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ドン底の逆境を抜け出す方法

こんにちは、
元海自SBU のレジリエンス・メンタル・アドバイザー NICKSです。
今日は、失敗や挫折など逆境から立ち直る方法
についてお伝えします。

今まさに落ち込み、どん底、逆境にある方は特に知って欲しいと思いますし、

 ・自分の目指す世界になかなかたどり着けない

とか、

 ・せっかく憧れの世界に入ったのにしんどくてもう折れそうだ

という方も含めて

今まさに自信をなくしてしまいそうなショッキングな出来事や経験をしている方にとって

少しでも、前向きになって、前進するための方法についてお話しします。

この記事を読むことで、
私自身の失敗、挫折と特殊部隊へいくことになった経緯も交えながら、逆境から抜け出る方法が何かしらのヒントになればと思うので
ぜひ最後まで読んでください。

私自身、実は今まで散々挫折を経験して、もうダメだと思ったことが数え切れないくらいあります。

特別警備隊で訓練していた時もそうですし
そもそも海上自衛隊へ入隊した目的を達成できずに
折れかけたという事実もあります。

実は、私はもともとパイロットを目指し、訓練生として海上自衛隊に入隊したんですが、色々な事情、状況が重なってパイロットになることができませんでした。

幼い頃からパイロットになりたいと思って、スポーツも勉強もそれなりに頑張ってきた私にとって何年も目指してきたパイロットになれないというのは、はっきり言って受け入れがたい現実だったんです。

何年も夢見ていたことが不可能となって、当時はもうそれこそ

 ドン底

でした。
自分が無能のように思えましたし、これから何を目指せば良いのか全く分からなくなった。

大きな失敗と挫折です。

この時はもう完全に腐っていました。

かと言って自衛官をやめて他に仕事を探すあてもなかったのと、飛行機が好きだったこともあってP-3Cの整備士になったんです。

ところが、パイロットコースを離れていざ整備部隊へ行くと自分は
階級はすでに上がっていて新兵じゃないのに
整備の知識や技量は新兵以下でした。

現場にとっては扱いにくい存在。

しかも、私は航空学生という制度で入隊したので
中には、私のことを「航学崩れ」と陰口をいう人もいました。

希望もくじかれてこんな状況で私は折れかけていました。

それでも飛行機が好きだったので毎日、整備の仕事には懸命に取り組んでいました。

そんな中、気持ちが折れずに自分を支えていたのは、唯一ランニングだったんです。

もともと、ランニングが割と好きで、入隊後もランニングに力を入れていたので、それなりに走れてはいたんです。

なので、整備部隊へ行ってからもランニングは欠かさず訓練していました。

自分の心の拠り所がランニングだったので

毎日5Kmの距離を走り続けました。

気がつくと、日曜以外のほぼ毎日を5年間走り続けていました。

そのうち、徐々に基地内の駅伝競技などでも活躍できるようになり、チームの優勝に貢献したり、区間賞とかも取るようになって徐々に人の目に付くようになっていったんです。

それがきっかけで、上官の目にとまり、当時創設して間もない特殊部隊への入隊の話しが出ました。

もともと、パイロットになるのは国防の最前線につきたいという思いでしたし、特殊部隊というのは間違いなく最前線だと思ったので迷わずここで志願したんです。

実はここで、過去にパイロットになれなかった時のことが幸いしています。

パイロットになる目標が実現できなかったことがきっかけで、自己分析して自分の弱みを把握していたのと、努力の仕方を自分なりに見出す方法論が出来上がっていたということです。

