーガニック・スシ「偉大なるショドー」を購入だ!

◆前書き◆なんで急いで余暇をこなしているのかというと…ついにどくどくウール=サン(https://note.mu/dokudokuwool)のリプレイでお馴染み、ハーフペーパー=サンのソロアドが完成したからなのです!もちろん奴に走ってもらうぞ!◆生存◆




◆◆◆◆STILL‘A’LIVE_SIDE SECTION◆◆◆◆


「留守番頼むぜ」ガチャリと音がして”仮宿”のドアが閉まった。フリーランスエージェントニンジャ・マインドセットこと…タニマチ・ギンジの同居人、レッドブロッサム…アケミ・アリガが紙媒体の小説から目を上げる。彼女はここ2週間でなんとなく同居人の人柄というのを掴めてきた。裏社会の人間だというのに、やけに人間味のある男。

性格的にもカタギの人間への暗殺任務や威力任務を避けたがるこの風変わりな男は、果たして普段はどのような仕事をしているのだろうか。自分はどんな仕事に関わるのであろうか。まあ、合間に邪悪な放火魔を燃やせるのであればこちらとしては文句はないのだが…。アリガは目線を小説に戻した。


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マインドセット(種別:ニンジャ,フリーランス)
カラテ     4 体力    4
ニューロン   6 精神力   6
ワザマエ    3 脚力    2
ジツ      1 万札    4
ジツ:ビジョン・ジツ
その他:『生体LAN端子(現在使用不能)』『業務用オノミチ社製LAN直結銃(家族の写真相当)』


マインドセットが向かった先は、トコロザワ・ピラー…ソウカイヤの本拠地内にあるスシ屋である。店主はソウカイ・ヤクザにしては実際気の良い男で、握るスシも絶品である。「エーラッシェー!」店主…レインボーフードのアイサツに応えるかのように、マインドセットは帽子をヒョイと上げ、会釈した。

彼は別段ここにスシを食いにきた訳ではない。嘘だ。半分くらいはスシを目当てにここに来ている。彼のもう半分の目当ては時折店内に張り紙されている、ソウカイ・ニンジャからの細かな依頼の求人であった。その内容は実際ネコの世話からコメバタケにたかるバイオスズメの駆除、下水道に潜む厄介なバイオニンジャの調査まで幅広い。

正規の仕事ではない分、給料も控えめなことが多い。だがこういった依頼の方が、彼にとってはこと性に合っていた。「エート、どれどれ…今日は…」マインドセットは依頼の掲示を順繰りに改め、ふと、一枚の掲示に目が止まる。ショドーだ。それも非常に達筆な。

「ああそれ、ついさっきキモノ姿の女ニンジャが貼り付けていった依頼書で…なかなか目を引きますよね」レインボーフードがカウンターの奥から声をかけた。「…とある事情で失ってしまったショドー筆を新調したいので、素材となるオーガニック・イタチを捕獲してきて下さる方を募ります…か」

マインドセットは依頼書をマジマジと見る。美しく繊細な字でショドーされており、依頼者のワザマエが見て取れる…ふと、左下に押印されているハンコに気づいた。彼がこの前、同じくその字に惹かれて買ったショドーと同じハンコ。「墨子」。「へえ、同じ作者だったのか…」彼はしばらくスシを堪能すると、勘定を済ませてショドー練習室へと向かった。


◆◆◆


「……ブヘエ!」藪の中から長身がのぞく!暗紫色のコートにつば広帽、丸ゴーグルの男は、肩や帽子に積もった雪を振り払った!「思いがけない遠出になっちまった…!モー…バスを降りてすぐこれだもんな…」マインドセットは空を見上げる。重金属酸性雨の気配は全くなく、代わりにあるのは一面の雪雲。

中国地方の五割を覆う、広大なタマチャン・ジャングル。ここは重金属酸性雨耐性を獲得したバイオバンブーとバイオパインから形作られる、陰鬱でサツバツとした密林だ。ショドー作業室で依頼を受けたマインドセットは、ネオサイタマから北に存在するこの地にやってきていた。

