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せかいビバークの受け渡し所はじめました

このたびタコシェ は、「せかいビバーク」という、住まいを失った方を対象とした生活支援のための「緊急お助けパック」の受け渡し場所になりました。

寝泊まりする場所がなく、電話や交通費もなく相談機関につながることができずに困っている方を助けて相談機関や行政の支援に結びつけるための窓口的なものですが、詳細はせかいビバークのサイトをご参照ください。
https://sekaibivouac.jp/

ここでは、受け取り場所になったきっかけを少し書こうと思います。

実は、数年前から時々、カートを押して移動しながら路上に暮らす方の姿に気づいてはいたのですが、この前の冬から、少し体が弱ってきてないかと心配になり、夏を前に何か手立てはないか、専門家に相談したいと思い、ネットで「東京 ホームレス 支援」など適当な言葉を入れて検索してみたのものの、実際に倒れたとか○○の申請手続きをしたいなど、具体的な問題や要求がないと、どこにどのように相談していいのか、なかなかわからなかったのです。

そこで、「せかいビバーク」の受け取り場所になっている、同業の「古書ほうろう」さんの店頭で、そんな事をお話ししたところ、「せかいビバーク」を含めて生活支援活動を行っている団体「つくろい東京」の担当者・佐々木さんに繋いでいただけたのです。
電話ですぐにお話することができて、さっそく気になっている方のことを伝えたところ、夜回りなどを通してすでにご存知でした。

支援団体では、相談会や夜回りなどの活動を通して地域の路上生活者の方たちに接しているそうですが、路上生活をする皆さんが、必ずしも支援を望んでいるとは限らず、また支援団体も行政側の支援と困っている人の隙間を埋める手伝いをするのが役割で、路上での暮らしそのものを継続的に支援することは経済的にも人員的にも無理があるとのことでした。従って、夜回りや相談会などを通して路上生活者の方たちとの関係性を築きながら、必要になったら動けるようにと準備しているのだそうです。

以前は駅や公園など町の中で、路上生活者の方たち集まる場所があり、コミュニティを形成してましたが、そうした場が次第になくなり、一方でネットカフェなど一時的に寝泊まりや入浴できる場所ができて、路上生活の方たちは、目の前にいたりすれ違っていても気づかないという具合に、日常に紛れて見えにくくなってしまっているのかもしれません。支援団体の方のお話を伺うことで、目隠しされていてレイヤーに気づくように、ずっとそこに居らした方たちが見えずにいたのかもしれないと気づきました。

大島弓子先生は「ロストハウス」の中で、(ネタバレになりますが)固有の家を捨てて外に出ることで、世界全体を居場所=家にした青年を少女の目を通して描き、そのパラダイム転換は全ての生活者を肯定するようで感動しました。また、90年代以降、小川てつオさんは居候ライフから公園での生活を通してロストハウスを地でゆくような生活を行ってきましたが、一方で都市開発は路上や世界のあり方を大きく変え、人々の居場所やあり方も変えてきてのでしょう。姿を消した人たちは、居場所を失ったまま、”普通の”姿形で、人混みに紛れていました。かつての路上生活や生活困難のイメージとは異なり、認識をアップデートする必要があると感じました。

代々木公園文芸部「ヨヨミ」   大島弓子「ロスト ハウス」

結局、相談をした路上生活の方に関しては、支援を望んでないご本人の意向を尊重して、すぐ何かを行うことなしに、体調の急変などあれば支援団体にお知らせする事にして、支援団体さんも見守りを続ける事になりましたが、色々とお話しをするうちに「せかいビバーク」の受け取り場所になることを打診されました。

せかいビバークは2021年の秋に始まったばかりですが、上記のように変化する路上生活の状況に合わせて、考えられた新しい支援の試みで、自分に支援なんてできるのかと思いましたが、受け渡しに関しても不都合や問題があれば、それをフィードバックして改善しながらシステムを作ってゆきたいとおしゃっていただいたので、参加させていただくことにしました。

体調や精神状態が悪くなったときに、ちょっと休んだり相談することで大事に至らず済むように、早めに適切な支援につながることで順調にリカバーできることもあると思います。お助けパックを通して支援につなげることは、早めの手当の取り組みと思い、受け渡し場所になりました。
どうぞ、必要な方に届きますよう、よろしくお願いします。

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