夢を失って、逆に一番役に得たものは

 自己分析力

です。

何が足りていて何が足りないのか。
これがわかれば、努力の仕方が見えてきます。
パイロットを目指していた当時、私にはこの自己分析力が全くありませんでした。

だから自分の弱点も見えなければ強みも見えない状況です。

自己分析と改善なしに進めば

当然自分の能力の生かし方なんてわかるわけがない。

こんな状況で目標達成なんてできるわけがないんです。

ちゃんと自分と向き合って自分の弱点や強みを把握していれば、能力の伸ばし方や能力の発揮の仕方も見えてきます。

人は自分の努力が結果に表れないときは、往々にして能力が足りないと思いがち。

でも、実際のところ能力が足りないのではなく
うまく使いきれていないということが多い。
あと本当はやらなくて良い余計なことまで頑張っているか。

ラッキーなことに、私はパイロットになれなかった自分の失敗から自分を分析し、自分の能力をうまく使う方法について考えるきっかけを持ちました。

これが、得意を伸ばすことに集中できたんです。

のちにこれが特別警備隊という部隊で勤務することにつながりました。

何が言いたいかというと、逆境がチャンスになるというようなありきたりな話ではなく、
人は失敗や挫折、逆境など、努力がうまくいかずにどん底に陥ったとき、

 自分のダメな部分に目が行きがちになる

ということ。

そして自分を不振り返れば振り返るほどマイナス面に目が行ってしまいます。

そしてあえて、自分の自信がなくなるような証拠を探し始めるんです。

これは、

 ネガティヴィティバイアス

といって、ネガティブのフィルターが働いて、自分の良い部分に目が届きにくい状況になっています。

実際、スポーツの世界でも、ちょっとしたミスにも動揺して自滅してしまう選手もいますよね。

だからこんな時こそ、
この

 ネガティビティバイアスに騙されずに、
 自分の得意にちゃんと目を向けてください

ということ。

今自分がやっている仕事や業務に関係ないことでも、自分の特技にちゃんと目を向けて向上心をぶつけて欲しいということです。

きつい時ほど自分の「できていない部分」に目を向けがち。

とくに気持ちが落ちている時はなおのこと。

こんな時は、自分の強みを改めて見直すチャンスです。

自分の強みを改めて見直して、そこを最大に伸ばしてみること。

それが、自分の道を切り開く大きなチャンスになります。

人から褒められ、承認されて自信を取り戻すことも一つの方法ですが、それは一時的な効果しかありません。

時間が経てば効果は消えてしまいます。
そして、他人からの承認を求めて本来の目的から外れてしまう。
いわゆる

  承認欲求のワナ

というやつです。

これは痛みを取り除く鎮痛剤を飲むようなもの。

時にはこういった鎮痛剤も必要ですが、本来は痛みの原因を取り除くべきです。

結局、自分に折れない自分をインストールできるのは自分だけ。

だから、落ち込んだり自信がなくなった時ほど、自己分析のチャンスです。

 あなたの武器は必ずどこかに眠っています。

自分の武器、セルフウェポンを見つけて伸ばしてください。

セルフウェポンを持つ

挫折を経験するということは何かに挑戦するということ。
挑戦するということは、あなたはそれだけの努力をしているはず。

その中で必ず自分の強みというのが出来上がっています。

それをしっかり掘り出して、さらに伸ばしてください。

世の中には、言い訳だけを繰り返し、自ら挑戦することもせず、他人の批判ばかりをする人々がいます。

特にネット社会になり、自由に情報発信できるようになってからはそれが顕著です。

ですが、少なくともこの記事を読んでいるあなたは違う。

努力を重ねるあなたに、

 武器が存在しないわけがない

物事がうまくいかない時というのは、往々にして能力が足りないと思ってしまうもの。

しかし、うまく使えていない場合の方が圧倒的に多いんです。

例えば、
突然高速で飛んでくるボールにビビって縮こまってしまっても、避けることができたなら、それは反射的に回避本能が備わっているから。

これはちゃんとボールの存在とそのスピードを認識しているからできることです。

であれば、逆に技術を磨くことで、バッターボックスに立ち、それを打ち返すことが可能になるはず。

自分の中に能力が存在する証拠、エビデンスをどんどん見つけてください。

その中で見つけた能力をうまく伸ばしたり、組み合わせたりして

 極力シンプル

にしてみてください。

そして、自分のやってきた努力を結果に結びつくようにカスタマイズしてみてください。

 セルフ・カスタマイズ

です。

あなただけのオリジナル能力が備わります。

 身につけた能力を目的に合うようにフォーカスする

こと。

軌道修正です。

 弱点の裏には必ず強点、つまり強みが存在しています。

弱点という影ができるのはそこに光、つまり強みが存在しているから。

光があるから影ができます。

鋭い刃物というのは、よく切れる道具ですが、
使い方を間違えると自分を傷つける。

それと同じで、能力がないと悩むのではなく、すでに存在している能力を間違った使い方をしているがために結果が出ないことの方が多い。

例えば、

・一点集中して視野が狭くなるのは、思考を突き詰める能力が高い証拠

・気持ちが落ち込みやすいのは問題点の分析能力が高い証拠
 (その問題点のほとんどは実は問題ではないことが多ですが…)

