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C;ON【シーオン】"STOR;ES"~東京公演 ファイナル~(2部) 2023/12/03【ライブメモ】

先日初めてC;ON【シーオン】のライブに行ってきました。前々から友人にオススメされていたので、満を持してといったところ。

行ってきたのは「全国"完全無料"ワンマン&New Album"STOR;ES"ツアー -plus;one- vol.2」というレコ発全国ツアーの東京公演ファイナル。

今日の東京ファイナルまでに、11月9日の栃木HEVENS ROCKを皮切りに、群馬、岐阜、愛知、大阪、広島、鹿児島、福岡、宮城と全て完全無料のワンマンを行ってきている。無料で周るような規模感じゃない笑

C;ON【シーオン】は普段僕が行っている地下アイドル界隈とは結構毛色が違っていて、楽器を演奏するメンバーがいる。

しかも、よくあるガールズバンドの様な形態ではなく、管楽器2人,鍵盤1人、ボーカル2人というメンバー構成だ。

ライブの2週間ぐらい前に友人から今回のアルバムツアーの表題になっている新アルバム『STOR;ES』を貰って聴いてみて思ったのは、ジャジー(jazzy)ではあるけれど普段聴いているアイドル楽曲からとてつもなくかけ離れたものかというと、決してそんなことは無い。

鍵盤の音も管楽器の音色もアイドル楽曲ではよく耳にする音だし、むしろシーオンの音楽は日常生活のどんなシーンにも溶け込める音楽で、作業中でも、散歩している時や電車の中、家事をしている時どんな場面でも邪魔をせず心地よい音楽を耳に届けてくれる。そんな印象だし、アルバムとしての完成度がとても高い。


セットリスト的なやつ

ライブの構成は今回の新アルバムの曲順そのままでステージが進みました。

途中途中でMCが入ったり、告知や記念撮影の時間があるもののアルバムの収録順どおりの流れだった。

MCのときに、今回のアルバムは曲順に拘って考え抜いて作ったと語っていたし、そんなアルバムから飛び出してきた私たちを楽しんで欲しいと言っていたのですが、まさにそんな完成度の高いライブでした。

ライブメモ

今回行った会場は有楽町マリオンの7Fにある I'M A SHOW(アイマショウ)というシアターホール。以前はオルタナティブシアターという名前で運営されていて、2022年に I'M A SHOW(アイマショウ)へと改修されたようだ。

エントランスやバーカウンターはどこかオーセンティックレトロな雰囲気の印象もあって、今日は人でごった返していたけれど人が少なければとても落ち着ける環境なんじゃないだろうか。

ホール内はゆったりとした座席が並んでいて、前方席から後方席にかけてしっかりと傾斜が付いているのでどの位置からでも前の人が視界に入りづらい造りになっていてステージが良く見える。

友人らと僕はホール最後方にあるPA卓のすぐ目の前の席に座った。とても見晴らしが良くて、まるでこれから演劇でも始まるんじゃないかといった印象を受けた。

オープニングはステージが暗転しスモークがもくもく焚かれてライブの幕が上がった。楽曲はアルバムで聴いてはいたけれど、初めてみるライブだったからメンバーがどんな登場をするのかとか生で見るメンバーはどんな雰囲気をしているのかなとかどんな衣装なんだろうとか、いろんな期待感を抱きながらステージを眺めていた。

1曲目『It's Wonderland』、サックスとユーフォニアムの出音がホールに響いた時点でもう、来てよかったなって思ってしまった。生の楽器演奏ってやっぱ良いんですよね。特に管楽器の生の音なんて久しく聴いていなかったのでちょっと背筋がゾクゾクっとするぐらい響いてしまった。


2曲目の『Last Order』になって、さっきまでユーフォニアムを演奏していた方がいつの間にかトランペット(バストランペット)に持ち替えていて、この人は色々吹ける人なんだなとこの時わかった。

そして、トランペットを演奏している聖奈さんが所々移動しながらターンをするのですが、なんでしょうね、トランペットを演奏しながらクルクルと回っている聖奈さんを見ているとスウィングを彷彿とさせるし、そのターンしている姿がとてもダイナミックかつ綺麗で、ターンする度に視線を奪われてしまいました。

ステージの青い照明も曲に合っていてとても綺麗でした。

3曲目『Now or Never』で聖奈さんはユーフォニアムに持ち替え、更にステージ中央でキーボードを弾いていた杏実さんが、脇に立てかけてあったでっかいショルダーキーボードを肩から掛けて前に出てくる。

たぶんこのポストに写っているショルダーキーボードだと思うんですけど、この長さと厚みのあるキーボードをノリノリで弾いてる姿が黒い衣装とのコントラストも相まって格好良かったっす。

ショルダーキーボードって近年だとバンドリのキャラで見かけますけど、僕の中ではマクロス7のレイのイメージで止まっていたので、今日ショルダーキーボードのイメージが杏実さんで上書きされた瞬間でもあります。


