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2021年を振り返って

 今年の後半は地下アイドル一色の毎日を過ごしていた、といっても過言ではないと思う。
仕事もそこそこに(というか、まともに仕事をしてたら追いかけ切れていなかった)、気がついたら時間とお金を地下アイドル現場にほぼ全突っぱしていた。

きっかけ

 そもそものはじまりは、今年の春先に1ヵ月程仕事で訪れた絶海の孤島某島での出来事に遡る。
この離島の仕事で去年(2020年)にこの島で知り合った友人と共に、島内のロクに舗装もされていないましてや街灯も信号機も無い真っ暗な道を夜に2人で歩きながら地下アイドルの話しをしたのがこの2021年後半の道行きを決定づけていたといっても過言ではない。
というか、絶対にこのことが口火を切ったといって間違いない。

 友人と2人で最初はぽつりぽつりとお互いの好きな地下アイドルの話しをしながら島内の夜道を歩き、僕はアンスリュームっていうグループが今好きなんだよみたいな話しをして、友人はぜんぶ君のせいだ。の話しを聞かせてくれて。
スマホでぜん君。(ぜんぶ君のせいだ。)の曲を流しながら、虫の声ひとつしない真っ暗な夜に背丈程の藪の中を2人で藪漕ぎしてるなんて、今この瞬間、日本中いや世界中探しても僕らだけだっただろう。「かけがえのない」という言葉がピッタリの時間だった。

 で、どういう話しの流れでそうなったのか詳細には覚えていないけれど、ベビレ(ベイビーレイズJAPAN)の話しになって、その時に真っ暗な夜道を歩きながら友人がスマホで流してくれた『夜明け Brand New Days』が、その漆黒の闇と見上げると瞬く星とが相まって痺れるぐらいにエモくて、たぶんあの時僕の青春の撃鉄がふたたびガチリと上がったのかもしれない。いや、僕の心がイエッタイガーしたんだと思う。

 離島での仕事を終えて内地に戻って来てからは早かった。地元に戻ってきて3日後に僕はぜんぶ君のせいだ。のリリイベ(リリースイベント)に件の友人と参加していた。
更にその3日後、僕は1人でアンスリュームの現場に赴いていた。
自身どちらかというと熱しやすく冷めやすいタイプではあるので、ハマる時のスピードというのは自分でもびっくりするぐらい早い。
次のイベントもそのまた次のイベントも。という風にスケジュールを追っていくうちに、気付くと地下現場に通うことが生活の中心に据えられていた。


 だが、この年齢になってもまだ、何かにハマったり無我夢中で追いかけることのできる対象に出会えたことが単純に嬉しかった。
というのも、年齢を重ねるごとにむかしはもっとハマってたのにと思うアニメも漫画も全然ハマれない自分がいて「これが老いなのか・・・。」と、チン毛に白髪を見つけてしまった時ぐらいのテンションで半ばあきらめていた時期でもあったからだ。


 そんななかで出会った地下アイドルというシーン、正直救われたという想いと、自分のなかにもまだ若くて柔らかくてあやふやでデリケートな部分が残っていたんだという喜びを、しっかりと静かに噛みしめている自分がそこにいた。

 はたまた、このご時世にキラキラとした世界に少しあてられてしまったのか、ほだされてしまっているだけなのかもしれない。
だとしても、僕の心をぐっと掴んで離さない何かがステージの上には燦然と輝いてそこに存在していたと思っている。

 それを本当に好きで求めていてハマっているのか、それとも一瞬でも好きだと感じたその時の自分という存在を手放したくないという気持ちが働いていたり、一度乗りかかった舟なんだから最後まで見届けようという気持ちとそうするとこで自分の中に一途さや純粋さ純情さみたいなものを拾い集めて大事に抱えていたかったのかもしれない。

 きっとこんなに小難しく考えずに、ある程度盲目的に目の前のアイドルやエンターテインメントを摂取し享受している方がもっと楽しめるんだろうな~っていう羨望はもちろんある。

 他にも地下アイドルを通じての繋がりや居場所だったり友人・知人も増えた。そうか、居場所づくりや友人のつくりかたってこうやるんだっていうのを久しぶりに思い出させてくれたのも大きな収穫だった。

