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【ライブメモ】ラナキュラ1st ワンマンライブ『異世界しみゅれ〜しょん』 @ 池袋harevutai 2023/10/07


epilogue

朝晩はだいぶ冬めいてきて気がつけば今年も残り3ヶ月を切っている。変化の乏しい毎日を繰り返していると、季節を感じるタイミングなんて周囲の服装とコンビニの新商品パッケージが知らせてくれるぐらいなもの。

何かを信じてそれに向かって経験値を積み上げていくというのは決してゲームの中だけの話しではなくって、遍く実社会においても日々繰り広げられている。

目標へ向かう道程の遠近や越えなきゃいけないハードルの高さは違えども、皆何かしらのロールを演じているプレイヤーで、そのロール(役割)に応じた経験値を日々積み重ねている。

明日に迫っているワンマンライブの電子チケット画面をから目を離し、車窓から見える景色をおぼろげに眺めて、そういえばいつの間にか日が落ちるのが早くなったなあと独りごちる。

雨の日の嫌気が差す様な満員電車も、アメリカンコーヒーを更に薄めた様な怠惰なZoom会議も、プライドばかり高くて何も出来ない上司の尻拭いもやっぱりそれは今僕が抱えているロール(役割)で、目指すゴールへ近づいている、と信じていたい。つまるところ、現状に少しでも希望を見出しているから未だその役割を降りずに演じ続けているのだろう。


ここまで決して綺麗なレールの上だけを走り続けてきたわけじゃないけれど、この先に”幸せ”というエンドコンテンツがあると信じてレールの上を走り続けてきた。

レールの終端が見えて、これで報われる!そう思った矢先、実はまだ先の先までレールが延々と用意され勝手に充てがわれていた。

幸せ?

乗っていた電車を降り、乗換ホームへとつづくエレベーターに足を掛ける。

本当は途中に幾つもの分岐ポイントがあって幾筋ものレールが延びていた筈なのに、選択肢に目を向けることすら忘れるほど無味乾燥でお決まりのクソテンプレートな日々、もう飽きた…。

こんな人生のどこに倒すべきボスや救わなきゃいけないお姫様がいるんだろう…。

耳にかけたイヤホンからは、いつの間にか「勧善懲悪シンセサイザー」という楽曲が、”経験はやがて道となる 努力は必ず報われないことはないんだぜ!”と歌っていた。

”ダサくたっていいんだ突き進め 後先なんて後でいい”って言うけれど、これっぽっちの食い扶持と引き換えに日々人生のなにか大切なものを失っていっているような気がする。

乗り換えホームはちょうど電車が発車したばかりのようで、どこか物悲しく隣の上りホームのアナウンスだけが響いていた。

家庭を持った同僚たちとたまに飲みに行けば愚痴という体裁の、家庭という鎖に繋がれた首輪自慢ばかりを聞かされる。

幸せってなんだろう…。

最寄り駅行きの電車が到着するまでまだ5分ほど時間があったので、ベンチに腰を降ろして携帯の画面を開くとそこにはいつもと変わらない彼女の笑顔があった。


今夜は寄り道しないで、早く帰って明日の準備しなきゃな。


公演概要

ラナキュラ1st ワンマンライブ『異世界しみゅれ〜しょん』

■日時 2023年10月07日土曜日
■会場 未来型ライブ劇場 “harevutai”
■時間 OPEN 18:00 / START 18:45
■料金 ・S¥6,000・A¥2,000 ・B(招待TICKET)¥1,000 ※それぞれ+1D
■公演 ラナキュラ1st ワンマンライブ『異世界しみゅれ〜しょん』
■出演 ラナキュラ百瀬 あぐり仲原 楓海村神 笑愛三真 るいあみ乃黒木いろ
■その他 ※チケット完売の為、当日券の販売は無し。


ライブメモ

ライブ当日

ラナキュラ1st ワンマンライブ『異世界しみゅれ〜しょん』、行ってきました。

今日の会場、池袋のharevutaiの前には既に沢山のファンが詰めかけていて、お祭りが始まる前の雰囲気に少し似ている。

未来型ライブ劇場 “harevutai”

メンバーがこれまでコツコツと日々積み上げてきたモノが発揮される日、まさにharevutai(晴れ舞台)となりました。

僕は開演前の事前物販から会場に居て、この日販売が始まったペンライトやTシャツを買い込んで今か今かと開場時間を待っていました。

日が暮れ始めた頃、入場列が作られいよいよharevutaiのフロアへと入っていきました。

今夜この場に集った全ての人たちで創り上げる1つの壮大なシミュレーション、ラナキュラが紡ぐ異世界しみゅれ~しょんへ一緒に旅立とう!