……数時間前、トコロザワ・ピラー。「これを」依頼人の女ショドー家・ハーフペーパーは、依頼の際に万札を3枚差し出した。「…これは?」「前金を兼ねた交通費です。オーガニック・イタチの主な生息地は、タマチャン・ジャングルですので…」「ああ成る程。オーガニックで良いんだな?」「……間違ってもバイオイタチなど持ってきませぬよう」「アッハイ」……

「オーガニックオーガニック…ねえ。最近生息地を減らしてるって聞くが」あてどなくノソノソとジャングルを彷徨うマインドセット。見渡す限り雪とバイオバンブーばかりが目に入る。(まあ小一時間歩いていれば、巣穴くらいすぐにでも見つかるだろ)そう考えていた矢先である!「オルルルル……」「!」斜め前方から、巨大な獣が姿を表す!緑色のツートンカラーの、パンダ!

「バイオパンダァ!?」マインドセットは思わず身構える!バイオパンダ。かつて地球上に存在したオーガニック・パンダとは異なり、肉食性と凶暴性を人為的遺伝子操作によって取り戻した危険な猛獣である!「ウオー! ウオー!」腹を空かせた獰猛なバイオパンダは二本足で立ち上がり、鋭い爪を振り上げて彼に襲い掛かってきた!

マインドセットの迎撃!
[カラテ判定NORMAL:4,6,2,1] 成功!

「イヤーッ!」覆いかぶさるように襲ってきたバイオパンダに向かい、マインドセットはその正中線を一撃!「グワーッ!」バイオパンダは泡を吹き、卒倒!「ッフー……バイオパンダの毛なんて、いらねえっての…」マインドセットはさらに奥地に向かって進む…

未だ、季節は冬である。雨季に漂うへばりつくような湿気は今は鳴りを潜め、雪雲から覗く白い日差しと、雪の積もったバンブーの情景が、ある種のゼンを生み出してすらいる。マインドセットはしばしその空気に身を任せ、無心で歩みを進める………その時である!

[ワザマエ判定NORMAL:1,2,1]
アイエエエ失敗!? サービスシーンだ!

「…ッ!?ウワーーッ!?」頭上から体長15センチを超す吸血ヒルが降り注ぐ!それも、おぞましい数!「アッ、ウワッ、クソッ、グワーッ!?」マインドセットは体を激しく振り、ヒルを振り払わんとする!しかし吸血ヒルはレインコートの中にまで入り込み、彼の鍛え抜かれ、絞られた肉体を否応なく舐め回す!

「ア゙ー!ア゙ーー!イ゙ヤ゙ァ゙ーーー!!」まるで女のように悲鳴をあげ、パニックに陥りながらも…なんとか吸血ヒルを服の中から追い出した。大半が冬眠中だったため大事には至らずには済んだが、やはり吸い跡が少し残ってしまった。「ち…ちくしょう」ちょっと涙目になりながらも、トボトボと歩き出す…「ヒルだのナメクジだの…大っ嫌いだ!クソォ!」

[現在のマインドセットの体力:3、精神力:5]



…マインドセットは全身を巨大な舌に舐め尽くされたかのような気味の悪さを覚えながら、さらにジャングルを進む。吸血ヒルのトラウマが抜けきっていないのだ。(ち…畜生…気持ち悪いったらありゃしない…!………ン?)

ふと彼のニンジャ嗅覚は、雪の匂いに混じりこの密林にそぐわぬ香りを感じ取った。目をつむり、冷たい外気を少々鼻に入れる。(…ショドーで使う…墨の香り。)周囲を歩き回り、探ってみると…ブルズアイ。小屋だ!(よ…よかったよかった!ヒル用の薬を分けてもらうか!)

老職人との交渉判定…
[ニューロン判定HARD:5,4,5,4,5,4] 
成功!元・ジャーナリストの本領発揮!