・頑固なのは信念を持った証

自分の能力があるからこそ、目的に合えば相当な結果を出せるし、合わない時はどん底の結果になりがち。

ただそれだけ。

失敗の陰には成功があるし、成功の陰にも失敗が存在します。

自己分析と努力を怠らず続ける人に、成功が存在しないわけがありません。

ネイビー・シールズのモットーは

 NO EASY DAY MORE THAN YESTERDAY

つまり、昨日より楽な日はない

という意味です。

しかし、私はこの言葉に条件をつけています

それは、

 「訓練においては」

ということです。

訓練においては、昨日より楽な日はないということ

訓練では最大に負荷をかけ、実戦では悲観に落ち込むのではなく常に希望を持って対処する。

つまり、実戦においては

 NO DIFFICULT DAY MORE THAN YESTERDAY

「実戦において」は、昨日より困難な日はない

です。

あのネイビー・シールズでも困難な実戦においては希望的楽観を持って、必ず状況は良くなるという信念で臨んでいます。

だからこそ、あれだけ過酷できつい任務もこなすことができるんです。

元シールズで統合特殊作戦司令官も務めたウィリアム・マクレイヴン海軍大将も言っています。

「失敗するから強くなる」

と。

ウイリアム・マクレイブン元大将(Wikipediaより引用)

 訓練で自分を追い込み、失敗から学び
 実戦の困難な状況では楽観さを忘れない。

状況が必ず好転するという希望的観測を持つ。

もしこの記事を読んでいるあなたが、今まさに自分が折れそうだという状況にあるなら、それはあなたにとっての

「すでに実戦」

です。

実戦であるなら

昨日より困難な日はありません。

なぜなら、今までの困難の中であなたは確実に成長しているから。

状況は必ず好転するという希望的観測が必要です。

そのためには、できない部分よりも徹底的に

 できる部分

に着目してください。

そしてそれを伸ばしてください

大事なのは

 自分の弱点と強みをちゃんと知っておくこと

つまり

 自分を知ること

です。

あらかじめ自分をちゃんと知っておけば、自分との付き合い方を知っておけば、何があっても大きく落ち込むこともなくなります。

自己を肯定し、自分を信じることができれば、状況は必ず好転します。

そして、落ち込んだ時に立ち直る方法をあらかじめ決めて用意しておくと
なおのこと立ち直りが早くなります。

心の折れにくさ、復元力、柔軟性

つまり、

 レジリエンス

です。

かつて、ネイビー・シールズの隊員としてベトナム戦争にも参加したモキ・マーティン氏はヘリコプターから海への降下の際、不慮の事故で当時の隊長ドライ大尉とチームメイトを失いました。
結局任務を継続することは困難になりましたが、帰還しようにも北ベトナム軍が通信を傍受しています。

そんな中でも、モキ・マーティンは元来の楽観主義とレジリエンスを発揮し、勇気を持って無線交信し、敵の監視をかいくぐって泳ぎ続け、夜明けのヘリを待って救助され、仲間の遺体もしっかりと連れて帰ったという実話があります。

さらに、もう一例を挙げると

ローン・サバイバーで有名なマーカス・ラトレル氏は、

レッド・ウィング作戦においてタリバンの執拗な攻撃に遭い、多くの仲間を失う悲劇の中、何度も敵の攻撃を受け、ズボンも引きちぎれた状態のまま、意識朦朧と歩き続けました。
そんな中彼は旧約聖書の詩篇23章を何度も唱えたと言います。

彼にとっては、神に守れらるという概念を持つことで自分は大丈夫だ、打ち勝てると勇気付け、自分の力を信じることでレジリエンスを発揮しています。

マーカス・ラトレル著「アフガン、たった一人の生還」


方法は違えど、強力なレジリエンスがあれば、困難に打ち勝つことが可能になるんです。

そして、レジリエンスは生れながらのものだけでなく、ちゃんと訓練によって身に着けることができることも心理学的に証明されています。

だから自分にでもできる「スキル」としてレジリエンスを身に着けることが大事です。

新しい挑戦には必ず、困難とリスクと責任が付きまといます。

そして、今困難を感じているとするなら、あなたは今大きな挑戦にあるということ。

自分の挑戦に足を踏み入れた自分を賞賛してください。

そして困難を乗り越えるレジリエンスを身につけてください。

  レジリエンスは技術

です。

レジリエンスをなるべくシステマティックに用意しておくことで
いつでもどこでも実践できます。

そして、どんな時でも使えるよう、無意識にでも使えるよう磨いておくことです。

基本に落とし込んで、無意識にでも使える状態にしておけば、それが極限の状況であっても自分を救うことができます。

シンプルに、いつでも使える、どんな状況でも使えるものこそが本物のスキルです。

あなたにはその能力が必ず備わっています。

キツイ時こそできないところではなく、できる部分に着目する
そして、
困難に折れないレジリエンスを身につけること。

今まさに逆境にある人たちはぜひ、この2つを意識してみてください。

あなたの豊かな人生を心から応援しています。




緊張下でも自分の能力を発揮し、困難でも折れないメンタルスキルを身につける方法論


記事執筆者 NICKS


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