前半

フロアは詰めかけたファンであっという間に超満員でした。

ライブはのっけから物語(ストーリー)を感じさせる演出で幕が上がった。

ステージ上に掛けられたスクリーンには「えんどれす・しみゅれ~しょん!」のMV撮影風景が映し出され、オールアップしたメンバーたちが書斎の様な部屋で1冊の本を開いて物語が動き出す。

王道のシチュエーションだけれど、ピコリモードから踏襲されているコンセプトに沿った仕上がりだし、ライブの前フリとしては綺麗。そして、こういう演出が入ることによってこの先の仕掛けにも期待感が増しました。と、同時に僕は「地球儀になりたい!」という言葉が無意識に口を衝いて出た(いろちゃんが地球儀を抱えていたので!)。

これまでセットリストの最後にクレジットされることが多かった『君と星のディスカバリー』がいきなり1曲目に披露されました。

意外な気もしたのですが、出だしの”冒険の旅は今君と始まる”という歌詞にあるように、ライブの頭に持ってきても全然しっくりくる楽曲だと気付かさたし、やっぱり今夜のライブは物語(ストーリー)重視のコンセプトなのかなとも思いました。続いて『似合わない勇者』と続いて最初のMCへ。

MC1

MCの三ちゃんが「sold outありがとうございます!」とお礼を言うと、フロアは割れんばかりの歓声でした。メンバー皆もホッとしたような安堵の表情を浮かべていました。

あぐりちゃん(百瀬あぐり)の「きょうもいちにち〜がんば〜…」→「「あぐあぐー!」」も大成功でした。

中盤

中盤戦はこの夏のラナキュラの勢いを象徴するようなサマーチューン、『Candy Summer』から。

『Candy Summer』→『エビデイあけおめ!』→『ストロベリーソルト』→『勧善懲悪シンセサイザー』と、目まぐるしく青・赤・ピンク・青とシーンが転換するし、季節も真夏から冬(正月)へと急転直下。ラナキュラの楽しさをギュッと濃縮させたような4曲連続のラナキュラらしいパフォーマンスでした。

『エビデイあけおめ!』以外はグループ後発曲でラナキュラになってからのもの。3曲とも粒ぞろいの良曲だし、セットリストのバリエーションが増えてきたなって実感できたのもこの頃。そして何よりも今夏NATSUZOME2023の大躍進を支えつつ、メンバーの経験値を飛躍的に伸ばした曲たちともいえるだろう。

フロアの盛り上がりも凄かったし、メンバー皆とびっきりに輝いていて、6人が6人それぞれの個性がステージ上で弾けているようなそんなキラッキラ全開な中盤戦でした。

そんなキラッキラな彼女たちを引き立たせる照明の色や当たりかた、ステージ奥のスクリーンや、フロアで煌めくペンライトから何から全ての光源が彼女たち6人を引き立て、美しく照らしていました。


楽曲の方はというと、この中盤セクションどの曲も良いんだけれど、『ストロベリーソルト』の間奏区間でクラップだけの状態から徐々に低音が入っていって、ブレイク明けからメンバーターン→ギターソロのところとか前からめっちゃ好きです。

他にも『勧善懲悪シンセサイザー』なんて歌詞格好良いし、ジャンプのときの一体感と高揚感は抜群。

歌詞が格好良いって漠然とした批評なので1部分摘むとですね、Cメロのところかな、「努力は必ず報われないことはないんだぜ!」っていう あみ乃ちゃんパートの歌詞があるんです。

この部分の”報われないことはない”っていう2重否定文にしているレトリックがおしゃれだし、この言い回しにすることで歌詞に登場する主人公(勇者)に人格とリアリティ(親近感)を与えていると思うんですね。

否定に否定を重ねることで、主人公(勇者)の”優柔不断さ”や”それでも立ち向かう強さ”みたいなものを僕はこのCメロから感じとれて、この1文だけで『勧善懲悪シンセサイザー』の解像度が上がったし、より魅力的に聴こえるようになりました。