「ゴメンクダサイ!」礼儀正しくショージ戸の前に立ち、優しくノックする。「ついさっきヒルに噛まれてしまいまして、少しここで休ませていただければ…」小屋の中からは頑固そうな、しかし年老いた職人が出てきた。

老人は目の前の若者の姿を見る。まだ二十代の半ばといったところだろうか?精悍な体つきに、雪よけだろうか、つばの広い帽子にレインコート姿。目元は丸サングラスで隠れている。首元には赤いスカーフ。「…まあ、立ち話もなんだ。入んな」


◆◆◆


「…それで?お前さん…タニマチ=サンだっけ?こんな辺鄙な山奥に、オーガニックイタチを探しにきたわけだ!」「ハイ…想像以上にキツかったです…」「まあ、ネオサイタマの連中はヒルに慣れとらんよなァ!」マインドセットは腕に薬を塗りつつ、老人と談笑する。

聞くところによるとこの老職人、ネオサイタマの猥雑な人間関係やメガコーポの圧力に嫌気がさし、このタマチャン・ジャングルへと越したと言う。「墨作りはな、結局のところは人の腕よ。人の腕!」老職人は語気を強くする。「センサーとプログラムじゃ出来上がるのは三流品だけだ。一流品は鍛え抜かれた職人の皮膚の神経と、指先のワザマエ!これがなきゃあ作れねえ!メガコーポのアホどもは分かっちゃあいねえ…」

「長い間墨作りをして来たからこそ、いかに手作業が大事かが分かってくる……確かに。今まで俺が見てきた一流品は皆、職人さんが自分の腕で作った逸品ばかりでしたよ…」マインドセットは、目を瞑って深く頷く。レインボーフードのスシにしろ、ハーフペーパーのショドーにしろ、一流の物は職人自らが腕をふるって作り出す。「分かるか!若いの!」老職人はニカッと笑う。

「そこにこのタマチャン・ジャングルのオーガニック・パインと、水よ。俺の墨はそうやって出来てる」「成る程、どうりでこんなに香り高い訳だ…」マインドセットはなんとなしに合点がいった。バイオパインじゃどうやってもこんな香りは出せまい。「で?何の為にイタチを取りに来たって?毛皮を売ろうってか」「いや、毛を使ってショドー用の筆を」

「何だ、お前さんショドーもやってんのか?」「流石にこんなゴツい腕のショドー家はおらんでしょ」「カッカッカッ…違いあるめえ!」マインドセットの含み笑いにつられるように、老職人も笑う。「まあ、何というか…綺麗な字を書くショドー家の方から、頼まれましてね」「フーム……」老職人はショージの外を見る。…軒先から積もった雪が少し落ちる。

「……今、冬だぜ?」「巣穴でも見つけられれば、と…」「奴ら巧妙に巣穴を隠してやがるからな。至難の業だぜ?」「まあ…何とかなりますよ」マインドセットは少し目をそらす。老人は少しイロリの灰を掻き、切り出す。「…そういやあ、いたわ。冬でも起きてるオーガニックイタチ」「本当ですかッ!?」

「…ここら辺りじゃあ、”モコフワチャン”と呼ばれている」「あら、カワイイ名前〜」「…このタマチャン・ジャングルを長年生き抜いておる。体長は…3メートル超すか」「ヒェ」「…毎年冬眠できずに、腹をすかして辺りをうろついてやがる」「ウヒェエ」

「…恐れてねえな?心の奥底では」老職人は、マインドセットの瞳を見る。彼の丸サングラスの透過度は50%。一見酷薄そうな目の奥に、確かに温かな光。…彼の目は据わっていた。「……恥ずかしながら。」何しろ、彼はニンジャなのだ。それに与えられた仕事には誠実でなければなるまい…必ずやオーガニック・イタチを仕留めて持ち帰らねばならぬ。

「……待ちな」老職人は、ニヤリと笑うと奥へ引っ込んだ。マインドセットはチャを口につける。ほのかな苦味と、鼻腔に広がる香ばしい香りが、先ほどのヒルの苦い記憶すら消しとばしてくれそうだ。…しばらくして老職人は、小さな木箱を持ってきた。「そら、コレ持ってけ」「コレは…」

