映画の中の彼は言った。「子育てって、免罪符じゃないですか」
映画の脇役が発する何気ないひと言にハッとすることがある。
『永い言い訳』
主人公は、妻の死にも泣けなかった浮気者の小説家。
文化人枠でテレビにも出る作家・津村啓、本名・衣笠幸夫(本木雅弘)は、妻の事故死により「遺族」になる。妻が死んだ瞬間、彼は不倫の真っ最中だった。
もともと冷めきった夫婦関係だったために哀しみに浸ることもない津村。動じず、いかにも作家らしい“哀悼の言葉”を呼吸するかのように吐き出し、世間の同情を集め、エゴサーチに余念がない。
そんな彼が、おなじ遺族