もちろん以前からRAPに定評のある? いろちゃん(黒木いろ)のRAPパートも大好きです。

しかもこの「努力は必ず報われないことはないんだぜ!」っていう歌詞は今日聴くと格別のものがありました。だって、まさに今日のことを歌っているみたいじゃないですか。


MC2

MCの中で、チケットは完売したけどガラガラだったらどうしようと心配していて、ライブが始まる前モニターでフロアを見ていたそうです。

最後に感想を振られた笑愛ちゃんが、

「もっとキラキラになれるように毎日シミュレーションするんだ!」
という完璧な曲振りで後半戦が始まりました。

後半

いよいよ最新曲『えんどれす・しみゅれ~しょん!』のお披露目。

『えんどれす・しみゅれ~しょん』はMVがワンマンの数日前から公式X(旧Twitter)で先行して一部公開されていたこともあって、イントロではしっかりMIXが入って初披露とは思えないぐらいの盛り上がりと一体感がありました。

今思えば、『えんどれす・しみゅれ~しょん!』のライティングは水色や青色が多く使われていた気がするので、この後の新衣装のイメージを見越した演出だったのかなと思います。

ようやく楽曲をフルで聴けたのですが、先行公開されていたMVのイメージ通り、さわやかで可愛いが散りばめられていて、今のラナキュラのイメージにぴったりの楽曲だなという印象でした。

振り付けももっと細かく見ていくと、きっとメンバー毎に可愛い仕草や見どころが沢山あるような気がしていて、これからライブでそういうのをいくつも見つけていくのが楽しみです。


そして待ちに待った『えんどれす・しみゅれ~しょん!』のMVがフルで公開されました。

先行公開されていたMVに更に新衣装を来てスタジオ収録しているシーンがたっぷりと追加されていて、とってもキュートな仕上がりになっていました。

きゅるっきゅるに”可愛い”が詰め込まれていて見どころも沢山で、毎日何回もリピートして見てしまっていて非常に困っています。

続いてのセクションが個人的にはアンコールの次に印象的だった2曲、『フーダニット(intro long)』と『ユビキリゲーム』です。

『えんどれす・しみゅれ~しょん!』のキュートな雰囲気から一転し、『フーダニット』のイントロが流れバックVJもダークな画面に切り替わる。

この『フーダニット』、通常だと16拍のイントロ後に「さあ探ってマーダーミステリー!」と始まるところを、イントロを伸ばしに伸ばしてたっぷりとワクワク感・ドキドキ感を煽る仕様になっていました。バックVJや照明の効果も抜群でめちゃくちゃ格好良かったです。

今日のミステリアスでアダルトな演出どおりにカッコよくパフォーマンスできてしまうぐらいに、ブラッシュアップしてグループとしてしっかり経験値を積んでレベルアップ出来ていたのではないでしょうか。

グループ全体としてもメンバー毎にみても、経験値が積み上がっていることを実感できた部分でした。この2曲の演出は大成功とみて良いし、ファンの記憶にもしっかり印象付けた2曲だったはずです。

『フーダニット(intro long)』と『ユビキリゲーム』の演出は、今日限りの特別感があって、とても貴重なものを逃さず観れて本当に良かったです。

それに、上にも書いたようにメンバーの成長がちゃんと見て取れて今までで一番格好良かった。いろちゃん格好良かったよ!

そして最後は『嘘恋メモリアル』でフィナーレを迎えました。めちゃくちゃ盛り上がったし、本当にあっという間に駆け抜けた感が凄かった。

ラナキュラ色が全面に出ていた中盤セクションとは一変して、この終盤セクションは(えんどれす・しみゅれ~しょんも含め)ピコリモード色の強い構成・演出だった様に感じました。

アンコール

『君と星のディスカバリー(Rearrange)』、びっくりしましたこれは。出だしのソローパート、しっとりとでも力強く気持ちよく伸びる あみ乃ちゃんのボーカルが素晴らしかったです。耳が幸せになっちゃいました。

その後の銀テ演出も感動しました…。定番の特殊効果って言っちゃえばそうなんですけど、出すべきポイントでちゃんとやれば効果的にライブを演出するんだな~と。

出だしのあみ乃ちゃんのソロパートを”静”とすると、”動”へと緩急が切り替わるポイントでの銀テ砲…。みごとに感動してしまいました。やっぱり綺麗ですよねー。

今夜の『君と星のディスカバリー』は、フロアのMIXもステージ上のボーカルもちょっと掛かっちゃてるんじゃないのかなって思ってしまうぐらい演者とファン皆で作り上げている、そんなフロアとの一体感があったように感じました。

そして遂に大トリの『青と夢追のメロディ』へと入ってくのですが、まずイントロが流れ始めた場面で、真新しい水色の衣装とこのイントロのイメージがバチッ!と綺麗に重なった。