「俺の墨だ。気に入ったから、やるよ」木箱を開けて、中身を改める。一目見ただけで素晴らしいものと分かるほどの、ショドー墨…「……良いんですか?」「なぁに、また作れば良いだけだ。お前さん、今はフリーライターなんだろう?ウチの墨の宣伝、頼んだぜ」「あ…アリガトウゴザイマス!」

マインドセットは一礼すると、老人の家を後にした。実際のところ、彼のようなマッポーの中でも奥ゆかしい人間との会話は、彼にとっても心洗われる体験である。…今後彼のような人間とどれだけ出会えるのであろうか。老職人の顔を記憶に刻み、彼は更に進む。

[オーガニック・ショドー墨入手、精神力+1]



◆◆◆



[ニューロン判定NORMAL:成功!]
[回避判定EASY:4,3,5&2,2,1:一回失敗!]
[残り体力:2!] これは一体!?

マインドセットがジャングルのさらなる奥地に足を踏み入れた、その時である!ビュン!ビュン!鋭く風を切りながら、二本の矢が君の視界の外から飛来した!「グワッ…!」ナムサン、外敵侵入を防ぐためのブービートラップか!

「人が…まだ近くにいるのか!?」マインドセットは周囲を見回す…遠くから声が聞こえてくる。「アアアダブ」「アアアダブ(訳注:ブッダの逆読み)」…マインドセットは静かに理解した。霊長類サル目ヒト亜科メタリスト属、アンタイブディスト・ブラックメタリスト。彼らにはこのような奥地に来てまで儀式をしようとする習性がある。このトラップはアンタイブディスト避けか。

「聖徳太子の首を…」「ブッダを逆さ吊り…」「グワーッ!?」悲鳴!アンタイブディストがブービートラップにかかったのだ!「何だ!」「ブッダデーモン軍の卑劣な罠か!」(現地住民の苦情がわりだよ、アホ)心中で呆れたように呟き、マインドセットはさらに進む。

…突然開けた場所に出て、マインドセットは目をしばたかせた。目の前にあるのは草が伸びっぱなしになった中に雪を被って佇む、廃墟と化したコケシマート。中を覗き込んでみると、かつては賑わっていたであろう回転スシバーのタタミ席に五人の農民達が座っており、昼食を取っていた。彼らはこの地で水牛を育て、畑を耕して暮らしているのだ。先ほどのトラップを仕掛けたのも彼らなのであろうか。…マインドセットは静かに彼らの元に近寄り、息を潜めて話を聞く。

…またアイツが出たんだってな」「モコフワチャンか」(!)「ああ…ウチのモウジロウもやられた」「この間なんか家を壊されかけたぜ…」「アンタイブディスト野郎向けのトラップなんぞ効きやしねえもんな」「街に出て強力なの買ったらいい」「ダメだ、生活必需品じゃない分、高すぎる」「あれで本当にイタチなのかね」

(……やっぱし居るのかよッ!巨大イタチ!半分爺さんのホラ話かと…!)冷や汗が更に垂れる。(大体そんな危険生物に、”モコフワチャン”なんてあだ名をつけるバカタレどこに居るんだよォ!)…マインドセットのニンジャ視力は、ふとカウンターの奥の方に冷蔵庫があるのを確かめる。廃墟にはあからさまに不自然なほど小綺麗だ。(…オムラホームテック社製の新品…?)

音もなく店内に忍び込み、冷蔵庫の前に立つ。(…気になって来てしまったが…さっきのトラップの損害賠償請求がわりに、ちょっとだけ失敬していくか)中を開けると、農民達が後の楽しみに取っておいたのであろうバッファローモッツァレラチーズ・スシが大量に!(オッホ…!)

……「……ン?ゴヘイ、また余計に食ったろ!」「ン?食ってねえよ?」「ウソだ!俺が丹精込めて作ったバッファローモッツァレラチーズ・スシをいっつもお前は!」「だから食ってねえって!今日は!」…農民たちの喧嘩をよそに、マインドセットは悠々と廃コケシマートを後にする。

「冷蔵庫買ってるくらいカネあるんだから、そうケチケチすんなよ…いいだろ二つくらい」雪を踏みしめながらバッファローモッツァレラチーズ・スシを頬張る。オーガニック水牛の乳から作られた上質なバッファローモッツァレラチーズ・スシの味わいと栄養が、彼の疲れた身体を癒していく…。

[残り体力:4!全回復!]