 渋谷なんて用事があっても行きたくないぐらいに好きじゃない街だったのに、推しに会えるという原動力だけで週に2日も3日も行くようになった。あんな人の吹き溜まりみたいな街、推しに会えなきゃ絶対に行かないのに。
あばたもえくぼじゃないけれど、そうやって好きなグループや推しと結びついた街は、それ以前よりも少しだけ僕に優しい街になったような気がした。

2つのグループ

 僕は突如として、いや突如というのは適切ではない。なるべくして今年の6月から地下アイドル(ライブアイドル)界隈に身を投じた訳ですが、主に2つのグループに軸足を置いて現場を行き来していた。
既述のとおり、1つがぜんぶ君のせいだ。というグループ。
もう1つがアンスリュームというグループ。

 この2グループの現場を飽きずに上手く両立してこれたのは、それぞれのグループのカラーや方向性であったり、ファン層や運営の方針が似ていなかった。というのが大きいと思っている。他にも、対バンで被ることがまず無いというのも大きな要因だった。

主軸をアンスリュームに置いて現場を回っていて、ひと月に10現場を越えてくると単独ライブであれ対バンであれ、さすがに若干食傷気味になってくるのは否めない。

 そういう時に、客層も現場の雰囲気もまったく違うし、音楽の方向性も違うぜんぶ君のせいだ。の現場に足を運ぶと、純粋にライブ、音楽を楽しめるし気分的にもリフレッシュできるということが最近だんだんと実感できてきた。

もとちか襲生誕祭DAY2

 そうやって、自分にとって丁度良い湯加減を模索しながらの半年間だったのかもしれない。
普段の現場プラス遠征が挟まったりするとさすがに体力的にキツくて、ふと気づくと移動中に「俺、大丈夫か?無理してないか?」と自問自答している自分もいた。

 いまこの瞬間に自分が選択している行動が果たして己の自由意志によって選択され、それを真にじぶんが望んでいるのか?ということをどうしても一歩引いて考えてしまう。ライブ中であっても、特典会列に並んでいるときでもだ。
「無理していないか?」は換言すると「それは本当に己の自由意思に立脚していることなのか?」である。
正直めんどくさい性格だし、そんな事考えない方が楽しめるとも思う。

「無理していないか?」と「楽しめてる?」と「義務感感じてない?」が僕の脳裏にふっと沸いては消え沸いては消えて、でも結局推しに会えると一時的にその悩みはどこかへ消えてゆく。

 こんな風に一歩一歩自分の気持ちの石橋を叩いてみたり、こうしてnoteに記事を書きながらその時その時の気持ちを俯瞰して文字に起し客観的に眺める事でブレーキをかけたくなるのは、もともとの面倒臭い性格に輪をかける様に、年齢を重ねて臆病になってきたからなのかもしれない。


僕にとってのアイドルとは


 僕は別に推しに対して病んだりするっていうタイプではないし、アイドル側から推されてる干されてるとか正直どうでもいいとさえ思っている。
そして、アイドル(偶像)を演じているその先にある一個人にもそんなに興味が沸かない方だとも思う。
只ステージで輝いて僕らを常に照らしてくれている、アイドル(偶像)とは根本的にそういう上位概念であり、そうあり続けてくれるプロ意識を持ったアイドルが好きだ。
そんな神みたいな存在と1分少々直に話ができるっていうだけでそれこそ神がかっている。2000円程度払えばブッダやキリストと直に話せて悩みを聞いてくれる。そんなイメージ。

女神と対話できる券

 だから、無差別に、無条件に尊い。崇めているこちら側が病む要素なんて皆無なんですよ。ああっ女神様っ!な訳なんです。
実際特典会の時とか咄嗟に口から「ありがとうございますっ!」とか言ってるしね。向こうはキョトンとしてますけども。
そう、推しの事で病まないメンタリティなのは、きっとアイドルに返報性を変に求めていないからなのかもしれない。