まるで今夜ここまでの演出全てがこの場面への道標としてシミュレーションし尽くされたかの様に、それはパズルのピース(要素)が埋まっていく様な気持ちよさでした。

あたかもRPGのエンドロールを眺めているように、ピコリモードのローンチから完成版ラナキュラへ、そして夏を経てこれまでこの6人が積み重ねてきた経験や努力の結実。

メンバーそれぞれの想い、ファンの想い、1つ1つは細い糸の集積が今この場で歌を紡ぐそのリズムに乗せて全て撚り合わさって1本の太い強固な糸へと姿を変えていくのを目の当たりにしていたのかもしれない。

ラナキュラの6人だから創れた、汗と涙がたっぷり織り込まれた1stワンマンライブでした。

”悔しさの夜や語り合った朝 何一つとして無駄なんてない”

焦りや悔しさも、

”私のこと見つけてくれてありがとう”

そう思えたならば、

”もしも時を戻せたら何か変わるのかな”

なんて思わずに前だけを向いて輝き続けていて欲しい。

セットリスト

M00 SE
M01 君と星のディスカバリー
M02 似合わない勇者
MC1
M03 Candy Summer
M04 エビデイあけおめ!
M05 ストロベリーソルト
M06 勧善懲悪シンセサイザー
MC2
M07 えんどれす・しみゅれ~しょん!
M08 フーダニット(intro long)
M09 ユビキリゲーム
M10 嘘恋メモリアル
END MC 
EN-01 君と星のディスカバリー(Rearrange)
EN-02 青と夢追のメロディ
END MC

『異世界しみゅれ〜しょん』setlist

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。来年2月27日に開催が決まっている1周年記念の2ndワンマンライブも今からとても楽しみです。


アフタートーク

というわけで恒例?のアフタートークに移りたいと思うのですが、なかなかあの夜の余韻が抜けませんでした。軽率に他のライブを観に行ってしまって、この素晴らしいワンマンの余韻が上書きされてしまうのが勿体無いと思ってしまうぐらい完成度の高い1stワンマンライブでした。

今のこの6人だからこそ成功できたワンマンだったと思うし、このグループはまだまだポテンシャルを秘めているなと感じさせてくれる素晴らしいライブだったと思います。


after allさん

この日、『嘘恋メモリアル』、『君と星のディスカバリー』そして『青と夢追のメロディ』という素晴らしい楽曲を手掛けたafter allさんが会場にいらっしゃっていたのはご本人もポストしていたとおり。

僕、実は前日の10/6日もafter allさんと同じ会場で同じライブを観ていました。

この日お披露目だった Piuuuu(ピウ)というアイドルグループの持ち曲は今のところafter allさんが一手に手掛けていて(オリ曲、MAKE楽曲、キャンzoo楽曲)、偶然とはいえ今年はafter allさんの楽曲に触れる機会がとても多く、なにか不思議なご縁を感じていました。

今日のセットリストも1曲目が『君と星のディスカバリー』で『嘘恋メモリアル』で締めて、アンコールラストも『青と夢追のメロディ』でフィナーレという、”after all楽曲”に肩までどっぷり浸かることができた、とても濃密な二日間でした。

これからも心を震わせる素晴らしい楽曲を世に送り出し続けていって欲しいです。

新衣装

そして新衣装、凄く良かったです。いろちゃんが新衣装で登場した場面、harevutaiに天使が降臨したのかと思いました。あまりにも神々しくて。
僕が今際の際に見るのはこの光景がいい、そして綿毛のように枕元にそっと降りてきて、「頑張ったねお疲れ様、ゆっくり休んでいいよ」って耳元で囁かれてから昇天したい。と、直感的に思ってしまいました。それぐらい神々しく、まるで天使を描いている宗教画を眺めているようでした。

黒木いろちゃん

いろちゃん単体の新アーティスト写真、あまりにも構図や写りが良くてポスターサイズに引き伸ばして部屋に飾りたいと思うぐらい良いです!