◆◆◆


「………」オーガニック・イタチの群生地として知られる地帯。そこに近づくにつれ、ただならぬアトモスフィアが彼を圧する。(…尾けられている?)ガサガサと藪をかき分ける音が辺りに響く。マインドセットは立ち止まり、メンポがわりのスカーフをここでようやく口元に引き上げ…カラテを構える。……驚くほど唐突にそれは来た。



「……キシャァーーッ!」「イヤーッ!」斜め後方から鋭い爪!最低限の動きでかわし、逆にエルボーを打ち込む!CRASH!しかし…!(か…硬い!こいつ…!)マインドセットがその目に見たのは、美しく白い毛並み、大きく鋭い切れ長の瞳の巨大なイタチであった。首元には…”モコフワチャン”と書かれた名札が。

「不法投棄されたペット個体!?どうりで…!」モコフワチャンの瞳がギラギラと輝く。人間への憎悪以上に、飢えと、欲望に染まった笑みを浮かべ、目の前のご馳走を食さんと猛っているのだ!「ギシャーーッ!」「うおっ…!」鋭い爪が、右から、左から、マインドセットに襲い来る!

「ギシャーッ!」「イヤーッ!」右から切り込まれる爪を右腕でいなし、左腕でカラテ掌打!硬い!「ギシャーッ!」「イヤーッ!」動きが一瞬固まった所を左爪が!それを体を逸らし回避!爪がコートを掠める!「イヤーッ!」「ギシューッ!?」しかし即座に左腕を回し、モコフワチャンの左前脚を固める!

「ギシューッ……!」「クソッ!…そっちがその気なら…!」マインドセットの瞳がモコフワチャンを見据え、一瞬フラッシュを放つ!「イヤーッ!」「ギシュゥアッ!?」

マインドセットのジツ攻撃!
[精神力1消費! ジツ判定HARD:5,2,6,5,2,4,1]
成功!ビジョン・ジツ発動!


0101◆0◆1

『名前どうするの?』『モコフワチャンにスルー!』

0◆101

『モコフワチャン…』0101『モコフワチャンはカワイイだねェー…』

010◆10◆◆1

『いやだ!モコフワチャンも連れて行く!』01『…バイバイ…』

0101◆◆◆01

「ギ…ギシュアーーッ!!」激しい頭痛とともに、かつての飼い主の少女の記憶が、蘇る!モコフワチャンのニューロンの奥深くから、本来なら忘れ去っていようはずの記憶が引き出され、幻覚として彼の前に現れでたのだ!


激しくのたうちまわるモコフワチャンを前に、マインドセットは茫然と立ち尽くす。「…ヘンな所触っちまったかな…」やがて、大人しくなったモコフワチャンは、目を開けた先に映るマインドセットに……かつての飼い主の少女の姿を見た。『モコフワチャン…』「…キュウーン………」

数分後!タマチャン・ジャングルの端、公道へと面した地点にマインドセットと、モコフワチャンは居た。「キュゥーン…キュゥーン…」大きな頭を擦りつけ、マインドセットに懐くモコフワチャン。「………どうしよ…」顔を引きつらせて、途方に暮れるマインドセット。ともかく依頼はこなせそうだが…


◆◆◆


「ドーモ」トコロザワ・ピラーに帰り着いたマインドセットを、依頼者であるキモノ姿の女ニンジャが出迎えた。彼女が手に持っている半紙には、美しく繊細な字で『ハーフペーパー』とショドーされている。これが彼女のアイサツなのだ。「斬新なアイサツだよな…。ドーモ、マインドセットです」「お帰りをお待ちしていました。」

「これはドーモ…」「まずはスシとチャで一服なさってください」「いや、その前に…ちょっとばかし…」チャを濁すマインドセットに、ハーフペーパーの目が鋭くなる。…まさか案の定、薄汚いバイオイタチなんかを持ってきて誤魔化すつもりなのでは!?マインドセットは気まずそうに頭をかきつつ、続ける…「…オーガニックなのを手に入れたはいいんだけど…」