 今年の9月の頭にアンスリュームの札幌ツアーがあり、ツアーそのものは2日間の日程だったのですが、それ以外にも札幌でやりたいことがあり正味4日間ほど札幌に滞在していました。

 そのツアーに向かう直前ぐらいに、お付き合いしていた女性に本当にいや~なフラれ方をして、酷くメンタルを削られている中での遠征でした。
本当に嫌なフラれ方をして、また女性不振がぶり返すんじゃないかっていう時に、2日間ライブを見て特典会で推しと他愛の無い話しをしてメンタルをなんとかつなぎ留めていました。

 つまり僕にとってアイドルは本当に有難い存在だし、そうやって短時間であれ女性と話をすることでメンタルアウトしない為の処方箋でもあり、最低限の社会性を保つセーフティーネットでもあり続けたわけです。

かさねちゃんからのおくすり

 上述のような角度からアイドルをみると、やはり僕にとってアイドルとは神仏に近い存在だと思う。たとえそれが距離の近いといわれる地下アイドルであってもだ。
別に全能感や現世利益を期待しているわけではなくて、ただそこに在りつづけてくれていて、常に僕らの様なファンを見ていてくれていると感じることができる存在
大事なことだからもう一度言う。いつも見ていてくれていると感じることができる存在。要は「大切なファンの事をいつも見ているから、悪い事しちゃだめだよ」です。社会道徳にも通ずるわけです。

 これは以前から常々感じていたことでもあって、それはやはり、ああっ女神様っ!という一文に集約できる。
そしてこのいつも見ていてくれている存在という在り方が、僕が持っているアイドル観の根幹に設定されているのは疑いのないところです。

 

2022年へ向けて

 今年は僕が推し続けているアンスリュームの黒木いろちゃんの卒業。そして同じくアンスリュームのメンバー、天神・大天使・閻魔ちゃんのライバルグループへの移籍という節目を3月に控えている。

 現体制ラストのライブが行われるKT Zepp Yokohama3月17日を境に僕自身どいういう身の振り方をするのかまだはっきりと見えているわけではない。
大前提としてアンスリュームというグループそのものや楽曲自体が好きなので、頻度は落ちようともアンスの現場に足を運ぶんだろうなという朧げな見通しがかすかに見えているだけだ。

黒木いろちゃん

 3月17日を境にこれまで熱心に信奉してきた対象(偶像)が忽然とこの世から消えてしまうというのは想像しただけでも恐ろしいことで、今は正直あまり考えたくないというのが本音なところです。

 一方のぜんぶ君のせいだ。は、もっとライブを観たいという気持ちは常にあり続けているし、僕が推しているもとちか襲ちゃんはもちろんのこと、他メンバーとも話してみたいという想いが最初の頃より確実に高まってきている。

 他にも、今年対バンやフェスで観たアイドルグループの中で気になっているグループ。まだ現場では観れていないけれど気になっているグループも幾つかある。

 こうしたいくつかのアイドルグループを上手に渡り歩きながらも、2022年は少し軸足を自分の生活に戻していきたいという気持ちがふつふつと沸いている。

 2021年はあまりにも地下アイドルに時間とお金を費やし過ぎて、自分自身にそれらを投資し成長するという機会をほぼ失ってしまっているのは隠しがたい事実で、そのあたりとの折り合いをどう付けて生活のバランスをとっていくのかは、この年末年始で少し真剣に考えなきゃと思っている。
(と、いいつつもほぼ条件反射的に盲目的にアンスのチケットをガンガン叩いている。これが傾向性の恐ろしさよ・・・。)

 というように3月17日以降のソフトランディング先を考えつつも、複数の事を同時並行してやるのが苦手なこともあり、急にパタリと他界してしまう危険性も少なからずあり、それも含めていざそのときに自分の目の前にどういった景色が広がっているのかは怖くもあり楽しみでもある。

 というわけで駆け足で2021年を振り返るでした。というてもほぼほぼアイドルとはみたいな内容になってしもた...。
2022年もゆるゆると記事を書いていこうと思っておりますので、お付き合い頂けたら幸いです。

みなさま良いお年を。

たこまりね

#2021年の出会い #振り返りnote


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