いろちゃんだけでなく、他のメンバーももれなく意匠が凝っていて似合っていて可愛くて、メンバー全員が青色系統の色が似合うのって結構珍しいなと思いました。

集合した新アーティスト写真の清廉さと瑞々しさ、このままメジャーデビューCDのジャケットに使えるんじゃないかっていうぐらい良い写真。そしてホントみんな可愛いし、どこか風格すら感じさせます。


ふーみんさんのライブレポ

さて、ライブ後に感想や想いなどを各メンバーが発信していましたが、なかでも ふーみんさん(仲原 楓海さん)がInstagramに投稿したライブのレポートが時系列に綺麗にまとまっていて読みやすくて、僕がレポを書くのなんてそれこそ蛇足でしかないだろうと二の足を踏むほど、とっても素晴らしいレポートでした。

僕はどう足掻いてもあくまでファン目線ででしか書くことができないので、演者側視点でこれだけ詳細に1曲1曲1場面毎に振り返ってテキストに起こしてもらえるなんてとても貴重だし、凄く有り難かったです。

ちなみに、このふーみんさんの感想レポですが気になって文字数をカウントしたんですけれど、3,500文字超の大作です。凄いの一言!!

そして、読み易い文体だなとも思ったのでもっとふーみんさんの文章が読みたくなりました。noteっていう便利なサービスがあるのですが、いかがでしょうか。

黒木いろちゃん

話があっち行ったりこっち行ったりで申し訳ないです。せっかくのアフタートークなので、存分に黒木いろちゃんの話しをしたいと思います。

まずやはり、ラナキュラワンマンの3日前の夜のIROFESIONAL配信の事を語らずにはいられないです。

この10月4日、ZeppShinjukuでおこなわれたアンスリュームのワンマンを観て帰宅した いろちゃんがSHOWROOMで配信を始めるわけですけれど、まあ見ていて胸が詰まるというかとても感傷的な気持ちになってしまいました。

でもそれって決してネガティブじゃなくて、アイドルっていう生き方が好きだから、アイドルに真剣だから悔しくなるし涙も出るんだと思いました。

そして、この配信でいろちゃんが話していた内容っていうのは寧ろファンも同じことをずっと感じていたんじゃないかなって思うんです。少なくとも僕はそうでした。

いろちゃんが卒業した後もアンスのライブに通い、いろちゃんが復帰したラナキュラ(ピコリモード)のライブにも足を運ぶようになって、ずっと似たような気持ちを抱いていました。この両方のグループを観ていて、寂しさと悔しさが常に心のなかにありました。

いろちゃんと閻魔ちゃんが抜けて、新メンバーが加入してアンスの新体制が走り初めました。

日に日にライブのクオリティが上がっていくのが見て取れたし、動員も増えて現場が盛り上がっていくのをフロアで直に感じました。大げさではなくアンスのライブパフォーマンスが一つ上の領域に上がったと思いました。

そんなフロアでの肌感と反して、なんでこの場にいろちゃん居ないんだろう、いろちゃんの曲なのになんで居ないんだろう、いろちゃんのパートなのになんで声が聴けないんだろう。ピコリでいろちゃんが復帰するまでそんな気持ちでした。


ピコリモードでいろちゃんが復帰してから、アンス時代と比べてびっくりするぐらいフロアの黄色い色が減っていました。

またいろちゃんに会えて嬉しいけれど、やっぱりファンが離れてしまっていたことが僕は寂しくもあり悔しかったです。

6人のアンスリュームがどんどん大きな会場を埋めていくのを見ていて、もし彼女がまだアンスにいたらどんなだったんだろうって何度も何度も空想しました。

そういうこともひっくるめて覚悟を決めて いろちゃんはカムバックしてきたわけですけれど、そのプレッシャーや不安は相当なんだろうなと感じていたし、それがあの日の夜の配信で溢れてしまったのかなってそう感じました。


そして今夜のこの超満員のラナキュラワンマンライブ、黄色がたくさん見えたんじゃないかなって、そしてラストの『青と夢追のメロディ』で”何一つとして無駄なんてない”って歌うステージ上の いろちゃんを観たとき、IROFESIONAL配信で話していた内容がオーバーラップしました。

このときの彼女の表情を見て、今までの悔しさや後悔を今夜少し取り戻すことが出来たのかなって。

過去に戻ることは出来ないけれど、これからも前を向いてラナキュラで上を目指していこうという、過去を振り切れたような前向きな気持が見て取れた気がしました。

実際に今日のEND MCでも いろちゃん本人がチケットが完売したことに触れて、「何一つ無駄じゃなかったんだなって思えた」と語っていました。

この言葉を聞きながら本当に良かったなってそう思ったし、こういう成功を1つ1つ地道に積み上げていって沢山笑って欲しいなって思いました。

今こうして いろちゃんをまた応援できることがとっても幸せだし、1日でも長くこの日々が続いて欲しいと願っています。ただただ、アイドル黒木いろちゃんの笑顔を1日でも長く見続けたい。

