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くさった経営理念

さてどんな会社の経営理念?

会社は2011年つまり今から10年前に倒産しましたが、その10年前2002年に親から引き継いで社長になりました。引き継いだときにはすでにレッドカードが出ているような会社だったのですが、そんな会社を立て直した立派な方々もたくさんいますので、取り立てて不幸だったわけではありません。

前の会社は、お客様に頼まれて様々な機械の駆動源となるモーターコントローラとコンピュータ制御を一体化させたインバータと呼ばれる装置を中心に、開発した量産品を製造する、開発部門があるもののいわゆる製造業と呼ばれる会社でした。
もちろん開発では儲からないので、量産化した製品を作っていくことで付加価値を確保する会社です。

その時の経営理念がこれです。

人と出会おう
夢を創ろう
共に育とう
幸せを掴もう

製造業の経営理念ですよ。製造業の。なんか違いますよね。

人と出会おう

製造業の基本は製造です。もちろん一緒にものをつくる同僚はいるので一人ぼっちではないですが、自分の工場で一日中働いているのに、どうやって人と出会うのよ。たぶん従業員の多くはそう思っていたに違いありません。

夢を創ろう

製造業の基本は品質です。夢ではありません。夢を叶えようなら開発部隊としての意義がある。そもそもレッドゾーンの会社を引き継ぐことになって夢を失った状態の自分を奮い立たせるに過ぎない言葉でした。

共に育とう

まあ、これについては、中小企業家同友会の「共に育つ」という言葉に感銘を受けて、俺も成長するよう頑張るので、みんなも成長しようぜくらいの意味でしょうか。いい言葉ですが、全く咀嚼ができてなかったと思っています。

幸せを掴もう

これなんかは、今考えると最低ですね。「いま、私は不幸せなんです」って宣言してるんですよ。その時の自分の気持ちがそのまんま出ています。

どこに行きたかったのか

経営理念というのは、また別の機会に述べますが、会社の最も根幹となる価値を定義するところです。この経営理念はもっと多くの人と出会う機会が多い業種、例えば不動産業とか商社とかだったらもう少ししっくり来たかもしれません。でもやっぱり違いますね。

言い訳をすると私が本当に感銘を受けたのは堀場製作所の経営理念「おもしろおかしく」という言葉でした。硬い文言ではなく柔らかいことばのこの理念に負けないようなわかりやすい言葉を、社長になったら考えようと思い続けて、結局表面だけの真似しかできなかったんだと反省しています。

その仕事おもしろいのか?お客様の笑顔見えるか?

これは、企業としての判断基準です。やってて面白くない仕事は面白くするかやめる。これは立派な判断基準です。

では、その仕事夢を創れるのか?共に育てるのか?

何を言っているのかさっぱりわかりません。そのくらい自分の会社の経営理念は言葉だけなんかわかったようで、会社の価値も進むべき方向もさっぱりわからない、わけのわからん言葉の羅列だったわけです。

こんな経営理念で仕事をさせていた、元従業員の皆さんには、本当に申し訳ない思いでいっぱいです。



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