「……まあ……こ…これは……!」ハーフペーパーは絶句した。マインドセットに連れられて出てきたトコロザワ・ピラーの裏の駐車場には、巨大なオーガニック・イタチの姿が!しかも生きたまま!「キシューッ…」「な…懐かれちゃって…」マインドセットは極めて気まずそうに頭を掻いた。

「実際楽に殺してやるつもりだったんだが、こいつ意外に丈夫でな…」「ほ…本当に頂いちゃって、大丈夫なものなのですか?」「まあ、飼っておくと毎年毛が生え変わる時に大量に良質な冬毛が取れるな。場所と餌がいちばんの問題だが……ソウカイヤに動物好きなニンジャって居たっけ?」


「ラオモト=サン、申し訳ありません!」ヨロシサンの営業は恐怖のあまり床に倒れて、喘息を起こしたマグロのように口をぱくぱくとさせていた。「責任をとってセプクします!」「いや、いい」ラオモトはセンスをぴしゃりと閉じる。ヨロシサンよ、今回も良い仕事だった」 「ま……毎度ありがとうございます……!!」

「しかし、貴様はワシのオフィスの床を汚したため、生かしてはおかん」「アイエッ」ラオモトがボタンを押すと、ヨロシサンの営業の足元が開き……ナムサン!目の前に現れたのは、口元を赤い血で汚した大イタチだ!なぜか白い毛を短く刈りそろえられているが、そんな事はサラリマンにとっては関係なし!「キシャァーッ!」「アイエエエエエ!」


「本当にありがとうございます!きっと見たこともない素晴らしい筆ができあがると思います…」「ああ、何よりだ。」マインドセットは強く頷いた。…あの後、裏の駐車場を何気なく覗いたソウカイヤのバイオ生物管理部門のニンジャ・ブリーダーが、興奮して駆け寄ってきた時はどうなるかと思ったが。

……「なんてスゴイ!…まさかこれ、マインドセット=サンが生け捕りにしたのか!?」「いや、どっちかっつうとミスって懐かれた」像の鼻が如く伸びたメンポの空気ノズルを撫でながら、ブリーダーは嘆息を漏らす!「いや〜スゴイもんだ…その、お二人?良ければコイツを私に…」「イタチの毛を残して頂ければ」「そりゃあもう!丁寧に刈りそろえてお返ししますとも!」……

「…探せばいろんな奴がいるもんだな…」「?どうかされました?」「イヤイヤ!何も…そうだ!」マインドセットは手提げ袋をハーフペーパーに渡す。ハーフペーパーが袋から木箱を取り出す…「まあ…!これを私に…?」彼が渡したのは、道中老職人から譲り受けた、最高級オーガニック・ショドー墨であった。

「あ、ありがとうございます!こんなに良い墨をいただけるなんて…!今すぐは難しいですけれど、このお礼は必ず…」「いや、良いよ」「え…」マインドセットは目を瞑ると、仮宿に飾ってある偉大なるショドーを思い出す。力強く、かつ流麗なショドーを。

「…その、筆ができたらその墨で、また一筆書いてくれよ。」


◆◆◆


◆リザルトオー◆
【獲得万札:17】【余暇:2日】【名声:1】
ダイスを振りますと出目が2だったので、
・「偉大なるショドー」をくれる。既に所持している場合は【万札:10】をくれる。
◆ブラックマーケットの読みかえと余暇1日消費でハーフペーパーから『見事なカケジク』をもらったことにするぞ!◆


◆◆◆


…重金属酸性雨が降りしきるネオサイタマ。モノリス状のビル群が立ち並び、ネオンサインの並ぶ、おおよそ温かみの感じられぬ街。…古びた木製アパートに、レインコートをボロボロにしたマインドセット…タニマチが帰ってきた。「…どうしたのよその姿」ベッドからアリガが怪訝そうに声をかける。