ここまでダンサブルなノリから少しジャジーな雰囲気に転換しての4曲目『あなたのせい』。ボーカルの2人(しおんさん絹井愛佳さん)がとにかく声が力強くて良く伸びる。

4曲を終えたところでMCを挟んで5曲目『go for the "TOP"』。

この『go for the "TOP"』は、出だしに楽器メンバー3人だけの見せ場があって、これがアイドルのライブなのかと思うほどおしゃれな演出だったし、黒色のドレッシーな衣装に管楽器のゴールドとシルバーがキラキラと反射して綺麗でした。

『go for the "TOP"』っていう曲名にこれからのシーオンの決意が込められている感じも良いですよね。

6曲目『Addiction』、前曲の『go for the "TOP"』とは対象的にボーカルの2人(しおんさん絹井愛佳さん)を存分に堪能できる曲でした。このパワフルなボーカルにまさにaddictしてしまいそうな楽曲。ステージ照明も各メンバーカラーが当たっていてカラフルで綺麗でした。

7曲目の『MagiC!on…』だったかな、メンバーソロパートでメンバーを紹介するところがあったり、これぞライブっていうライブを見ているな~と思ったし、こういう演出もっとやった方がいいよなって普段自分が行っているライブを思い出しながら考えていました。

8曲目『疑事無功』(ぎじむこう)では、聖奈さんがまたトランペットに持ち替え。この辺から聖奈さんばっかり見ていた気がする。

今日初めて観たから他と比較が出来ないのだけれど、ここ"I'M A SHOW"のホール環境が良いのか出音のセッティングが良いのか、トランペットの音もサックスの音も気持ちよく響くし残響が綺麗だった。もしかしたら僕が観ていたPA卓のすぐ前の位置が良かったのかもしれないし、単純に聖奈さんと佳子さんの演奏が素晴らしかったからなのかもしれない。

8曲目の後、ここでMCというかちょっとした新曲ちょい見せコーナーがあり、ピアノの杏実さんがノリノリで新曲の触りの部分を弾いていた。メンバーとの掛け合いもあり、杏実さんってお茶目な人なんだなと思った。

MC明け9曲目『曖昧≠Libido』では、ピアノソロから静かに始まり、ユーフォ→サックスとフォーカスが移る。その後ピンスポットの下でボーカルの2人(しおんさん絹井愛佳さん)がしっとりと歌い上げている姿が印象的だった。

10曲目の『C;ON's Love Call』は9曲目とは打って変わってダンサブルなナンバー。

この『C;ON's Love Call』のとき、ユーフォニアムを抱えている聖奈さんに当たっている照明が左腕の陰影を綺麗に捉えていた。

まるで大切な我が子を抱きかかえているかのようなその左腕の綺麗でしなやかな筋肉にどうしても目がいってしまうし、デッカイ楽器を巧みに操るその姿はとても美しかった。

相棒のような我が子のようなその大事なユーフォニアムを支えるために発達した左腕の上腕二頭筋や三頭筋の綺麗さがステージライトを浴びて綺麗なラインを浮かび上がらせている。僕はその聖奈さんのその左腕にミュージシャンとしてのこれまでの集積を感じたのかもしれない。


11曲目『鼓動PARADE』

ステージ上でクラップを煽ると会場は今日一番の盛り上がりを見せた。

僕はアルバム音源でこの曲を聴いていた時の印象は、良い曲なんだけどどこかスッキリと喉越しが良すぎてあまり引っかかりの無い曲という印象だったんだけれど、今日実際に会場で聴いて、今回のアルバム『STOR;ES』のなかで一番好きな曲になったかもしれない。

ライブを観終えた後、改めて音源を聴くと余計に物足りなさを感じてしまうぐらい、今日の会場で聴いた『鼓動PARADE』の音の迫力やバランス、身体に響いてくる臨場感といったものは(会場の雰囲気加点を差っ引いても)素晴らしいものだった。


『鼓動PARADE』の後のMCで、ホールを埋め尽くしている満員のファンに向けて「2024年絶対に売れます!」って宣言した場面、良かったですよね。あれだけのファンを目の前にして言葉にするのって勇気がいることだと思うし、言ったからにはそれだけの覚悟があるんだろうなっていうのが伝わってきました。

ラスト12曲目は『灯』、メンバーひとりひとりにピンスポットが降りた中で静かに曲が始まって、落ちサビでマイクオフのアカペラ歌唱。あの瞬間全ての神経がステージ上のしおんさん絹井愛佳さんに注がれ、静かに見守るように独唱を聴いていました。

このアカペラのシーンはシンプルにプリミティブに音楽を浴びてるなって思った場面でした。

『灯』が終わったあとのスタンディングオベーション、そりゃこんな素晴らしいライブ見せられたら大賛辞を送らない訳がない。

この後、記念撮影やMCや告知があってトリにもう一度『Last Order』を披露して全ての演目が終わりました。満足感マシマシな約90分のライブでした。楽しかった。

そうそう、告知でBillboard Live 横浜でのライブが決定しましたね。

ビルボードに出るってこれ本当に凄いことだと思うし、めちゃくちゃシーオンはハマる会場だと思うんですよね。

終演後メンバーのポスト

しおんさん(ボーカル)

