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〈37〉五月のわが家は世界で一番気持ちいい!/GWは自宅でリゾート気分

野鳥のさえずりで目覚める

五月の朝焼け

私の家は海のそばの高台にある。眼下に広がる海と松林の景色が気に入って、16年前に終のすみかのつもりで建てた。実際住んでみると、夏は地獄のように暑いし、海風が強くてレモンの木は育たないし、坂道が険しくて歩いて登るのには体力がいるし、厳しいこともいっぱいだ。

でもね!
五月のわが家は文句なしに一年で最高の気持ちよさ。家中の窓を開け放すと乾いた風が通り抜け、冬の澱んだ空気や湿気を一掃してくれる。きっとニースやコートダジュールってこんな感じじゃないかしら(行ったことないけど)。

五月の朝は5時に目が覚める。夜風を入れるために少し開けておいた窓から、野鳥のさえずりがうるさいほど聞こえるからだ。この時期は小鳥たちの愛の季節。ヒバリやシジュウカラ、名前も知らない野鳥たちが、びっくりするくらい大きな声で鳴きかわす。やがて太陽が真東よりずっと北寄りの方角から昇り、朝焼けが北側の海まで届く。太陽は東から昇るなんて誰が言ったんだろう?こんな朝は眠気なんていっぺんで吹き飛ぶ。

NさんはGWに夏野菜の苗を植える

Nさんの畑。手前はなすび、奥はトマトが植えられている。
支柱の立て方、苗の結び目、どれも整然としていて、Nさんの几帳面な性格がよくわかる。

五月、Nさん(オット)は忙しい。家庭菜園用に借りている畑と自宅の庭に、夏野菜の苗を植えなくてはならないからだ。ひと月ほど前から、冬野菜の残りを収穫し、畑に堆肥を入れて耕し、消毒用の石灰をまき、土の上に黒いビニールシート(マルチ)を張って準備してきた。日曜農家だからこの作業に何週間もかかった。もちろん私はなーんにも手伝わない。手が荒れるのはイヤだし、疲れて病気にでもなったら大変だから。テヘヘ。

去年の唐辛子とオクラからとれた種を苗床で発芽させる。
もうすぐ畑に定植できる。

苗は近所のホームセンターから買うものもあれば、前年に植えた野菜からとった種を苗床で発芽させたものもある。GW中にトマト、なすび、ピーマン、きゅうり、落花生、大サヤ(えんどう豆の一種)、バジル、大葉を植え終えた。几帳面なNさんらしく、支柱の立て方、結び方が美しく整っている。
Nさんの農作業の腕前は年々上達し、今年は唐辛子とオクラは去年収穫してとっておいた種から育ている。これももうすぐ畑に定植できるらしい。

ランチはウッドデッキで

海を見ながら昼食。簡単な食べ物でも美味しい!

午後、東向きのデッキで昼ごはんを食べる。目の前の海には、地元の大学生たちが帆をあやつる小さなディンギー(ヨット)がびっしり浮かんでいる。松林にところどころ生えている桜やハゼの木のみずみずしい若葉がアクセントになって、松林が一気に若返って見える。それらを眺めているだけで生命力をもらう気がする。
風は少し肌寒いけれど、背中に暖かな陽を浴びると心地いい。手っ取り早くつくった野菜スープとパンとコーヒーのランチでも、うっとりするくらい美味しい。
少し昼寝をした後、ふたりでゴルフの打ちっぱなしに行く。GW時期のゴルフコースは料金が高くて、私たちには不向き。だからコースには出ず、せっせと練習して、連休明けの最安値の日に二人でラウンドする。仕事が減ると、時間がたっぷりできていいこともあるのだ。

出かけない生活が好き

五月の夕方の白い月

私は出不精な性格だ。ふだんから家の中にいる方が、人混みに出かけるより何倍もいい。ゴールデンウィークは、車や新幹線の混雑情報を見るたびに、みんな出かけるのが好きだなぁと不思議に思う。私も両親が存命だった頃は、シブシブついてくるNさん(オット)とともに車で帰省していた。渋滞にはまってしまい疲れ切った経験も数限りない。でも、待ってる人がいなくなり、出かけなくちゃいけない理由がなくなると、お出かけなんてゼロになった。
家にずっといて、早起きして、家事を済ませて、涼しい風の吹くベッドでゴロンと横になって数独を解き、デッキでランチを食べ、午後からはゴルフの打ちっ放しと近所のスーパーに買い出しに行く。なーんて幸せなんだろうと思う。
もうひと月もすれば蒸し暑くて窓も開けられない季節がやってくる。だからなおさら、一年中でたった1ヶ月しかない貴重な時間を、私は贅沢に楽しんでいる。





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