最近は配信やSNS投稿も頑張っていて、つい先日X(旧Twitter)のフォロワーが1万人を突破したりと数字も付いてきていて、だからもっと色んな人に見つかって沢山愛されて好かれていって欲しいです。

そしてまた、まるで月明かりを浴びた夏の夜の菜の花畑みたいな、黄色いペンライトで埋め尽くされたフロアの先に彼女の笑顔を見てみたい。


へこたれても、たとえ挫折したり紆余曲折しながらも、何度でも立ち上がる強さが彼女の持ち味だと思う。

だから、あの夜の悔しさを胸に秘めたままそれをバネにして、泥臭くてもかっこ悪くてもいいから貪欲に1番を狙ってアグレッシブに経験値を積み上げていって欲しいです。

それでも、躓いて転んだなら急がずに歩いて行けばいいし。

そしてこの道の先に目指す夢や願いがあるなら、夢を夢で終わらせないでその手で掴み取って欲しい。

”何一つとして無駄なんてない”

感情を込めて”私のこと見つけてくれてありがとう”と彼女は歌う。

僕は心のなかで「出会ってくれてありがとう」と答える。


endroll

あの夜の感動から1週間、2週間と過ぎ、感動や余韻はどんどん日常へと回収されていってしまっている。

僕はいつもの乗り換えホームのベンチに少しだけ腰を降ろして、微糖の缶コーヒーに口をつけながら、そうした感動の退潮と記憶の熟成を携帯の画面越しに刻み込む。

早く帰って明日の準備をしようと思いながら、携帯のメモアプリに積み上がっているライブのメモを遡って想い出に耽っているうち、乗り換えるはずだった電車をまた何本もやり過ごしてしまっていた。

結局のところ彼女たちもロール(役割)を演じているわけで、なぜそうしているか、それはその役割の先に叶えたい夢や願いがあるからだと思う。

それは僕がいま担っている役割もおなじことで、その先に叶えたい願望や夢があるから。どこか気恥ずかしくて、働かなきゃ生きていけないじゃん、なんていうけれどそれは手段を口実にしているだけで、その先には願いがかならずある。

そんな僕の人生という名のSRPGには 黒木いろちゃん という素晴らしいアイドルがしっかりとAPPENDされていて、この一度きりの人生に彩りを加えてくれている。

逆もそうであって欲しくて、NPCでも背景の山並みでもなんでもいい。彼女がアイドルというロールを演じている間だけでいいから、そこに色を添える1本の黄色い彩りで居続けることができたならば、僕はそれで幸せだ。

イヤホンからは『青と夢追のメロディ』が、まるで隣に寄り添うように”明日は今日よりももっともっと素敵なことがまってるから”と語りかけていた。

あの日のステージで『青と夢追のメロディ』を歌う黒木いろちゃんの姿が強烈にフラッシュバックした。


秋と冬がグラデーションした風がホームを吹き抜ける。

頬を涙が伝っていることに気がついた。

歳のせいかもしれないけれど、彼女と再会してから僕はまた少しだけ涙もろくなったかもしれない。

こんな顔じゃ電車に乗れないし歩いて帰ろうかな。

携帯をポケットにしまいながら立ち上がって少しだけ伸びをする。

手に持ったコーヒーの空き缶を自販機脇のリサイクルボックスに放り込んでから改札へ続く階段を小走りで降り、駅前の雑多な人混みを足早で抜ける。

コーヒーが好きな僕と、コーヒーが飲めない彼女。

さあ、明日も頑張ろう。




P.S.

この記事、実は10日ぐらい前には書き上がっていて、最後の校正中に件のことが起きてしまって、記事を公開するタイミングがわからなくなってしまっていました。

怒り、憤り、許せない、いろんな感情が渦巻いた。けれどとにかく彼女が無事で良かった、それだけで何の神かも分からないけれど神様に手を合わせた。

と同時に、こういうときいちファンとして本当に無力だということを痛感する。だって何もできないんだもの。

けれど出来ることって全然無いわけじゃなくって、休んでいる間も忘れずにいることだとおもう。会えない時間も想い続ける、そうすることが今はベターな気がする。

どれだけ時間がかかっても僕はずっと待ち続けるし、そして戻ってきた時に以前と変わらず応援することが何より大切なんだとおもう。そのとき夢の続きをまた一緒に歩み始めればいい…。

今はただゆっくり休んで心の傷をしっかり癒やして欲しいと願っています。

万が一サポートして頂けるような神がいらっしゃいましたら、取材費としてありがたく使わせていただきます。