絹井愛佳(ボーカル)

石橋佳子(サックス)

聖奈さん(ユーフォニアム&バストランペット&バルブトロンボーン)

杏実さん(ピアノ)


ライブを観終えて

ライブの途中からユーフォニアム担当の聖奈さんばっかり観てしまっていて、後半から他のメンバーの動きをあまり見れていなかったのが少し心残りでした。

初見でメンバーが5人もいたらどうしたって偏りがちなのはしょうがないかなと思いつつも、時間が許せば1部も観ておけば良かったなって思います。

さて、普段アイドル現場に行かないような人たちはシーオンの対バンイベントを通して他のライブアイドルを知る切っ掛けになっているだろうし、逆も然りでたまたま対バンでシーオンを見てそこからジャズやビッグバンド等のブラックミュージックにルーツを持つ方面に足を踏み入れるキッカケにもなっているんじゃないだろうか。そういう意味でシーオンの立ち位置や果たしている役割・意義はかなり大きいと思う。

現状のライブアイドル界隈はどうしたってポップス、ロック、EDM系が大半を締めている状況(あくまで僕の体感です)で、シーオンのようなジャンルが頑張っているのは凄く希望が持てる。それに、昨今叫ばれているライブアイドル市場の先細りに対し、一筋の光明が差すのはメジャー層にも間口が広いこうしたグループなんじゃないかとさえ思ってしまう。

少し横道に逸れますが、そうしたライブアイドル界隈ではマイノリティな音楽ジャンルをコンセプトにしているという視点で界隈を見ると、SKAをコンセプトにして名古屋地区で精力的に頑張っているNO♡AFというアイドルグループにも僕は常々密かな期待を寄せている(あまり東京に遠征してくれないのでまだ現場で観れていないのが悔しい)。

最近のライブアイドル市場

ライブアイドル界隈におけるマイナージャンルに頑張って欲しいという反面、最近のこの界隈の閉塞感と堕落っぷりは目を覆いたくなる事が確実に増えてきた。明らかな衰退が目に見えてきた。

日々スキャンダルまみれで下品で到底アイドルとは呼べないような似非アイドルがTLを跋扈しているところに時間とお金を掛けるぐらいなら、プロ意識がしっかりしていて上昇志向もあり、ライブも満足度が高くて音楽の素地や技術が高いシーオンのようなアイドルに時間もお金も使いたくなるのは、賢明なファンであるならば遅かれ早かれ必然な流れではないだろうか。

もっと言うと、今僕が通っている大体¥2,500~4,000ぐらいの地下アイドルライブを3回ぐらい行くのを止めれば(チェキ代や交通費諸々も含めて)そのお金でもっと上質な音楽を聴きに行けるんだよな~っていうのを今日改めて気付かされたし、考えさせられてしまった。

仮に、今日のライブだって会場の規模やセットリストの内容、演出、ライブのクオリティを一般的な国内アーティストのものと比べてみた場合、一般席で¥8,000程度は取れるだろうし、前方席に至っては¥20,000~50,000ぐらいの設定はあっても全然おかしくない(あくまで僕の観測範囲内の体感で)と思う。

そうなると、普段シーオンが出演している対バンライブや単独ライブの価格設定はかなり割安でバグっているとさえ感じてしまう安さだ。


アイドルのライブに求めるものとか

話を戻そう。今日のシーオンのライブが楽しかったのは間違いない。けれども、じゃあ普段僕が通っているアイドルのライブって何なんだろう、何のために通っているんだろうか…どうしたって比べてしまう。

いつも通っているライブで今日のようなスタンディングオベーションなんて起きたことがあっただろうか。終演後にチェキを取らずに演者と交流をしないでこれだけの充足感をもって意気揚々と会場を後に出来るライブに年間どれだけ出会えているだろうか。

普段のライブだって楽しいし、ペンライトを振って気持ちが高まればコールもするしジャンプもするし、けれど今日のシーオンのライブの様な満足感をいつも得られているのだろうかと振り返ってしまうと些か足元が覚束なくなってしまう。

以前別の記事で、僕は地下アイドル現場に音楽を聴きにいっているというよりかは応援しているそのアイドルの生き様を観に行っているという趣旨のことを書いた。たぶんこれが正直な気持ちなんだろう。

こうやって自問自答してしまうぐらい今日のシーオンの音楽は満足度が高かったし、久しぶりにちゃんと音楽に触れたとさえ思ったし、やっぱり生の演奏は良いよ。

僕はピアノ演奏や管楽器演奏の善し悪しやテクニックとかは全く分からないので、細かい感想を書くだけの知識がないのですが、それでも楽しかったし心地良い音色だったし気持ちの良い空間でした。

単純に生演奏の生っぽさや臨場感はやっぱり良いし、久しぶりにクラシックコンサートに行って色んな楽器の音を聴きたくなりました。

結論:生は良いし、聖奈さんの楽器捌きと演奏と筋肉に乾杯!


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