「ちょ、ちょっとね…タマチャン・ジャングルで、イタチ捕まえてきた」「……ハア?」「疲れたから、や、休ませてくれ……」ヨロヨロとタニマチが部屋を横切る。アリガの腕の添え木はすでに取れていた。「……イタチね…」結局彼の仕事が分からない。肩を竦めると、彼女は小説に目を戻した。

……数刻前。「実際、私にも初めての試みでしたが…」マインドセットは、ハーフペーパーから手渡された見事な山水画を見て、思わず口を開けた。「……凄いな…!まさに人の腕のなせるワザマエ…!」トメ・ハネ・ハライ。彼女の巧なショドーのワザマエが、まさしくこの山水画にも現れていた。「こんな、俺なんかに勿体無い…」「…構いませんとも。」ハーフペーパーは、ここで初めてマインドセットに微笑んだ。……

「…人の腕、か。」タニマチは貰った山水画を眺めて一言つぶやき、その時に分けてもらったショドー筆の出来上がり品を取り出し、これもしげしげと観察する。フワモコチャンの美しい毛並みが外のネオンに照らされ、明るく照り輝く。…試しに市販の墨汁を用いて一筆書いてみた。とても書き心地が良い。成る程、職人技だ。

完成したショドーを広げてみる。「心」。「………………」自分でも思わず微妙な顔をしてしまうほどに微妙な出来だ。「人の腕…」アリガが後ろから近づき、タニマチのショドーを一瞥する。「貸してみて」「エッ」

…アリガのショドーした文字は、専業のショドー家であるハーフペーパーに及ばぬとは言え、なかなかに流麗な文字であった。「末法」。「…凄いなアリガ=サン」「まず貴方ショドーやったことないでしょ」「………人の腕っていうのも、色々あるもんだなァ…」「…なんの話よ?」


美しいモノには、真摯な心が篭る。

「ザ・クラフトマンシップ」

【To Be Continued…】



ハーフペーパー=サンのショドーのワザマエ、
老職人の墨作りのワザマエ、
ブリーダー=サンの動物飼育のワザマエ、
そしてタニマチ自身のエージェントとしてのワザマエ。
今回のワザマエ溢れるシナリオと、キャラクター・ハーフペーパー=サンは、どくどくウール=サン(https://note.mu/dokudokuwool)のご提供です。限りない感謝を!
……そして忘れちゃいけないのがレインボーフード=サンのスシのワザマエ。彼は遊行剣禅=サン(https://note.mu/ravenwood_09)(この間は自ニンジャ・ライトシーカーをリプレイに出演させていただき本当にアリガトゴザイマス!)のキャラクターだ!あわせて限りない感謝を!





◆◆◆

「……ってな事が、この前あってさ。やっぱり最後には手作業がモノを言うよなあ」「デスネー、サイバネの回路の溶接とかはどうしても自分の神経頼りですよね……」「だからこそ、だ。お前さんのサイバネ整備所には潰れてもらわれると困る!……ホント困る。何かあったら知らせてくれよ?」「アハハ……ドーモ、タニマチ=サン。そろそろ出来上がりますので、じっとして。」「うん」

ネオサイタマの片隅。周囲のビルに囲まれて、どこか所在無さげに小さく佇むサイバネ医院。店の入り口のは「所作製イモカ」とミンチョされている。タニマチは、今そこにいた。歯科医院のユニットめいた手術椅子に腰掛け、所長の作業が終わるのを待つ。

「……アクティベート完了です!どうです?新型のLAN端子の調子は?」「…遥かにいいな。旧式じゃこうはいかん…」「段々時代も進んでますからねー…」「そういやあ、お前さんとこのレラちゃん、サイバネ手術の腕がメキメキ上がってるそうだけど?」「聞きたいです?」「……や、遠慮しとく。お前さんに語らせると半日はかかる」


・マインドセット…余暇
1日目…ハーフペーパー=サンから山水画のお礼受け取り(ブラックマーケット読み替え)
2日目…カモイ製作所にてサイバネ:生体LAN端子のアップデート(サイバネ手術、万札-10)
[名声:3 残り万札:11]


◆終◆最後まで見ていただきアリガトゴザイマス!◆



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