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司馬遼太郎『燃えよ剣』あらすじと感想

司馬遼太郎が書いた新選組の本。以下はFGO、るろ剣、ゴールデンカムイ、ドリフターズなどでふわっと知っていた新選組についての断片的な知識。

・京都で攘夷派をバッタバッタと切り捨てていた集団
・土方歳三はモテた。沖田総司は病弱で猫嫌い。なんか有名な刀を持ってる
・「今宵の虎徹は血に飢えている」
・池田屋事件っていうカチコミが有名。階段から転げ落ちる
・斎藤一の必殺技は牙突
・函館の五稜郭で土方歳三が討ち死にして終わる

断片的な知識をまとめ、隊士のバックボーンや組織の成り立ち、幕府に取り立てられた理由、幕末におきた戦争での立ち位置など、新選組に関する知識をある程度体系的にまとめて知りたいと思い、いちばん有名な新選組の小説をいまさらながら読むことに。

あらすじ

時は幕末ところは武州多摩。石田村のバラガキこと土方歳三は喧嘩や辻斬りに明け暮れていた。そんな折、攘夷党の志士の暴虐に手を焼いた幕府は、官費により浪人組を設立することに。

江戸幕府から檄文が飛ぶ「外国人嫌いの攘夷浪士がヤベーので腕自慢の剣客募集」。戦国時代、浪人が大名の陣を借り、働き次第で取り立ててもらえた風習を念頭に、直参になり上がれるのではとの皮算用で浪人組に加盟することに。

当時、幕府の権威や財政はボロボロで旗本への影響力がなくなっていた。専制支配体制が制度疲労を起こし、崩壊が迫ると、政権内部で信頼でき頼れる存在はいなくなる。

そんなとき、彼らは従来の支配機構の外側にいる武辺者たちを身近に侍らせることが歴史上よくある。イエニチェリとか。新選組もその類といったところだろう。

そんなこんなで、近藤勇、沖田総司、土方歳三などの面々は京都の壬生へ。新選組は基本、幕府の犬で攘夷浪士を全自動で切り捨てるマン。浪人や農民の集まりだったが、土方が鉄の掟で組織を引き締め最強の組織へとなっていく。

池田屋事件で武名は頂点を迎えるが、隊内の攘夷派が組織を二分したり、市街地での不正規戦を得意とした新選組は、砲弾が飛び交う正規戦では真価を発揮できなかったりと苦戦する。というより雇い主の幕府がやる気ない。昔の仲間は戦死したり隊を離脱するなど次々と減っていくが、土方は誠の一文字を背負い戦場をわたり続けていく。

感想

歴史の教科書の知識では官軍があっさり勝ったような印象だったが、鳥羽伏見の戦いなど結構ギリギリの戦いをしていたんだなと。『賊軍土方歳三』を見るとその印象はさらに強くなる、というか南北朝もう一度やりかけていたのか。

ちなみに有名な「今宵の虎徹は血に飢えている」というセリフはなく、牙突の片鱗も見えなかった。

新選組は擦り切れるほど語り尽くされているが、今でも新規のコンテンツが次々と出てきており、元ネタを知っていると楽しめることが多くなりそうだ。

最近の土方歳三は金塊を追ったり、モンスター軍団に身を置き幽霊隊士を率いて人類滅ぼそうとしたり、芹沢鴨は埴輪を率いてレイドイベントしたりと、新選組は今なお日本人の心に生きているようだ。FGOは永倉新八が出てくるイベント見逃したので早く復刻して。

どの部分が史実かは把握できていないが、土方歳三の不器用な生き方に魅せられ、ところどころで出てくる司馬遼太郎の解説に知的好奇心が満たされたよい本であった。

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